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監修:清水なほみ

【医療監修】微弱陣痛になりやすい体質がある?微弱陣痛の種類と分娩中のリスク

微弱陣痛という言葉を聞いたことがあるかと思います。微弱陣痛は、分娩開始当初から起こる場合と、分娩途中で起こる場合がありますが、微弱陣痛になると、思うようにお産が進まなくなるため、状況によっては吸引分娩や帝王切開にて出産を行う必要が出てきます。分娩中に、どのタイミングで微弱陣痛が起こるかによってリスクや出産方法も異なります。微弱陣痛の種類や分娩時の対応についてご紹介します。

PIXTA

微弱陣痛とは?

微弱陣痛とは、陣痛が始まっても陣痛そのものが弱かったり、陣痛の継続時間が短く陣痛と陣痛の間隔が長くなったりすることによりお産が進まない状態のことです。

子宮収縮が不十分なために起こる症状で、分娩中に微弱陣痛となった場合は陣痛が正常な強さに戻るかどうか様子をみます。分娩の進み具合によっては子宮収縮薬を投与して陣痛を促進させることや、吸引分娩、帝王切開などの対応が必要となることがあります。

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出典元:
  • 井上裕美(監)「病気がみえるvol.10産科」P260~263(メディックメディア,2015年)
  • 岡井崇(編)「標準産科婦人科学」P470~471(医学書院,2014年)
  • 慶應大学病院「分娩」(http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000144.html,2018年5月1日最終閲覧)

微弱陣痛の種類と原因

陣痛 PIXTA

微弱陣痛はいつ起こるかによって二つの種類に分けられ、お産が始まった時から陣痛が微弱である「原発性微弱陣痛」と、お産の途中から陣痛が微弱になる「続発性微弱陣痛」があります。

原発性微弱陣痛

  • 子宮筋の過伸展
  • 子宮筋の変化
  • 子宮筋の機能不全

原発性微弱陣痛は、多胎妊娠や羊水過多によって子宮の筋肉が伸びすぎてしまうことや、子宮筋腫によって子宮筋の動きが制限されることで起こる子宮の収縮不良が原因です。

また、帝王切開での出産を経験している場合や、分娩の回数が多い場合も子宮筋の機能不全による原発性微弱陣痛となる可能性があります。

続発性微弱陣痛

  • 分娩による母体の疲労
  • 母体の心理的要因
  • 巨大児などの胎児異常
  • 産道の異常
  • 胎児の回旋異常

続発性微弱陣痛は、胎児が産道をうまく通ることができない産道のトラブル、母体の疲労や衰弱、過度の子宮収縮によって起こる過強陣痛(かきょうじんつう)などが原因です。

また、分娩に対する恐怖感など母体の心理的な要因も続発性微弱陣痛を起こす原因の一つに挙げられます。

続発微弱陣痛は、分娩開始から子宮口が全開大となる分娩第1期の終わりから、産道から胎児が出てくる分娩第2期の初め頃に多いとされています。

特に、胎児の頭と母体の骨盤の大きさが合わない児頭骨盤不均衡(じとうこつばんふきんとう)は危険性が高く、産道が通過不可能と判断された場合は緊急帝王切開となります。

出典元:
  • 井上裕美(監)「病気がみえるvol.10産科」P260~263(メディックメディア,2015年)
  • 岡井崇(編)「標準産科婦人科学」P470~471(医学書院,2014年)

微弱陣痛になりやすい体質がある?

体重 PIXTA

BMI値が25.0以上であると肥満と判断されます。妊娠前から肥満の傾向があったり、妊娠中に体重が増えすぎたりした場合、産道に脂肪がついて狭くなってしまうため微弱陣痛になりやすいでしょう。

また、子宮筋腫や子宮腺筋症があり、子宮壁の動きが制限されやすい状態の場合も微弱陣痛のリスクとなります。

微弱陣痛になると、お産が進まずなかなか胎児が娩出されない遷延分娩(せんえんぶんべん)となり、胎児機能不全など胎児に悪影響をおよぼすことがあるため、状況に応じて帝王切開での出産となる可能性があります。

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微弱陣痛となった場合の分娩におけるリスク

微弱陣痛のリスク PIXTA

分娩は陣痛が始まり分娩開始となる第一期から、胎児娩出(たいじべんしゅつ)を経て子宮内の胎盤が体外に出される胎盤娩出(たいばんべんしゅつ)までの第三期に分かれています。

徐々に子宮口が開き始める分娩第一期に微弱陣痛となり、胎児の頭と母体の骨盤の大きさ合わない児頭骨盤不均衡(じとうこつばんふきんとう)が疑われた場合は、放置すれば遷延分娩となる可能性があるため、帝王切開での出産になることがあります。

分娩第二期は胎児が産道を通過し娩出の段階に入っているため、この時期にお産が進まない場合は、吸引分娩を行います。分娩第三期の微弱陣痛は、胎盤が体外へ排出されるのに時間がかかってしまうため、弛緩性出血(しかんせいしゅっけつ)を起こしやすいとされています。

弛緩性出血とは、子宮内から胎盤がはがれた剥離面から出血することで、微弱陣痛により上手に胎盤がはがれないことにより、出血しやすくなってしまうと考えられています。

出典元:
  • 岡井崇(編)「標準産科婦人科学」P470~471(医学書院,2014年)
  • 井上裕美(編)「病気がみえるvol.10産科」P260~263(メディックメディア,2015年)

微弱陣痛となりやすい体質の人は注意しよう

分娩 PIXTA

微弱陣痛には、原発微弱陣痛と続発微弱陣痛があります。微弱陣痛が起こる原因はいくつかありますが、分娩の経過によっては吸引分娩や帝王切開での出産を行う必要があります。

微弱陣痛は元々肥満だった、または妊娠中に急激な体重増加があった場合に起こりやすくなるため、日頃から体重管理に気を配るようにして出産に備えましょう。

記事の監修

ポートサイド女性総合クリニック〜ビバリータ〜 院長

清水なほみ

通常の婦人科診療のみならず、最新の脳科学×心理学×医学を統合的に駆使した診療を行う婦人科医。日本で100名しか習得者がいない、トランスフォーメーショナルコーチのテクニックを学び、診療の現場においても、3年間で延べ6000人の患者に同テクニックを用いて診療を行っている。
中学時代のいじめや研修医時代のうつ経験から、「病は気から」を科学的に解明するための研鑽を積む。何気ない会話の中で患者に気付きを与え、片頭痛やイライラをあっさり「忘れさせる」診療には定評がある。5分で病気の「本当の原因」を見抜くため、患者からは「先生は占い師ですか!」と驚かれる。

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