「妊婦加算」「周産期医療の充実」とは?平成30年4月に施行された診療報酬改定を解説

2018年4月に、病院の受診時にかかる診療報酬改定の施行が行われました。この改定では「周産期医療」について見直され、新しく「妊婦加算」の仕組みが設けられています。しかしこの改定施行があったことを知らない方もいるのではないでしょうか。病院での会計時に突然加点がついていて戸惑ったという方もいるようです。妊娠中の方はもちろん、これから妊娠を希望する方にはぜひ知っておいてほしい知識。「妊婦加算」など、施行された診療報酬改定の内容について紹介します。

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2018年4月に施行された診療報酬改定「周産期医療の充実」とは?

さまざまな医療分野についての見直しが毎年行われていますが、今年の4月に施行された診療報酬改定では、周産期医療の充実に向け、新たな制度も盛り込まれました。その中でも妊娠中のプレママや産後のママにかかわりがあるものが主に三つあるのをご存じでしょうか?

これまでの取り組みでは、合併症のあるハイリスク妊婦の妊娠中の管理や、分娩を扱う病院に対してのみ管理を評価するものとなっていました。

しかし4月に行われた改定の中で、かかりつけ以外の産科や精神科といった病院でも、ハイリスク妊婦が受診した際は評価をするということになりました。

また二つ目には、ハイリスク妊婦だけでなく全妊婦を対象に、かかりつけ以外の病院で治療を受けた際は、外来診療を受けた病院が評価されることになりました。

そして三つ目は、産後、乳腺炎などによって母乳育児ができない状況に陥っているママに対して、乳腺炎の重症化を防いだり、再発予防に向けたケアや指導を行ったりした病院に対して評価されるようになりました。

ここでいう評価とは、病院での精算時に受け取る領収書などに明記されている点数が、治療にかかった点数以外のものとして新たに加わるということ。つまりかかりつけの産科以外の病院が、妊婦や乳腺炎で困っているママを受け入れることで、国や患者から支払ってもらえる金額が増えるということなのです。

どうして改定されたの?

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外来診療を受けることによって、支払わなければならない額が増えるということは、妊婦や産後に乳腺炎で苦しむママにとってつらいことのように思えます。しかし、じつはこの改定は妊婦や産後のママを守るための大切な取り組み。

妊娠したことがある方であれば、一度は経験があるかもしれませんが、かかりつけ以外の病院を受診する際、妊娠中ということで薬をまったく処方してもらえなかったり、かかりつけの病院に行ってと言われただけでほとんど診てもらえなかったりということがあります。

産婦人科は、全体的に患者が減少傾向にある一方で、ニーズが多様化し一つの病院だけではまかなえない状況が出てきているのが現実。社会保障の他制度との連携や、多岐にわたる医療機関との連携によって、より効率的な医療体制の確保が必要となっているのです。

家の近くに通える病院があるのに、遠くにある大きな病院でないと受け付けてもらえないのは、妊婦にとっても病院にとってもつらいですよね。そこをよりスムーズに効率的にしていこうという目的で施行されました。

妊娠中や産後すぐの女性の体は多くのトラブルがつきものです。そのような場合に受診できる病院の選択肢が増えることは、とてもうれしいですよね。

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外来診療を受けた場合、実際に支払わなければならない金額は?

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では、実際に妊婦や乳腺炎に苦しむママたちが病院を受診することにより、支払わなければならない金額はどの程度なのでしょうか?

ハイリスク妊婦や、それ以外の妊婦、そして乳腺炎にかかってしまった方が受診した場合それぞれに追加でかかるようになった費用について紹介します。

1.ハイリスク妊婦が外来診療を受けた場合

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精神疾患の合併症がある妊産婦(ハイリスク妊産婦)に対して、産科、精神科及び自治体等が連携して外来診療を行う場合の評価が新しく導入されました。

産科または産婦人科では、精神疾患の妊婦や出産後2ヶ月以内の精神疾患患者へ療養上の指導を行った場合1,000点(月1回)、精神科または心療内科では、精神疾患の妊婦や出産後6ヶ月以内の精神疾患患者へ療養上の指導を行った場合に750点(月1回)が、「ハイリスク妊産婦連携指導料」として算定されます。産科、精神科と自治体との間での相談、情報提供などの連携も必要条件となっています。

保険点数は全国一律で1点あたり10円と定められています。そのため、診療を受けた本人が病院の窓口で支払う額は、3割負担の場合を例にすると産科で3,000円、精神科で2,250円となります。ただしこの金額は毎回ではなく、月1回のみの支払いとなります。

2.妊婦が外来診療を受けた場合

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妊婦加算とは、妊婦が外来で受診した際に初診料や再診料、外来診療料に上乗せされる料金のこと。周産期医療充実の観点により、4月の診療報酬改定で新設されたものです。具体的な妊婦加算の点数は下記になります。

  • 初診料:平日(診療時間内)75点、時間外200点、休日365点、深夜695点
  • 再診料・外来診療:平日(診療時間内)38点、時間外135点、休日260点、深夜590点

一般的に妊婦健診や分娩は自費診療となるので妊婦加算が上乗せされることはありません。妊婦が何らかの病気になり、内科や皮膚科など一般的な医療機関にかかった場合に加算されることになります。

1点10円かつ3割負担で計算すると、初診料で平日(診療時間内)225円、時間外600円、休日1,095円、深夜2,085円となり、再診料・外来診療では平日(診療時間内)114円、時間外405円、休日780円、深夜1,770円が負担額となります。

3.産後に重い乳腺炎にかかり、病院を受診した場合

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産後に重い乳腺炎にかかり、母乳育児に困難があるような場合、医師が必要性があると認めたうえで乳腺炎の重症化・再発予防のために行うマッサージや搾乳、また授乳や生活に関する指導・心理的支援など包括的なケアや指導を受けたとき、分娩1回につき4回まで算定されます。

初回は500点、2~4回目は150点を算定。ここまでと同様に3割負担の例では、診療を受けた際に初回1,500円、2~4回目各450円を負担することになります。

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周産期医療の充実が母子を守る制度へ

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2018年の4月に施行された診療報酬の改定は、少し難しい内容ですが妊娠中の方や産後のママにとってとても大切な改定です。よく理解したうえで、自分に合った病院を受診しましょう。

新しい診療報酬の制度は動き出したばかり。今後どのように影響が出てくるのかはまだ見極めも必要でしょうが、妊婦加算などの診療報酬の改定が、結果的に母子を守る制度となってくれればよいですね。

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