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監修:清水なほみ

【医療監修】つわりとケトン体の関係とは?妊娠悪阻の影響と治療方法

ケトン体という言葉をご存知ですか?ケトン体は体内の脂肪をエネルギーに変える際にできる物質のことを指します。つわりの症状がひどく水分や食事がとれなくなると、体内の脂肪をエネルギーに変えようとしてケトン体が過剰に生成されるため、ケトン体が出ていることがつわりの重症度をはかる目安となります。ケトン体が出ている場合は、点滴をするなどの治療が必要になることがあります。

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ケトン体とは?

ケトン体とは、アセトン・アセト酢酸・β-ヒドロキシ酪酸を総称したもので、脳へのエネルギー供給のために肝臓が脂肪を分解する過程で作られる物質です。妊婦健診時の尿検査で調べることができます。

日常生活では、糖をエネルギーとして消費することで脳を働かしたり心臓を動かしたりしています。しかし、つわりがひどくなることで十分に飲食ができない状態が続くと、脱水症状や飢餓状態が起こり、体内の糖を使い果たしてしまいます。脂肪を分解することで糖を作り出そうとするため、ケトン体が出やすくなります。

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つわりとケトン体の関係

はてな PIXTA

つわりがひどくなり、水分や食事がほとんどとれずにおう吐してしまうときや、持続的な体重減少、さらに尿検査でケトン体の数値が陽性だった場合は「妊娠悪阻(にんしんおそ)」と診断されることがあります。

つわりは、吐き気や嘔吐、胃のむかつき、だるさなどが特徴的な妊娠初期症状の一つです。妊娠5週ぐらいから始まり12週頃になると徐々に症状が軽快してきます。遅くても16週末くらいまでには症状が治まってくるでしょう。

つわりは妊婦の50~80%にみられる症状ですが、その中でも妊娠悪阻になる人は0.1~0.5%ほどです。つわりにはそのまま様子をみてよいものと妊娠悪阻のように通院や入院を伴った治療が必要なものがあります。

妊娠悪阻では、水分や食事が取れないという症状の他に、重症になるとふらつきや意識がもうろうとするなどの意識障害が出ることがあります。

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ケトン体が母体や胎児に与える影響

母体 PIXTA

妊娠中は胎児の発育や出産に向けて子宮や乳房を発達させるために非妊娠時よりもエネルギーが必要です。

妊娠悪阻になると、水分補給や食事を十分に取ることができなくなることがありますが、空腹時であっても母体の糖分は胎児へのエネルギー源として優先的に消費されます。糖分がなくなると、母体に必要なエネルギーは母体自身の脂肪を分解することで作り出すようになるため、体内に過剰なケトン体が生成されます。

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ケトン体の数値が高いときの治療方法

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ケトン体の数値が高く妊娠悪阻と診断された場合は適切な治療を受ける必要があります。妊娠悪阻になると食事や水分の摂取が困難なことがあるため、状態によっては入院をして脱水症状や飢餓状態を改善するための治療をすることもあります。

食事指導

食事を取らずにいると、体が飢餓状態となりケトン体が生じやすくなります。水分や食事を受け付けないときは、一度に摂取するのではなく少量の固形物を数回に分けて摂取するよう食事指導を受けます。

このとき刺激の多いものや脂肪分の多い食事は避けるようにしてください。水分は食事と食事の間に摂取するようにするとよいでしょう。

点滴

妊娠悪阻になると、体内のケトン体の量が増えるため点滴で治療を行うことがあります。不足している水分や糖分、ビタミンなどの栄養補給を行うとともに体内の電解質(イオン)を整えることが大切です。電解質は、水に溶けると電気を通す物質で、体内の筋肉や細胞を動かすため必要な成分です。

通院で点滴を行い、漢方薬などを処方されることがありますが、重症の場合は入院して治療を行うこともあります。

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つわりの症状がつらいときは無理せず病院へ!

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妊娠中に現れるつわりは、症状の強さにかかわらずつらいものですよね。吐き気などの不快な症状が出た場合はいつまで続くのか不安になることもあるでしょう。

つわりの症状がひどく、水分を取るのができない場合や毎日おう吐してしまうような状態の場合は妊娠悪阻と診断され、必要に応じて治療を受けることになります。水分がとれなくなるほどの症状が出た場合や、排尿回数が1日4回未満になる場合は、医師に相談をするようにしましょう。

記事の監修

ポートサイド女性総合クリニック〜ビバリータ〜 院長

清水なほみ

通常の婦人科診療のみならず、最新の脳科学×心理学×医学を統合的に駆使した診療を行う婦人科医。日本で100名しか習得者がいない、トランスフォーメーショナルコーチのテクニックを学び、診療の現場においても、3年間で延べ6000人の患者に同テクニックを用いて診療を行っている。
中学時代のいじめや研修医時代のうつ経験から、「病は気から」を科学的に解明するための研鑽を積む。何気ない会話の中で患者に気付きを与え、片頭痛やイライラをあっさり「忘れさせる」診療には定評がある。5分で病気の「本当の原因」を見抜くため、患者からは「先生は占い師ですか!」と驚かれる。

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