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監修:齋木啓子

【医療監修】ケイツー(K2)シロップとは?飲ませ方や投与するときの注意点

赤ちゃんが生まれると与えるケイツーシロップは、ビタミンKが不足しやすい赤ちゃんの乳児ビタミンK欠乏性出血症を予防する役割があります。投与回数は病院によって異なりますが、医師の指示のもと正しくケイツーシロップを投与してあげることは赤ちゃんを守るためにも重要なことです。ケイツーシロップがどのような薬なのか、飲ませ方や飲ませるときに注意すべきポイントなどをご紹介します。

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ケイツーシロップとは?

ケイツーシロップとは、ビタミンK欠乏性出血症の予防をするための薬剤です。ビタミンK欠乏性出血症は、ビタミンKが不足することで血液が固まりにくくなり出血を起こしてしまう病気のことを指します。

特に生まれたばかりの赤ちゃんはビタミンKを作る腸内細菌がなく、出血が起こった場合重症化しやすい傾向にあるためケイツーシロップを投与してビタミンKを補う必要があります。

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ケイツーシロップを投与する回数

新生児 PIXTA

日本では、1989年より、出生時、生後1週間(産院退院時)、1ヶ月健診時の3回投与が定着しています。ケイツーシロップの予防的投与によって、ビタミンK欠乏性出血症を起こす赤ちゃんは減少しました。

しかし、日本小児科学会新生児委員会が1999年から2004年までの6年間を対象とした全国調査によって、ビタミンK欠乏性出血症を起こしてしまった赤ちゃんがわずかながらいたという調査結果があったため、2010年に新たなガイドラインが策定されました。

新しいガイドラインでは、これまでと同様に、出生時・生後1週間(産院退院時)・1ヶ月健診時の3回投与が推奨されていると記載していますが、以下のような文言が新たに追加されました。

出生時、生後 1 週間(産科退院時)および 1 か月健診時の 3回投与では、我が国および EU 諸国の調査で乳児ビタミン K 欠乏性出血症の報告がある。この様な症例の発生を予防するため、出生後 3 か月までビタミン K2 シロップを週 1 回投与する方法もある。 ※1

母乳育児をしている場合、ビタミンKが不足することがあるため、病院によってはケイツーシロップを継続して与えるよう指導されることがあります。

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ケイツーシロップの飲ませ方

新生児 薬 PIXTA

投与を継続する場合、週1回の投与となるため、病院によっては1ヶ月健診でケイツーシロップを出され自宅で飲ませるよう指導されることがあるかもしれません。

シロップの包装をそのまま赤ちゃんの口に持っていくと唇を傷つけてしまうことがあるため、赤ちゃんが安全に飲めるように工夫をしましょう。以下の方法を参考にしてみてください。

哺乳瓶で飲ませる

哺乳瓶を使って飲ませる場合は、赤ちゃんが飲みきれるように量を10ml以下に調整します。母乳やミルク、湯冷ましなどに混ぜて飲ませるとよいでしょう。

スプーンで飲ませる

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スプーンで飲ませる場合は、ケイツーシロップの原液を少しずつスプーンにのせて赤ちゃんの口の中に入れてあげます。一度に与えるのではなく数回に分けてあげるようにするとよいでしょう。

赤ちゃんの頬の内側に沿って流し込むようにするとうまく飲ませることができます。赤ちゃんによってはスプーンを嫌がることがあるかもしれません。その場合は他の方法で与えるようにしましょう。

哺乳瓶の乳首を利用する

まずは哺乳瓶の乳首を外して赤ちゃんにくわえさせます。乳首部分にケイツーシロップの原液を少しずつ流し込んで飲ませます。ケイツーシロップがこぼれないように、ママが哺乳瓶の乳首を支えながら流し込みましょう。

流し入れて赤ちゃんに吸ってもらうという飲ませ方ですが、哺乳瓶の乳首を嫌がる赤ちゃんには不向きかもしれません。

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飲ませ忘れてしまったときはどうする?投与するときの注意点

新生児 amana images

生まれて間もない赤ちゃんへの薬の投与は不安に感じる方がいるかもしれません。ケイツーシロップは服用のタイミングや一回に与える量が決まっているため、飲ませるのを忘れてしまったときなどはどうしたよいのか困ってしまう場合がありますよね。

もし飲ませ忘れた場合は、気が付いた時点でできるだけ早めに飲ませるようにしてください。忘れてしまったからといって一度に2回分を飲ませてはいけません。

また、誤って多く飲ませてしまった場合は医師に相談してください。自分の判断で飲ませたり飲ませるのをやめたりすることはやめましょう。

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ケイツーシロップでビタミンK欠乏性出血症を防ごう

新生児 授乳 PIXTA

赤ちゃんが生まれたら、ビタミンK欠乏性出血症を防ぐためにケイツーシロップを投与することが大切です。薬についてよく分からないことや、納得できないことがある場合は、遠慮せず医師に相談するようにしてくださいね。

ケイツーシロップは3回の投与が基本とされています。ミルク育児メインの場合粉ミルクにビタミンKが含まれているため、3回の投与で終わることがほとんどです。しかし母乳育児メインの場合、ビタミンKが不足してしまうことがあるため継続して投与する場合があります。

ケイツーシロップを投与する際は、医師の指示に従い自分の判断での投与はやめましょう。赤ちゃんの健やかな成長を見守っていきたいですね。

記事の監修

家庭医、在宅医

齋木啓子

2004年島根医科大学卒。独立行政法人国立病院機構姫路医療センターにて初期研修、CFMDにて家庭医療後期研修および在宅フェローシップ、Leadership Training Fellowship-distant(LTF-distant)修了。
12年にふれあいファミリークリニックを開設し、院長として勤務。17年にEU Business SchoolにてMaster of Business Administrationを取得し、LTF-distant運営・指導に当たっている。現在は悠翔会在宅クリニック新橋で院長として勤務。
家庭医療専門医、在宅医療専門医、経営学修士。

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引用元一覧

  • ※1 日本小児科学会新生児委員会ビタミン K 投与法の見直し小委員会「新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤投与の改訂ガイドライン (修正版)」(http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/saisin_110131.pdf,2018年3月7日最終閲覧)

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