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監修:清水なほみ

【医療監修】妊娠率が年齢によって異なるのはなぜ?妊娠の確率を上げる方法とは?

妊娠は希望したらすぐにできるというわけではありません。妊娠率は年齢によって異なり、高齢になればなるほど低下していきます。妊娠を希望するタイミングは人それぞれですが、妊娠率を上げるためには早い段階で生活習慣や食生活の見直しが必要なこともあります。急な改善は難しくてもできることから少しずつ行っていけるとよいですね。

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年代別妊娠率

妊娠する確率は年齢による影響が大きく、妊娠を希望している人であれば、まずは自分が自然妊娠できる可能性がどれくらいあるのか気になるでしょう。

妊娠する力のことを「妊孕力(にんようりょく)」といいますが、妊孕力は22歳がピークとされています。22歳を過ぎると徐々に低下していきます。

年齢別の1ヶ月あたりの妊娠率は以下の通りです。

  • 20代前半:約25%
  • 20代後半:約15~20%
  • 30代前半:約10%
  • 30代後半:約8.3%

自然妊娠における妊娠率をみてみると、年齢が上昇するにつれて徐々に妊娠率が低下しているのがわかります。特に35歳以降は急激に低下し始め、35歳を過ぎると10%にまで下がります。

妊娠を希望しているにもかかわらずなかなか妊娠しない場合は、一度病院を受診してみてもよいでしょう。

妊娠率に男女差はある?

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妊娠を希望していてもなかなか妊娠しないとき、女性側に原因があるのではないかと思うことが多いかもしれません。妊活中であれば妊娠率による男女差があるのか気になりますよね。

女性は加齢とともに妊娠する確率が低下していきますが男性も同様です。女性ほど急激に低下していくわけではありませんが、40歳を超えると妊娠率の低下は少しずつ進み精子数も減少していきます。

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年齢の上昇とともに妊娠率が低くなる理由

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妊娠率の低下は、年齢の上昇とともに排卵される卵子の数が減少することや、卵子の質そのものが低下していくことが原因です。

卵子の元となる卵母細胞(らんぼさいぼう)は胎児期から作られており、妊娠5ヶ月頃の胎児は約700万個の卵母細胞を保有しています。卵母細胞の多くが成熟せずに消滅しますが、その後増えることはありません。卵母細胞は徐々に減少していき、出生時には約200万個あったものが、思春期になり生理が始まる頃には約20~30万個、45歳になる頃には約数千個にまで減ります。

通常、排卵は1ヶ月に一度起こりますが、1回の生理周期で約1000個の卵胞が成長し、その中でも力強い健康な一つの卵胞が卵子として排卵されます。ただし年齢の上昇によって卵母細胞が減少するとともに、卵巣機能が低下するため、健康な卵子が育つ可能性が徐々に低くなります。

また、40歳以上になると卵子の染色体異常が起こりやすく、受精卵の成長が途中で止まってしまう、着床しづらくなる、流産が増えるなど妊娠率低下を招く要因となります。

さらに、加齢によって子宮筋腫や子宮内膜症といった婦人科系疾患にかかる可能性が高くなったり、高血圧、糖尿病など内科的な病気のリスクも上がったりするため、妊娠率の低下につながります。

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妊娠率を上げるためにできること

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妊娠率を上げるためには、食生活や喫煙、飲酒など生活習慣の見直しが必要です。急な改善はストレスの原因になるため、無理せず日常生活でできることから始めましょう。

葉酸の摂取

葉酸を摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)のリスクを軽減するだけでなく、妊娠率の上昇も期待できます。

神経管閉鎖障害とは、赤ちゃんの脳や脊髄の発達異常のことを指します。胎児の中枢神経が著しく発達する妊娠初期に起こりやすいため、葉酸は妊娠する1ヶ月以上前からの摂取が効果的です。

食事から取ることができますが、不足してしまう分はサプリメントで補うとよいでしょう。厚生労働省は、妊娠前から妊娠初期にかけて、1日400マイクログラムの葉酸を「食品とは別に(サプリメントで)」摂取することを推奨しています。

葉酸サプリメントの種類はさまざまですが、体内に効率よく葉酸を吸収させるためにはビタミンの摂取が必要なため、ビタミンCやビタミンB6、ビタミン12が配合されているサプリメントがおすすめです。もし選び方がわからない場合は、産婦人科や助産院、薬局などで相談してから購入するのもよいでしょう。

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生活習慣の見直し

妊娠率は普段の食生活も大きく影響しています。女性不妊の原因の約12%が「肥満」もしくは「やせ」であるため、体重管理をすることが望まれます。

肥満傾向の場合、ホルモンバランスが乱れることによって排卵が抑制され、妊娠率の低下を招くことがあります。妊娠しても流産してしまう可能性があるため、不妊治療を行うと決めたら少しずつ体重を減らしていくことが大切です。

やせ型の場合は、妊娠後早産となる可能性もあるため、標準体重を保つようにしましょう。また、食生活だけでなくストレスをためないことや体を冷やさないことも大切です。

喫煙・飲酒をできるだけ控える

妊娠しやすい体を作るためには、喫煙習慣を改め、禁煙する必要があります。喫煙は、受精卵を育てる子宮内膜によい影響を与えないだけでなく、卵子の質の低下を招くこともあります。

喫煙している女性の卵子は、受精率や妊娠率が低くなるため、妊娠を考えた段階で少しずつ禁煙していけるとよいでしょう。

普段から飲酒をする人は、必ずしも禁酒する必要はありません。毎日飲んでいた場合は週に1~2回程度に抑え、少しずつアルコールの摂取量を減らしていけるとよいですね。

ただし、妊娠が成立したら完全な禁酒が必要です。

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妊娠率を高めるために体の調子を整えましょう

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妊娠率は年齢が高くなればなるほど低下していきます。ただし、年齢だけが妊娠率の低下の原因となるわけではありません。

性別にかかわらず日常的に喫煙や飲酒をしている人は、していない人よりも妊娠しにくいため、生活習慣の見直しをする必要があります。妊娠を望んでいる場合は、規則正しい生活、バランスのよい食生活など、少しずつ意識してみるとよいでしょう。

記事の監修

ポートサイド女性総合クリニック〜ビバリータ〜 院長

清水なほみ

通常の婦人科診療のみならず、最新の脳科学×心理学×医学を統合的に駆使した診療を行う婦人科医。日本で100名しか習得者がいない、トランスフォーメーショナルコーチのテクニックを学び、診療の現場においても、3年間で延べ6000人の患者に同テクニックを用いて診療を行っている。
中学時代のいじめや研修医時代のうつ経験から、「病は気から」を科学的に解明するための研鑽を積む。何気ない会話の中で患者に気付きを与え、片頭痛やイライラをあっさり「忘れさせる」診療には定評がある。5分で病気の「本当の原因」を見抜くため、患者からは「先生は占い師ですか!」と驚かれる。

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