全国待機児童NO.1の世田谷区が行っている対策について担当者に聞いてみた

保育園の合否時期に注目が集まる待機児童問題ですが、自治体は日々対策に励んでいます。都心部では新規開園するための土地を確保することが難しく、一筋縄ではいかないのが待機児童問題です。そんな中、全国でもっとも待機児童が多い地域とされている東京都世田谷区は「提案型設備手法」という新しい対策を取り入れています。この、民間が所有している土地を利用して保育園を開園するという対策は、区の厳しい状況下でどのように待機児童問題解に貢献しているのでしょうか。担当者に話を聞いてみました。

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世田谷区の待機児童問題について

厚生労働省によると、平成28年10月1日時点で全国の待機児童数は47,738人で、平成27年度10月時点と比べて2,131人増加しています。待機児童数の計算方法が自治体によって違うことがあるため、公式の数字に含まれない隠れ待機児童がいると言われており、実際の待機児童数はもう少し多いようです。

待機児童数を都道府県別にすると、全国でもっとも多いのが東京都で8,327人。区市町村別に見ると世田谷区が1,198人です。世田谷区は東京都内でも都心部であり、交通の便も良く、公園やファミリー向けの商業施設も多く、家族で住みやすい街になっているようです。

待機児童は死活問題

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待機児童の問題は非常に深刻であり、働きたいのに働けない人がおり、育休が終わったら退職せざるを得ないような状況に追い込まれる家庭があります。家庭によっては経済的に死活問題にまで発展する場合もあるでしょう。

そんなママや家庭にとって待機児童問題は先延ばしできる課題ではないのです。「今、この瞬間」に保育園に入れないと意味がありません。

だからこそ、待機児童が減らない現状を見ると、国や自治体は本当に対策を行っているのだろうか…と思ってしまうのです。東京都議会議員選挙では、待機児童対策について話す候補者がたくさんいるのですが、その候補者は本当に現状を変えることができるのか、不安になってしまうのです。

そこで今回、全国待機児童数1位の世田谷区が行っている対策に注目してみました。これまでなかったような、また世田谷区ならではと感じられる対策でした。

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土地・建物を保育園に活用する

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世田谷区は待機児童が増えている傾向を踏まえて、平成32年4月までに総定員を21,600人までに増やす計画を立ています。そのための対策として、民間の人が所有する土地や建物を活用するための募集をしています。

担当者のお話では、公有地だけでは開園できる保育所が限られてしまうようです。

「国、東京都、世田谷区が所有している公有地を活用した保育所の整備を行ってきましたが、保育所を1つ開園するにも様々な条件があり公有地を活用した保育所整備では、数に限りがあります。

そのために、民間が所有する土地や建物をお借りして保育園設備を進めるようにしております。保育施設を民間の方にも提案型設備として、保育事業者が所有者から土地や建物を借り、所有者と共同で保育所設備の候補物件として区に提案していただく形です。」

民間が所有する土地を有効活用して、待機児童の数を少しでも減らす努力をされているようですね。

この施策で受けたお問い合わせ件数をお伺いしたところ、土地建物の所有者やハウスメーカーからのお問い合わせが2017年7月時点で約780件あるようです。

民間の方だけでなく、ハウスメーカーなど企業からもお問い合わせがあることは、待機児童が徐々に社会的な問題としてみられてきているのではないかと感じました。

これまでの実績

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では問い合わせからの実績はどうなのでしょうか。

「お問い合わせは平成24年に開始し780件ありましたが、保育施設を建設するにあたり様々な条件があるため、それら全てがクリアにならないとお借りすることができません。そのため、現時点での実績としては780件の内、48件を保育所として開園させていただき、約2,700人を超える定員を確保しています。」

東京都の設備基準になりますが、乳幼児1人辺りの面積や、園庭は設置できるか、保育に必要な用具を設置する場所を確保できるか、など、建設するにあたり様々な条件が必要となります。

しかしながら、これにより5年間で約2,700人を超える定員を確保できたことは、平成32年までに22,000人の定員確保を目標としている世田谷区にとって、とても希望が持てる対策ではないかと感じました。

「公有地での保育所設備が限界となっている状況になる中で、民有地を活用した保育所設備は効果的な手法です。平成32年度の計画期間中は引き続き提案型設備を進めていく予定です」と担当者がお答えくださっており、区として効果を実感できているのではないでしょうか。

地域住民からは、今までの住み慣れている環境が変化することに対して懸念の声は多くあるようです。区は、設備前に事業者等から説明する機会を設けることで、懸念を解消する努力を続けているようです。

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取材後記

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最後に担当者へ保育所の質について聞いてみました。

ママが心配するのは、預けることができるかどうかだけではなく、保育の質が最も重要になってきます。受け皿を増やせば待機児童数は減少するかもしれませんが、預ける側は認可保育所と共に安心・安全を求めています。世田谷区では保育の質をどのようにして確保し、向上させまた継続できるものであると考えているのか聞いてみました。

担当者は、平成26年に策定された『世田谷区保育の質ガイドライン』に沿って保育の質を守り向上させる取り組みを行っていると話します。

「まず、事業者を選定するところから審査委員会に通しています。保育園を開園したいという想いだけではもちろん開園できません。一定の質があるかを審査にて選定しています。選定された事業者は、開園前に区が主催する開設前支援プログラムを受講することを必修としています。またこのプログラムは、開園前だけでなく開園6か月後と1年後も再び受講することを必修としています。それらにより、保育の質を確保し継続させる取り組みになります。」

保育の質は預ける親にとっては、非常に気になる部分ですよね。そこでもよいからと受かった場所に預けた後、保育園の質を疑うことがあると、安心して預けられることができなくなってしまうのではないかと思います。保育所が足りない中、世田谷区は一定の質を保てるように様々な努力をしているのが垣間見えます。

「その他、開園後は区の保育課による巡回指導や研修により、事業者を支援する取り組みを行っています。質の向上や継続は、自治体の取り組みだけでなく事業者側も保育指針に掲げている『子供の最善の利益』を追求する姿勢で保育所運営に取り組むことが不可欠だと考えています。」

全国でNO.1の待機児童数を抱えている世田谷区は、質の向上と共に保育所の設備を進めています。理想としては、親が自分の子供に合う保育所を選べることができると良いのですが、どの保育所に入園しても安心して預けられる場所になって欲しいと、子供を持つ親として感じます。

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