子供の声を騒音にしない!埼玉「こどものもり」の取り組みとは

今年ほど、働くママと子供たちを取り巻く環境に強い関心が寄せられた時があったでしょうか。働くママにとって、安心して預けられる保育園は、貴重でありがたい存在。でも、保育士の不足や騒音を懸念する周辺住民からの反対のため、いい保育園を選択できるどころか、入れるだけで…と言わざるを得ないのが現状です。そんな中、埼玉県にあるこども園「こどものもり」では、子供の声を騒音にさせない、様々な工夫がなされていました。

子供の声って、うるさいですか?

待機児童の問題の背景には、保育士や保育園そのものの不足があります。土地や空いている場所はあるのに、なぜそこを保育園にできないのでしょうか。

大きな理由の一つは、「保育園ができるとうるさくなる」という周辺住民からの反対です。確かに、保育園や幼稚園の周りはいつもにぎやかなものです。でも、子供が元気に遊ぶ声は昔から変わらないはずなのに、なぜ最近ではそれをうるさい!と感じるのでしょうか。

少子化なども原因と言われてはいますが、最近の子供の声が昔より大きくなっていることも、騒音につながっていると言われています。「現代っ子は叫んでいる」のです。

では、子供が大声を出さなくなったら、保育園不足の問題は解消できる可能性があるのではないでしょうか。しかし、子供の声を静かにさせることなんてできるのでしょうか。なんだか、可哀想な気がしますか?

埼玉県にあるこども園「こどものもり」に通う子供たちは、とても元気!でもきちんと静かなんです。その秘訣が「鋭い!」と思いました。

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保育園

0~5才児まで160人が通うこども園「こどものもり」は、開園以来、騒音などの苦情は一度もないそうです。「教育で作る静かな保育園」とテレビでも紹介されていました。

こどものもりでは、子供の生活を中心にした保育、心の保育を理想として考えた結果、異年齢保育を実践しています。年上の子供は小さい子の面倒をみることで思いやりを学びます。同じ年の子供とだけでなく、保育園の赤ちゃんも幼稚園の大きい子供も一緒に生活し、そこからたくさんの事を学びあっています。

静かな保育園を作る秘訣を聞かれた、こどものもり園長、若盛正城さんの言葉に、私も納得しました。

自分で考えて、自分でやっていく=主体性。その主体性が持てる時間と場所と、それを見守る先生がいれば、きちんと身についていけると思う。 出典: www.fnn-news.com
日常生活の中で、会話するときに、(声の)トーンを上げなければ伝わらないっていうのとは違う。この人数だったら、どの程度のトーンがいいか。1,000人だったら、どの声がいいか。3人だったら、どの程度がいいかってことを、わかりながら話をしてあげることだと思うんです。 出典: www.fnn-news.com

静かにしなさい!と言わなくても、子供が自分の意思で静かにできる環境を作る、という考え方は、日常の隅々まで意識していなければ言えない事ではないでしょうか。静かにできるというのは、あくまでも子供ときちんと向き合った保育をしていることの結果なのです。

こどものもりの取り組みには、家庭でも見倣える子育てのヒントがたくさんありました。うちはまだ赤ちゃんというママも、イヤイヤ期に悩むママも、もうすぐ小学生になる子供いるママも、みんなでぜひ一緒に考えていただきたいと思います。

自分で考えるように促すという考え方

大人に言われて行動するのと、自分で考えて選んで行動するのとでは、子供が感じるストレスは大きく違ってきます。自分が尊重されているという安心感があると、落ち着いて考える力が身につき、自分で決めたことは穏やかに行動できるという良いサイクルが生まれます。

ここには、大きな声を出さなければならないような理由そのものを作らない工夫がなされているのです。

若盛園長は言います。「ここは小さな社会だと思う。社会というのはお互いが居心地のいい関係を大前提としているように思う。そういう社会作りができる場所が、こういう園だと思う。」と。

子供の主体性を育むことで、地域と調和する保育環境を作りだす。この園の取り組みは騒音問題の解決に、大きなヒントを与えているのかもしれません。

子供の声を「騒音」にさせない、こどものもりの取り組み

保育園

親にとって、子供が元気に遊びまわる姿は幸せな光景です。いつも聞いていると泣き声も笑う声も、みんな可愛く聞こえてきます。でも、他人の感じ方は全く違います。しかも、何十人も集まる保育園から聞こえてくる子供の声は、まさに「騒音」「迷惑」なものになるという事を、親は理解しておかなければなりません。

子供の声の騒音対策として、防音材を使ったり、窓を二重にしたり、昼間でも外で遊ばせないようにしたりするという保育園もありますが、そればかりでは、子供たちが可哀想です。

「こどものもり」の子供たちは、うるさくないのに、のびのび遊んでいます。その秘訣が保育園の暮らしの中に隠れていました。

遊びの時間に隠された秘訣

保育園

「遊びの時間」になると、子供たちは静かに並びます。自分が何をして遊びたいのかインタビューに答えているんです。保育士に各自やりたいことを言い、それぞれ遊びに行きます。

おもちゃを取り合うこともありません。年長の子供が小さい子供の手をつなぎ、一緒に遊びに行きます。ここでは、大人からきちんと尊重される安心感が子供同士にも浸透しています。遊びの時間なのに、笑い声は聞こえても騒音になるような泣き声は聞こえてきません。

給食の時間にもこんな光景が

ここの給食はビュッフェスタイル。子供自身が、何をどれだけ食べるかを気分や体調に合わせて考えて盛り付けてもらいます。尊重され、大切に接してもらえるので、好き嫌いでごねることもありません。こぼしてしまってときは、年長さんが助けてくれます。

食堂に流れるオルゴールの音もかき消されることもなく、穏やかに食事を楽しんでいます。早く食べ終わったからといって、走り回るような光景も見られません。園児自らが「静かにイスをしまいましょう」を声をかけるのです。子供たちは必要以上に大きな声で騒ぐとみんなに迷惑になるということをちゃんとわかっているんですね。

インタビューでなぜ大きな声を出さないのか聞かれた園児は、「いただきますをするときは、静かにしてる方が素敵なの。人がお話しているときは、ぺちゃくちゃしゃべっていると聞こえないから。」と答えていました。

徹底した保育士のお手本

保育園

大声を助長しがちな保育士たちの声。ここでは、場所に応じた声のかけ方を実践していました。周りがにぎやかだと、聞こえるようにと大人も大きな声になりがちです。「こどものもり」の保育士たちは、大きな声を出さないでも済むように工夫しています。

子供たちが元気に遊んでいてにぎやかでも、一人一人の目の高さにかがんで静かに話しかけます。手間がかかるように思えるかもしれませんが、子供一人一人に丁寧に語りかけることで、大声は必要ない事を伝えているのです。そうすることで、子供たちは落ち着いて聞き、自分で考えて行動できるようになります。

元気にあいさつできるのは良い事ですが、大きな声を張り上げて言うのはあいさつではなく「騒音」であることを保育士も学ぶ必要があるのかもしれません。

我が家でもできる!子供の声をうるさくしない3つの方法

保育園

子供の声という騒音に対する対策として、防音材を使うことや、周りに住宅が少ない場所に保育園を作るなどの方法がとられてきました。でも、そのどれも根本的な解決にはなっていません。それだけでは到底すべての待機児童の受け入れに追い付かないのです。

「こどものもり」の教育の力で静かな保育園にするという取り組みは、新たな施設を建設する必要も、保育士が声を嗄らして指導する負担もない、みんなの暮らしの中で子供たちが安心して穏やかに成長できる、理想的な教育環境ではないでしょうか。

こどものもりに通う子供のママたちも、子供がきちんとした話し方を学んでくるのを見て、ママ自身も静かに話せるようになったと言います。子供たちは保育園にいるときだけでなく、家庭の中まで静かで穏やかに過ごせているようです。

①子供がどんな時に大きな声を出すのかを知る

叫ぶ

初めから大声を出す子供はいません。周りの音にかき消されないように、振り向いてもらえるように、小さな子供も親に自分の声を聞いてほしくて、徐々に大きくなっていくのです。

ラインの返事はすぐに返すのに、子供が何かを言おうとしてることには気づかないということはないでしょうか?ママ友とのおしゃべりに夢中で、子供が話しかけているのに気のない返事をしていないでしょうか?

普通の大きさの声で話しかけても聞いてくれないから、大きな声になってしまう。それを気にも留めないから、子供はいつも大きい声で話さないと大人には聞いてもらえないという事を学ばざるをえません。

あるいは、親から大声で怒鳴られた子供がギャーギャーと泣くのを見かけませんか?意味なく怒鳴るのはしつけではなくただの騒音ですから、子供は素直に騒音で応えているだけのことです。親が「大声で怒鳴る」という話し方を教えたのです。そうだとすると、大声を出すのはママの真似をしてるだけということになります。

親は、子供が「ギャーギャー」とかんしゃくを起こしたように泣いたり、「ママ!」と腹を立てたように言ったりするときは、自分がそうさせているという事に気づかなければなりません。私も心当たりが少々…

②大声を出さなくても聞いてもらえる安心感を与える

叫ぶ

子供はきちんと自分の声に耳を傾けてもらえるとわかっていると、落ち着いた話し方ができます。子供の声が必要以上に大きくなっていることに気づいたなら、すぐに聞き方を改めましょう。

子供の目線の高さにしゃがんで、優しく肩や背中に手を添えて、まっすぐに目を見て静かにうなずきながら聞きます。途中で口を挟まないように気をつけましょう。

ほかの誰かが話しかけてくると、ついそっちを優先してしまいませんか?大人には待ってもらえばいいのです。そもそも子供には、人の会話に割り込むのは行儀が悪いと教えるものです。会話の相手が自分の子供だからといって軽視するのは間違っています。普段教えられていることと矛盾があると、子供は苛立ちを感じ、それを大きな声で訴えるのです。

体裁を気にしていては子供の心をまっすぐに育てることは出来ません。子供を本当に愛しているのなら、「きちんと聞く」とはどういうことか、常にお手本を見せていなければなりません。子供の声を適当に聞き流しておきながら、「ママの言う事を聞きなさい!」とは、子供からしたら納得できない理屈です。

③自分できちんと考えることができる子供は、無駄に大声を出さない

勉強

子供に自分で何かを決めて行動させるには、時間と手間がかかります。それでも、親や周りの大人がきちんと子供と向き合うことができるなら、子供は自分の行動の結果が不本意なものであったとしても、それをきちんと受け入れることができます。

うまくいかないことがあってもあきらめることではなく、次はうまくいくように工夫することを考える力が身につけることができます。大声を出して足をバタバタさせて泣きじゃくるようなことはしないで済むのです。そのような経験の積み重ねが、責任感や思いやりを育みます。

大人も子供も「のびのび元気」と「騒音」の違いをきちんと知ろう

保育園

待機児童の問題は、保育園の不足から。保育園がなかなか増えないのは、保育士の不足や騒音を心配する周辺住民の反対のため。社会の問題はすべてつながっています。自分には関係ないと言えるような問題はありません。

子供の騒音問題も、保育園の中だけでなく家庭の中で親がどんなふうに子供と向き合っているかによって、かなり減らすことができるということが、「こどものもり」の取り組みから見えてきたのではないでしょうか。

親は自分の子供の声でさえ、うるさい!と感じるときがあります。でも、子供に大きな声を出すことを教えているのは親をはじめ、周りの大人たちであるという事を覚えておかなければなりません。

親が時間をかけて子供と向き合い、きちんと目を見てしっかり話を聞いてもらえる安心感の中で子供が成長するなら、大声を出すことなく、元気に走り回って、のびのびと成長することができるのです。

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