監修:鈴木さや子 さん

未婚シングルマザーの不公平が解消?寡婦控除のみなし適用が拡大へ

厚生労働省は2018年度から、未婚のひとり親を支援するための取り組みとして、「寡婦控除のみなし適用」を実施すると発表しました。これにより、未婚のまま出産し、子供を育てているシングルマザーも所得税や住民税が安くなり、それとともに税額を基に算出する保育料なども抑えられるようになります。今回はこの「寡婦控除のみなし適用」によって、未婚のシングルマザーにどのようなメリットがあるのかをお伝えします。

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同じシングルマザーでも未婚だと「寡婦控除」が受けられない

厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子家庭のうち「未婚の母」の割合は8.7%と過去最高水準に。平成18年度の調査では「未婚の母」の割合は6.7%、つまりこの10年で2ポイント上昇したことになります。

シングルマザーやシングルファーザー向けにはさまざまな公的サポートがあります。ただ、その中でも不公平だとされてきたのが寡婦控除(かふこうじょ)です。

寡婦控除とは所得控除といって、所得税の負担を軽くする制度の一つ。下記の条件に当てはまると、所得税額を計算する際に所得から27万円を差し引いてもらえます。所得税額の基準となる所得が減るため、所得税が安くなるのです。

2 寡婦控除の対象となる人の範囲
 一般の寡婦とは、納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、次のいずれかに当てはまる人です。

(1) 夫と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人です。この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。
(2) 夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人です。この場合は、扶養親族などの要件はありません。
(注) 「夫」とは、民法上の婚姻関係をいいます。 ※1

ただし、寡婦控除は「一度でも結婚したことがある人」だけが対象。未婚のシングルマザーは寡婦控除を受けられません。

同じひとり親世帯でありながら、婚姻歴の有無で受けられる公的サポートに差があるのは不公平だという声が高まっていました。

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自治体によっては「寡婦控除のみなし適用」を実施

日本地図 PIXTA

一部の地方自治体では「寡婦控除のみなし適用」を独自に実施し、未婚のひとり親世帯にも、既婚のひとり親世帯と同等に保育料などが安くなる取り組みをしてきました。

例えば横須賀市では、婚姻歴のない母親で、20歳未満の税法上の扶養親族または生計を一にする子がいる方を「寡婦」、さらに、婚姻歴のない母親で、20歳未満の税法上の扶養親族である子がおり、前年の合計所得金額が500万円以下の方を「特定の寡婦」としています。

そして婚姻歴のない父親で、20歳未満の生計を一にする子がおり、前年の合計所得金額が500万円以下の方は「寡夫」とし、こうした婚姻歴のないひとり親が子育てや福祉事業を利用するときには、寡婦(夫)控除があるものとみなして、所得等の計算をしています。

これにより、既婚のひとり親との利用料の差を解消し、子育てを経済的に支援しているのです。

2014年以降、このような「寡婦控除のみなし適用」を実施する地方自治体は増加していますが、住んでいる自治体によって差が出るため、厚生労働省は2018年の6月から9月をめどに「寡婦控除のみなし適用」を全国展開することにしました。

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「寡婦控除のみなし適用」拡大でどのようなメリットがある?

保育士 PIXTA

「寡婦控除のみなし適用」がお住まいの自治体を問わず、なおかつ婚姻歴を問わずに受けられるようになると、行政サービスの利用料のうち所得金額で料金が決まるものが安くなる可能性があります。

  • 保育園や幼稚園、学童保育の保育料
  • 公営住宅の家賃

所得金額から27万円(寡婦)または35万円(特定の寡婦)が差し引かれ、それにともなって、利用料を算出する所得区分が下がる場合があるのです。毎月必ず発生する費用が下がれば、家計への負担がだいぶ軽くなるでしょう。

また、次の給付金や助成制度については、給付対象になる、あるいは自己負担額が軽減される可能性があります。

  • 資格取得に役立つ「母子家庭自立支援給付金」
  • 看護師などを目指す際の「高等職業訓練促進給付金」
  • 「難病医療費助成制度」の自己負担額

※寡婦控除のみなし適用の対象となる事業は自治体によって異なります。詳しくはお住まいの自治体のホームページ等で確認してください。

所得税の寡婦控除についても差がなくなるよう期待

シングルマザー PIXTA

「寡婦控除のみなし適用」が全国に拡大することは、未婚のシングルマザーにとって大きな経済的支援につながるでしょう。しかし、婚姻したことのあるシングルマザーとの不公平は残ります。

所得税や住民税を計算するときの「寡婦控除」は依然として婚姻歴のある人だけが対象です。未婚のシングルマザーは寡婦控除がない分、より多くの税金を払っているといえます。

この差を埋めるべく、今後は税法上の「寡婦控除」についても、未婚・既婚を問わずに適用されるよう議論される見込みです。未婚のシングルマザーの経済的不安が少しでも解消されるよう、制度改正を見守っていきましょう。

記事の監修

株式会社ライフヴェーラ代表取締役

鈴木さや子 さん

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