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住宅供給公社とは?地域の人の暮らしに安心を与える住宅制度と家賃補助

住宅供給公社とは、地域で働く人たちのために住宅を供給することを目的として存在している会社です。賃貸住宅の管理や建築、分譲地の販売などを行っています。住宅供給公社が供給する一部の住宅では、家賃を補助してくれる制度や、頭金がない状態でも住宅を購入することを支援してくれる制度があります。住宅の種類により所得制限や入居条件が異なるため、住宅供給公社の住宅制度の仕組みについて知り、家庭に合った制度の利用を検討しましょう。

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住宅供給公社とは

住宅供給公社とは、地方住宅供給公社法という法律に基づいて設立された特別法人のことを指します。1つの企業名ではなく、地方によっていろいろな名前の住宅供給公社が存在します。

地方住宅供給公社法という法律では、住宅供給公社について以下のように述べられています。

地方住宅供給公社は、住宅の不足の著しい地域において、住宅を必要とする勤労者の資金を受け入れ、これをその他の資金とあわせて活用して、これらの者に居住環境の良好な集団住宅及びその用に供する宅地を供給し、もつて住民の生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。 出典: law.e-gov.go.jp

住宅供給公社の目的は、働く人たちに対して良質で低価格な住宅を供給し、都市の再開発推進や市営住宅の管理を通して市民の住環境の整備をすることです。

また、住宅供給公社は、会社の名称に「住宅供給公社」という文字を用いることが法律で定められています。それに対し、住宅供給公社以外はこの名称を用いることはできません。

出典元:

住宅供給公社のさまざまな制度

家 おもちゃ PIXTA

住宅供給公社では市民の住環境をよくするためにいろいろな制度を整えています。地域の公社で独自に整えている制度もあるため、お住まいの地域の制度を確認してみましょう。

積み立て分譲制度

積み立て分譲制度とは、分譲を契約する前に自己資金が用意できない場合でも、住宅を購入することができるように支援する制度です。地方住宅供給公社法の規定に基づき、契約者があらかじめ積み立て期間と積み立て額を決定して計画的に積み立てを行い、購入に必要な自己資金の積み立てが満了し、住宅ローンを契約することができた段階で入居する仕組みです。

すぐに自己資金を用意することができなくても、家を持ちたいと考えている方にとっては嬉しい制度でしょう。

子育て応援制度

住宅供給公社が募集する賃貸の申し込みには応募が集中することが多く、抽選ではなく先着順の募集であってもなかなか入居できない場合があるようです。

地域によっては、子育て世帯が育児に適した環境の公社に優先的に入居できるよう配慮する制度を作っている場合があります。詳しくは地域の住宅供給公社に問い合わせをしてみましょう。

高齢者応援制度

高齢者が住宅供給公社の住宅に応募する場合、1階や2階の部屋について優先的に申し込みできる制度がある地域があります。

各住戸の募集開始から1週間は、対象の世帯が優先的に申し込めるしくみが一般的なようです。希望する住戸がある場合には、申し込みの開始日を確認し、優先期間中に申し込みをするとよいでしょう。

また、大阪府の場合「近居応援制度」といって、子育て世帯と高齢者世帯が公社団地内、もしくは団地近くに近居する場合に敷金が免除、または減額になるしくみがあります。

子世帯は子育てを応援してもらい、親世帯は見守りしてもらえることでお互いに助け合って住むことを促進する制度のようです。近居を検討中の方はこの制度も知っておきたいですね。

出典元:

住宅供給公社が扱う住宅の種類

ファミリー PIXTA

住宅供給公社が扱う住宅はいくつかの種類に分かれています。地方によって呼び方が違う制度や、制度の内容が少し異なる場合もあるため、気になるものについてはお住まいの住宅供給公社に問い合わせてみましょう。

なお、入居には条件がある場合があるため、条件についてもきちんと確認して検討しましょう。

一般賃貸住宅

一般賃貸住宅とは、住宅供給公社が自ら所有、管理をしている賃貸住宅のことです。

入居をするためには一定の月収、貯蓄額を超えている必要があります。基準額は地域の公社によって異なりますが「家賃の4倍以上の月収があること」を条件としている公社が多いようです。

家賃の補助制度はありませんが、単身向けや家族向けなどいろいろな物件があります。

都営・県営・市営住宅

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自治体が運営している公営住宅は、低所得などで住宅に困窮している方向けの賃貸住宅です。入居するためには一定の条件があり、所得制限があります(原則として月収158,000円まで)。基本的には単身ではなく同居する家族がいる人向けですが、60歳以上の高齢者や一部の障がい者については単身でも入居が認められます。

入居は申し込み抽選式が一般的ですが、ひとり親、障がい者、生活保護世帯など、家庭の状況に応じて入居しやすくなるように優遇制度を設けている公社が多いです。入居を希望する場合にはポイント加算できる条件に当てはまるかどうかよく確認をしましょう。

特定優良住宅(東京都では都民住宅)

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特定優良賃貸住宅は「特優賃」と呼ばれ、中堅所得者向けの良質な賃貸住宅です。東京都では「都民住宅」と呼んでいます。

一般賃貸住宅は住宅供給公社が所有、管理していたのに対し、特優賃は地方自治体や国の補助金や都市再生機構の資金を利用して、民間の土地所有者が住宅を建設し、地方自治体と国が家賃補助を行いながら賃貸を行っています。所有は民間で、管理は公となっているのが特徴です。

入居のためには所得制限の下限と上限があり、収入に応じて家賃の補助を受けることができますが、収入によって補助を受けられないこともあるようです。特優賃では、敷金が家賃の3ヶ月分かかりますが、礼金・仲介手数料・更新料は無料で、生活面で大きな助けになります。

建物には広さ、収納、設備、構造などの面でしっかりとした基準が設けられているので、良質で安心できる暮らしを望むことができるでしょう。

高齢者向け優良賃貸住宅

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高齢者が暮らしやすいようにバリアフリー設計などの配慮がされた住宅を「高齢者向け優良賃貸住宅」、略して「高優賃」といいます。

国と地方自治体が家賃を補助してくれるので、低所得の方でも安心して入居することができます。補助の割合は収入によって異なりますが、申し込み資格に所得制限の下限はないため、たとえ本人が年金収入のみや無収入の状態であっても申し込みすることは可能です。

介護施設ではないため、自立して生活を送ることができる方を対象としています。老人ホームや介護施設ではない「住宅」であることを認識しておきましょう。

地域優良賃貸住宅

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地域優良賃貸住宅(略称:地優賃)とは、地域の中で特に住宅の安定に配慮するべき世帯のために供給される賃貸住宅のことです。建物に対して一定の基準が設けられていて、広さや防火設備なども整った住宅です。

入居申し込みをするには所得制限があります。さらに、世帯制限があり、子育て世帯や新婚世帯、高齢者世帯、障がい者世帯、被災世帯のみが申し込み可能です。

家賃は周辺の相場などを勘案して設定されますが、所得に応じた補助金が支給されるため、実際に支払う家賃は周辺の相場よりも安く住むことができる場合があります。

分譲(宅地・マンション・一戸建て)

住宅供給公社では、賃貸住宅だけでなく、土地、マンション、一戸建てを分譲する事業も行っています。分譲の条件については物件ごとに異なるため、必ず確認をしてから契約するようにしましょう。

宅地を分譲で購入する場合には、一定期間内に住宅を建築することが条件とされていることがあるため、いつまでに住居を建築しなくてはいけないのか確認が必要です。

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家賃補助の仕組み

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住宅供給公社が家賃を補助する賃貸住宅に住んでいる場合、実際に入居者が支払いをするのは家賃補助が差し引かれたあとの「入居者負担額」です。

家賃補助の計算方法は「契約家賃-入居者負担額=家賃補助」となります。契約家賃は住戸ごとに周辺相場などを考慮して認定されますが、2年ごとの見直しのタイミングで改定されることがあります。

家賃補助額は年々減額するしくみが一般的で、減額した分毎年入居者負担額が増えていきますが、契約家賃以上になることはありません。地域の補助制度によっては毎年補助額が変わらないタイプも存在しますので、詳しくは地域の住宅供給公社に確認しましょう。

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入居までの流れ

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住宅供給公社から住宅を借りる場合、どのような手順で手続きをし、入居をすればよいのでしょうか。住宅供給公社が管理する一般賃貸住宅の場合でご紹介します。

手続きの手順や、入居が決まってから実際に入居するまでの期間などのルールは各地域の住宅供給公社によって異なる場合があるため、細かい決まりは必ず住宅供給公社に確認をして手続きを行ってください。

  1. 入居申し込み
  2. 入居資格審査
  3. 契約手続き
  4. 入居

申し込みには抽選と先着があります。東京都住宅供給公社の場合、先着の場合には申し込み前に内見が可能ですが、抽選の場合には当選してからの内見となります。また、入居が決まった場合契約の延期はできず、速やかに契約し引っ越しをする必要があります。計画的に申し込みを行うようにしましょう。

申し込みから入居までの手続きについては住居の種類によっても違うようです。申し込み前に流れをしっかりと確認しておくと安心ですね。

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地域住民のための住宅制度を知っておきましょう

家 建物 PIXTA

住宅供給公社は各地域に存在し、その地域の人たちの住まいや暮らしが安定して豊かになるように多くの制度を備えています。低所得者から中堅労働者やその家族のために住まいを供給するのが住宅供給公社の役割です。

子育て世帯や高齢者のいる世帯を応援してくれる仕組みや家賃補助もあり、生活の中で高い重要度を占める「住む場所」という面で大きな安心を提供してくれる存在といえるでしょう。

家族が増えたタイミングや転勤などで引っ越しを検討する際には、住宅供給公社の住宅を検討してみるとよいかもしれませんね。

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