監修:齋木啓子 先生

ノロウイルス感染症とは?感染経路・検査・消毒方法などを解説

ノロウイルスは秋口から春にかけて流行し、嘔吐や下痢などの症状を引き起こすウイルス。感染力が非常に強く、潜伏期間が短いのが特徴です。現在このウイルスに対して作用する薬は開発されておらず、対症療法がメインです。二次感染を予防するためには、こまめな手洗いと次亜塩素酸ナトリウムを使った消毒が有効。正しい知識で対処し、我が身や家族を感染から身を守りましょう。

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ノロウイルス感染症とは

ノロウイルス感染症とは、嘔吐や下痢、腹痛などの急性胃腸炎症状を起こす病気のこと。その名の通り、ノロウイルスと呼ばれるウイルスが原因で発症します。

厚生労働省が発表した「平成28年(2016年)食中毒発生状況」によると、ノロウイルスによる食中毒の患者数は病因物質別で1位の11,397人。患者全体のうち約56%を占めます。また、月別にみると1~3月と11~12月に患者数が急増。秋口から春先にかけ大流行する傾向にあることがわかります。

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ノロウイルスの原因と感染経路

手洗い PIXTA

ノロウイルスの感染経路のほとんどが経口感染といわれ、患者の嘔吐物や糞便、およびこれらに直接または間接的に汚染された手指やモノからも感染します。

感染者がトイレに行った後、手指を十分に洗わないまま調理をすると感染が広がることもあります。また、汚染されたカキなどの二枚貝を十分に加熱せずに食べると、食中毒を起こす可能性があります。

ノロウイルスの感染性を奪うには、85℃以上で少なくとも1分以上の加熱が必要。冬に二枚貝を食べる際には特に気を付けたいですね。なお、時期を問わず、調理の前には十分に手を洗うのが大前提です。

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ノロウイルスの症状

後姿 PIXTA

ノロウイルスの潜伏期間は24~48時間といわれています。主な症状は嘔吐や下痢、腹痛などですが、発熱や悪寒といった風邪に似た症状が出ることもあります。

発症後1〜3日ほどで症状は軽くなっていきますが、症状がなくなっても3~7日間は便の中にウイルスが排出されます。症状が治ったとしても感染する可能性があるため、二次感染の予防に努めなくてはなりません。

発症しても風邪のような症状で済む人もいる一方で、抵抗力の弱い子供や老人の場合、重症化して脱水状態を起こしたり、吐物によって窒息したりするおそれも。経過を注意深く観察する必要があります。

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ノロウイルスの検査方法と診断

診断 PIXTA

多くの医療機関では、周囲の感染状況や症状から「ノロウイルスではないか」と考えて診断します。ノロウイルス感染症だと確定するために検査をすることはほぼありません。

ノロウイルスの検査キットが3歳未満と65歳以上以外は、免疫力が低下するような特定の条件下にある方を除いては保険の適用にならない点や、ノロウイルスに感染していても陽性反応が出ないケースや、その逆で感染していなくても陽性反応が出てしまうケースがある点、またウイルスの種類によらずウイルス性胃腸炎の場合は治療が対症療法しかない点が主な理由です。

医療機関で医師が医学的に必要だと認めた場合には、検査キットを使ってノロウイルスの抗原検査を行います。これは糞便中のノロウイルスを検査キットで検出する検査で、自費で3,000〜20,000円程度かかります。

検査キットよりも確実な検査方法として、ウイルス学的な診断方法があります。これは、患者の糞便や嘔吐物を、電子顕微鏡法などの遺伝子を検出する方法で分析を行うというもの。糞便には大量のウイルスが排泄されるため、比較的簡単にウイルスを検出することができます。

ただし、この方法をとるのは食中毒や集団感染の原因究明などの目的で、専門機関で行うものです。

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ノロウイルスの治療と自宅での対処法

薬 amana images

ノロウイルスに効果のある薬やワクチンは現在のところありません。したがって、治療といっても症状を和らげる対症療法のみです。

また、下痢止めはウイルスが体外に排出されるのを妨げ、回復を遅らせる可能性があるため、基本的には使用しません。仕事をしている方の場合は出勤するために下痢止めを飲みたくなりますが、症状が自然に軽快するまでは下痢止めの服用は避け、休養するのをおすすめします。

どうしても症状がつらく、続くようでしたら、内科などのかかりつけ医に診てもらいましょう。

嘔吐している間は無理に飲食しない

おかゆ PIXTA

嘔吐している間は何も飲まない、飲ませないのが基本です。吐き気が治まってきたら、スプーンなどで少しずつ、何回かに分けて水分をとります。水分はオーエスワンやアクアライトORSのような経口補水液がよいでしょう。

食べられるようなら、油分や糖分、酸味の強い物以外であれば何を摂っても構いません。最近では、腸を休ませ過ぎない方が、早く回復できると言われています。

母乳の場合は、1回あたりの量を減らしながら授乳回数を増やします。ミルクの場合も同様にして様子を見ますが、ミルクを薄めるかどうかは医師によって判断が分かれるようです。かかりつけ医の指導にしたがってください。

また離乳食の場合は、症状が落ち着いたなら元通りの内容を続けて問題ありません。食べ物の硬さで迷ったら「便の状態と同じくらい」を目安にしましょう。

脱水症状やけいれんが起きた場合はすぐに医療機関へ

乳幼児や高齢者は脱水状態になりやすいため、経過に注意が必要です。こまめな水分補給を心がけましょう。

  • 嘔吐や下痢が続き、なかなか治まらない
  • 元気がなくぐったりしている
  • 水分を長時間摂取できていない
  • おしっこの量が減る
  • けいれんを起こす

このような症状があれば、なるべく早く受診してください。症状によっては輸液を行うなどの治療をすることになります。

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ノロウイルスの予防法

消毒 PIXTA

ノロウイルスを予防するには、まず手洗いを徹底することが大切です。流行期には特にこまめな手洗いを心がけ、体にウイルスを入れないようにしましょう。

もし家族の誰かが発症したら、二次感染の予防も欠かせません。嘔吐物の処理や下痢のおむつ交換をする際は、使い捨ての手袋を着用し、直接触れないようにします。終わった後もせっけんと流水でしっかりと手を洗ってください。

二次感染を予防するための対策

マスク PIXTA

ノロウイルスは嘔吐物や糞便を介して感染するため、触らない、吸い込まないことが大切。処理した後の手指だけでなく、床や衣類など汚れてしまった箇所の消毒も必ず行います。

嘔吐物や下痢を処理する際は、以下のグッズを用意しておくと安心です。漂白剤は塩素系でなければノロウイルスの消毒にはなりませんので注意してください。

  • 次亜塩素酸ナトリウム(市販の塩素系漂白剤でも可)
  • ビニール手袋
  • マスク
  • 使い捨てのエプロンやガウン
  • ペーパータオル
  • バケツ

床に嘔吐物や便が付着した場合

新聞紙 PIXTA

嘔吐物などで床が汚れたら、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)を含ませた布やペーパータオルで覆い、しばらくそのまま放置して消毒します。

その後、ウイルスが飛び散らないよう静かに拭き取り、ビニール袋に入れて口をしっかりと密閉して捨てます。このとき、ビニール袋にペーパータオルと嘔吐物が十分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度1000ppm)を入れるとさらに安心です。

ノロウイルスは乾燥すると空中に舞い上がって二次感染につながるため、床が汚れたら速やかに処理をしましょう。十分に換気することも忘れずに。

衣類や布団などが汚れた場合

スチーム PIXTA

衣類や下着、布団、シーツなどが汚れてしまったら、廃棄するのが望ましいでしょう。捨てられなければ、ウイルスが飛び散らないように洗剤を入れた水につけて静かにもみ洗いをした後、高温で消毒をします。ノロウイルスは85℃・1分間以上加熱することで感染力を失うとされています。

高温による消毒の手段は、熱水洗濯ができる洗濯機のほか、高温の乾燥機やスチームアイロンなど。丸洗いできない布団などは、嘔吐物を除去し、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)を使って消毒した上で、該当箇所にスチームアイロンをあてます。

なお、次亜塩素酸ナトリウムに漬け置きする際は色落ちに注意してください。

せっけんを使って手洗いをし、流水で十分にすすぐ

せっけん PIXTA

厚生労働省の資料によれば、「せっけんを使って10秒間のもみ洗いと15秒間の流水でのすすぎを2回繰り返すと、手に残るノロウイルスを約0.0001%まで減らすことができた」という実験結果も。

ノロウイルスの感染を防ぐには、やはり念入りな手洗いが大切です。せっけんそのものにはノロウイルスを殺す効果はありませんが、手の皮脂などの汚れを落とすことでウイルスがはがれやすくなります。

手を洗った後は、ペーパータオルや清潔なタオルで水分を拭き取ります。くれぐれもタオルの共用はしないようにしましょう。

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家族内感染も多いノロウイルスから身を守ろう

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ノロウイルスは非常に感染力が高く潜伏期間が短いことから、家族の誰かが発症するとまたたく間に二次感染につながる可能性があります。家族全員がほぼ同時に発症するケースもよく見聞きすることでしょう。家庭にウイルスを持ち込まないことが第一ですが、流行期には完全に防ぐことが難しいものです。

家庭内での感染を防ぐためには、まずは一人目の発症者が出た段階で二次感染を予防する対策をとることです。十分な手洗いと消毒を行い、感染から身を守ってください。症状が治まってもしばらくはウイルスが排出されているため、気を抜かずに消毒を続けましょう。

記事の監修

ふれあいファミリークリニック 院長

齋木啓子 先生

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