療育センターはどのような所?1日のスケジュールや通所することで得られるもの

子供の定期健診や保育園などで発達に遅れや偏りがあると判断された場合、保健師や保育士から療育センターへの通所をすすめられることがあります。しかし、療育センターでは子供が何をするのか、子供がどのように成長する場所なのかわからないことから、通所に不安を感じているママも多いのではないでしょうか。療育センターで行われる支援の内容や子供たちの様子について、東京都にある療育施設「コラボいなぎ いなぎこども発達支援センター」センター長の村上愛美さんにお話を聞きました。

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療育センターとは何をするところ?

療育センターとは発達に遅れや偏りがある子供たちが通う施設です。子供たち一人ひとりの特性を理解し、発達に合わせた活動をしていくことで、子供自身が「わかった」「できた」という体験を積むことができます。

幼稚園や保育園では集団生活を重視しているのに対し、療育センターはそれぞれの子供に合わせて活動を行います。集団での生活に馴染みにくい子供でも、その子に合わせた接し方でコミュニケーションができるため、子供の自信や自己肯定感につなげます。子供たちが自信を持ち「もっとやってみよう」という気持ちでいきいきと暮らしていくことができるように支援する施設です。

療育センターに通うのはどのような子供たち?

編集部撮影

今回取材したコラボいなぎ いなぎこども発達支援センターには、2歳~5歳までの発達に遅れがある子や偏りがある子が通っています。

発達の遅れが気になる子は、1歳半健診などの保健センターで行われる健診で発達に関する指摘を受けて、経過観察の後に2歳ごろから通所する子が多いそうです。また、発達の遅れはなく偏りが見られるときには、保育園や幼稚園からの紹介を受けて3歳以降に通所を始めるケースもあるといいます。

1週間のうちに通所する日数はそれぞれ違い、保育園や幼稚園に通いながら週に1回療育センターに通う子や、毎日通っている子などさまざまです。

療育センターにいるのはどのような専門家?

保育士 子供 amana images

療育センターにはさまざまな分野の専門家がいます。この施設の場合は以下のような専門家が療育に携わっています。

  • 保育士
  • 臨床心理士
  • 言語聴覚士
  • 臨床発達心理士
  • 作業療法士
  • 音楽講師

こうした専門家たちが集まり、子供の発達に合わせた支援を行っています。グループ療育では子供2~3人に対して1人のスタッフがつき、療育を行っています。

幼稚園や保育園に比べて少人数に対して1人のスタッフがつくため、一人ひとりの子供にとって最適な関わり方をしていくことができるのですね。

療育センターが行う活動

編集部撮影

こちらの療育施設で行っている療育は「個別療育」と「グループ療育」に分けられます。

グループ療育では発達段階ごとに子供たちをグループ分けし、別々の部屋で活動をしています。個別療育は専門家と子供で行う個別の活動です。それぞれの活動について詳しく聞きました。

グループ療育

粘土 子供 PIXTA

平日は1日4時間のグループ療育を行っています。3~5歳のグループ療育は子供のみが通園する方法です。2歳の子供の場合はママと一緒に、月2回土曜日にグループ療育があります。

その他に稲城市の場合は平日に市の保健センターで親子クラスがあり、2歳児はそちらのクラスに通うこともできるのだといいます。

グループ療育のスケジュール

編集部撮影

3~5歳のグループ療育の、一般的なスケジュールは以下のようになっています。

  • 9:30   登園
  • 自由遊び
  • 10:20  片づけ、お集まり
  • トイレ、おやつ
  • 11:00 今日の活動
  • トイレ、手洗い
  • 12:00 お弁当
  • 自由遊び
  • 13:20 片づけ お集まり 帰りの支度
  • 13:30 振り返り 降園

11時からの活動では、音楽遊びやルールのある遊び、制作活動などを行います。取材日はねんど遊びを行っていました。2つのクラスの子供たちは思い思いに粘土をこねたり、串のような棒に刺して遊んだりと自由に楽しんでいました。それぞれが好きな遊び方で楽しむことを尊重しながら発達的に必要なサポートをしています。

食事は個人ごとにお弁当を持参して食べ、午後1時半には保護者のもとに帰ります。予定がはっきりとわかるように療育を行う部屋には行動をイラストや写真にした表が貼ってあり、子供たちが見通しを立てて生活できるように工夫されていました。

個別療育

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全年齢で必要に応じて月に1回、専門家と子供で行う「個別療育」が行われています。個別療育ではより対象の子の発達に合わせた活動を行います。たとえば発語のない子供の場合、子供の様子に合わせて発語、ジェスチャー、サイン、カードなど、子供が取りやすいコミュニケーション手段を考え、やりとりできた経験を積めるように課題を設定していきます。就学を控えた子の場合にはひらがなの読み書きの練習を行うこともあるのだといいます。

また、年に1度は発達段階を知るための発達検査も行い、どのような支援が必要か検討し、見直しをしています。

個別療育を行う部屋には、子供の興味を引くように人気キャラクターの絵本や、センター手作りのおもちゃが色々置いてあり、その子が興味をしめすもので活動を行うようにしているそうです。

幼稚園や保育園との連携

療育中の子供の様子や「こんなことができました」という報告は、保護者の同意の上で幼稚園や保育園に伝えてコミュニケーションをとっているといいます。また、必要であれば幼稚園や保育園での様子を見に行くこともあるのだそうです。

幼稚園や保育園に通わせながら療育センターにも通所させているママにとっては、2つの施設がしっかり連携して子供を見てくれるのはとても心強いですね。

保護者の支え合い

パーティ PIXTA

療育センターに通い始めるとき、とても不安な気持ちで相談にくる保護者がいるといいます。子供の発達に関する不安や、これからどんな活動をしていき、子供はどんな進路に進むことができるのだろうと心配ごとは尽きません。

そんな保護者たちを支えるために、この施設では保護者同士が支え合うしくみを作っています。たとえば年に1回、すでに卒園した通園児の保護者に協力を依頼して卒園したあとの子育てについて聞く会や、懇親会、懇談会も定期的に開催しています。

最近は父親を対象にした「父の会」も始め、パパたちが子育てについて気軽に話せるよう、バーベキューや飲み会などのイベントを開催しているのだそうです。

施設に通う保護者同士が知り合いになり、情報交換や支え合いができるしくみはとても良いですね。

療育センターに通うメリットは?

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療育センターに通うメリットは「人とのやりとりがよりスムーズにできるようになること」なのだと村上さんはいいます。ここでは子供とスタッフの方との信頼関係をしっかりと結び、子供が人を信頼し、困った時に人を頼る力をつけることを大切にしています。

また、通所する子供たち同士のやりとりでは、まずは自分の気持ちを表現できるようになり、気持ちのコントロールができるようになります。それから人の気持ちを知り、自分以外に他者がいて、相手と自分には違いがあることを知っていくことができます。

集団の中ではこうした能力の一つ一つを丁寧に伸ばしていくことが難しい子供でも、施設のスタッフの方の細やかなサポートによって、コミュニケーションを取る力を身に付けていけることが大きなメリットなのだそうです。

就学時には一人ひとりの発達に応じてアドバイスをする

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こちらの療育施設で受け入れられるのは2~5歳の子供たち。5歳ごろになると小学校への入学が近づき、就学先についてママたちは深い悩みを抱えます。その時もスタッフが子供たちの発達に応じてアドバイスをします。

就学後の進路先のことで悩みや相談がある保護者は、市の就学相談にかかることがあります。就学相談では子供の発達の遅れや偏りなどの状況に応じて、適切な教育が受けられるように相談を行っているそうです。進路先を考える過程では、市の他にいつも子供の発達を共に見守ってきたセンターのスタッフに相談をすることがあるようです。その場合には、子供の状況に応じたアドバイスをしています。

就学後も継続して療育を受けさせたい場合は、放課後等デイサービスなど様々な場所があるといいます。こうした制度を知り、適切なアドバイスを受けながら子供の進む道を決めることができることも療育センターのメリットですね。

目指すのは「どのような人でも安心して暮らせるようになる場所」

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村上さんが療育で目標としていることは「地域の中でどのような人でも安心して暮らせるようになる場所であること。また、ママも子供もその人らしく生活できること」なのだそうです。発達に遅れや偏りがあったり、障がいがあったりしても、どのような人ものびのびと暮らしていけるためのサポートがあることは大切ですね。また、村上さんが療育でやりがいを感じることは、ママと一緒に子供の成長を喜び合えることだといいます。

療育センターに通うことで、子供たちが自分らしさに自信を持ち、安心して生きていけるようになったらママはとても嬉しいですね。また、療育センターはママにとって、育児を支えてくれる強いパートナーになってくれるでしょう。

通所するかどうか迷ったらまず見学や体験を

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療育センターへの通所をすすめられたとき、ためらう気持ちを持ったママはとても多いでしょう。村上さんはそんなママの思いは「自然なことだ」といいます。どのような施設で、どのような体験をし、子供がどう成長していくのかは、その施設を見学したり体験したりすることで感じることができるかもしれません。

施設によって行うプログラムや、活動の内容には違いがあります。ぜひ近くで開設しているいくつかの療育センターに訪れてみましょう。療育センターは保護者とともに子供の成長にとって最もよいサポートを考えてくれる施設。迷ったらまず一歩踏み出して、サポートを受けることを検討してみましょう。

<取材協力:コラボいなぎ いなぎこども発達支援センター 村上愛美さん>

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