イヤイヤ期は育児中の家庭に直撃する「台風」。臨床発達心理士のアドバイス

2歳代の子供を育てている家庭の多くが悩んでいる「イヤイヤ期」。何を言ってもイヤ!思い通りにならないと癇癪...。いったいどう対処すればよいのか頭を抱えてしまうパパママも多いのではないでしょうか。海外でも「terrible two(恐怖の2歳児)」と呼ばれているほど、世界中の親が悩んでいるイヤイヤ期は、まさに育児中の家庭を襲う「台風」のようなもの。臨床発達心理士の新井範子先生のアドバイスをもとに解説します。

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イヤイヤ期は子育てにやってくる「台風」

2歳ごろの子供たちにやってくる「イヤイヤ期」。今まではちょっとしたグズグズはあっても、ちょっと興味が移ればごまかせていたのに、急に「あれもイヤ!」「これもイヤ!」と頑固に泣きわめくわが子に、頭をかかえてしまうパパママも多いのではないでしょうか。今回はイヤイヤ期について、臨床発達心理士の新井範子先生にお話を聞きました。

イヤイヤ期とは「自我の芽生え」

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新井先生によると、イヤイヤ期の子供たちは「自分の意志とは違う事実を受け入れられない状態」なのだそうです。イヤイヤ期以前には自分の意志がはっきりしていないため、ちょっと思う通りにならないことがあっても、他のものに興味が移れば気持ちが切り替わったり、忘れたりしてしまいます。

しかし成長するにつれて「自分はこうしたい」という意志が出てきます。相手にも自分と同じように意志や都合があることはまだわからないので、自分がしようとしたことを「だめ」と止められると、「なんで?やりたいのに!」とイヤイヤが始まってしまうのです。

イヤイヤ期は「ただママの言うことを聞かなくなる」というのではなく、子供自身が生きていくために必要な「自分の意志」が育ってきている時期です。意志はとても大切なもので、ママが子供の意志を受け止めてあげることで、自我の発達を手助けし、子供の成長につながることを心に留めておきましょう。

イヤイヤ期が過ぎると「交渉」ができるようになる

イヤイヤ期が終わるころになると「自分の意志」と同じように相手にも意志や都合があることに気づき、交渉ができるように成長するのだそうです。たとえば食事の前に遊んでいて「ごはんだよ」と声をかけても、イヤイヤ期には応じてくれず、「遊ぶのはまたあとでね」とやめさせると大泣きしている場合でも、イヤイヤ期を過ぎると「ごはんが終わったらまた遊ぼう」というママの提案に耳を貸すことができます。

より人間らしいやりとりができるようになってきて、ママも楽になっていくはずですよ。

台風が過ぎ去るまでの期間には個人差がある

「イヤイヤ期は育児中の家庭に高確率で直撃する「台風」のようなもの」と新井先生はいいます。大型で非常に勢力の強いノロノロ台風の子もいれば、小さくてすぐに穏やかな温帯低気圧に変わっていく子もいるでしょう。

イヤイヤの強さも、いつ終わるかも人それぞれです。他人の子と比べるのはやめて、わが子独自の台風が過ぎ去るのをじっと待ちましょう。それまではママがいかに息抜きをして、イヤイヤ期の子育てを乗り越えていくかが大切です。積極的に一人になる時間を作って育児を休憩するなど、ママも自分自身を大切にしていきましょう。

イヤイヤ期、ママが疲れ果てないための対応術

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とにかく嵐のようにやってきて、いつ過ぎ去るか出口が見えないイヤイヤ期。真正面からぶつかっていては、ママも疲れ果ててしまうでしょう。

そうならないために新井先生がすすめる、イヤイヤ期の育児を乗り切っていくためのアドバイスをまとめました。

「しつけ」を気にし過ぎなくても大丈夫

いたずら PIXTA

イヤイヤ期の子供とどう接していくかはパパやママにとって大きな悩みです。日々のあいさつのしつけなど、ママとしては大切にしたいしつけもこの時期はなかなか思うようにはいきません。

「今なんでもいうことを聞いてしまったら、わがままな子になってしまうのでは」と心配になって、しつけようと頑張ってしまうママもいます。しかし、新井先生によると、イヤイヤ期の子供に対するしつけは無理に行う必要はないのだといいます。

ポイントは「今、台風と戦ってまで教える必要があることか」ということ。台風のようにわが子の気持ちが嵐を起こしているときに、一生懸命にしつけをしようとしてもうまくいかないことが多いでしょう。その割に、イヤイヤ期が終わった後に教えれば納得してできるようになることもあるようです。

また、何度注意しても同じことをしてしまうときには、触ってはいけないものは片付けるなど環境を見直してみましょう。それでも解決できない、繰り返ししてしまうことがある場合には、よほどやりたいことか、もしくはママに怒られることで注意を引こうとしているのかもしれません。

よほどやりたいことだと思われる場合には、なんとか許容できる方法にしてやらせてあげられないか考えてみましょう。怒られることで注意を引こうとしている場合は、怒ると逆効果になるのであえて冷静に、大げさに対応しないようにします。

どうしてもしなければいけないことは、泣いていても気にせずする

とはいえ、食事や歯磨き、お風呂、着替えなど、日常生活に関わることは、たとえイヤイヤされたとしてもやらないわけにはいきませんよね。

新井先生によると、その時にはまず「うんうん、〇〇ちゃんはお着替えしたくないんだね」と子供の思いを受け止めつつ「でも、お着替えしないとおでかけできないから、着替えようね」と説明してあげることが必要なのだといいます。

それでもイヤイヤしてしまう場合には「泣いてしまうのは仕方ない」と割り切って、激しく抵抗されてもささっと行ってしまうのがよいのだそう。その時のポイントは、怒らないこと。子供はママを困らせたくて「イヤ」と言っているのではなく、自分の意志を主張しているにすぎません。大人の都合で着替えをさせて、子供は意志を曲げて折れている状況なので、「ありがとう」「えらいね」という気持ちで接してあげましょう。ついつい「なんで着替えないのよ!」と怒ってしまいそうになりますが、ぐっと堪えましょう。

また、2歳児はまだまだ感情の切り替えが未熟で、一度泣き始めるとなかなか気持ちを切り替えることができません。長時間グズグズしてしまうこともあるでしょう。例えば泣いて抵抗する中で歯磨きをしたときには、楽しげに歌を歌いながらささっと済ませ、「ほら、すぐに終わってスッキリしたね」とプラスの声掛けをします。そしてそのあと、気持ちの切り替えができるように好きな絵本を読んであげるなどの「お楽しみ」を用意するとよいですね。

イヤイヤ期の子に「いけないこと」を伝える3つのステップ

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できるだけ叱らないとはいえ、ものごとがうまくいかなかったとき「お茶碗をひっくり返す」「相手を叩く」など、やってはいけないことをした場合は、やめさせなくてはいけない場面はありますね。

そんな時に新井先生がおすすめする方法は、以下のようなステップで「いけないこと」を伝えることです。

  • 思いを代弁
  • 簡潔な説明
  • 次回に向けたアドバイス

例えばお友達に無理やりおもちゃを取られたことがイヤで、相手を叩いてしまったとします。その場合はまず「おもちゃを取られたのがイヤだったんだね」と共感したうえで「でも、叩くと痛いからやめようね」と、やってはいけない理由を簡単に説明します。その上で「次は『やめてね』と言おうね」と次回同じようにならないためのアドバイスをします。

ポイントは長々と話さず、簡潔にさらりと済ませること。ちょっと聞いていないかな、と思っても、もう一言は飲み込みましょう。

次に同じ状況になった時はまずは子供自身がどうするか見守ってあげて、もし「やめて」と言えずに手を出してしまいそうになったら子供が相手を叩く前に「やめてね、今使っているんだ。」とママが代わりに相手の子に伝えてあげましょう。それを繰り返していくことで、子供は「叩かずに言葉で伝えればいいんだ」ということを学び、いけないことをしてしまうのを予防できるのだそうです。

また、イヤイヤを通り越して激しい癇癪を起こしてしまっている時は、語りかけどころではない場合もありますよね。その時はまず、子供を別の場所に移動させ、子供の視界を変えてあげることが有効です。落ち着いてきたところで、上記のような方法で「いけないこと」を伝えてみましょう。

嵐が過ぎるまでママは大変!自分自身の気持ちの切り替えも大切に

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イヤイヤ期という嵐が過ぎ去るまで、ママはとても大変です。それまで天使のように見えたわが子に、悪魔のしっぽが見え隠れしているように見えるでしょう。「イヤイヤ期は台風」とはいってもイヤイヤ期は心の成長段階の中で重要な時期。子供が意志を持つのは生きていくうえで大切なことです。子供の思いを受け止めて共感してあげることが必須なのだと、新井先生は教えてくれました。

イヤイヤ期はママ自身も思ったように育児ができないと感じる時期で、子供も思うようにならないことを受け入れられず、親子でイライラしやすいでしょう。子供の思いを受け止めるには、ママ自身の心のゆとりが重要です。子供のイヤイヤすべてに立ち向かうのではなく「今戦わなくてもよいこと」は見逃す勇気も持ちましょう。また、イライラしてしまうのは当然なので、今までよりも時間や行動にゆとりを持つように心がけ、イライラのきっかけを少なくするように工夫してみましょう。イライラを一人で抱え込まず、周囲に相談するのも大切です。まだ疲れを感じていなくてもこまめに休憩時間を設けて心と体を休めるようにしてください。

<取材協力:臨床発達心理士 新井範子先生>
大学にて心理学、大学院にて発達障害を専門に学ぶ。東京都・埼玉県内の発達クリニック、保健センター数か所にて勤務。現在、子育てをしながら一部の仕事にのみ復帰している。

我が子の発達が気になるママに伝えたい 臨床発達心理士のつぶやき

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