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監修:清水なほみ

【医療監修】アンタゴニスト法とは?採卵方法とメリット、デメリット

アンタゴニスト法は顕微授精や体外受精にステップアップして、採卵を試みる際に行う卵巣刺激法の一つです。採卵する上で多くの成熟卵を育てるのに有効な方法ですが、メリットやデメリットがあります。アンタゴニスト法の特性を理解した上で治療を進めていきましょう。顕微授精や体外受精を検討中の方は参考にしてみてください。

PIXTA

アンタゴニスト法とは?

アンタゴニスト法とは、不妊治療における調節卵巣刺激法の一つで日本では2006年から導入された方法です。調節卵巣刺激法は、主に顕微授精や体外受精の成功率を上げて、卵巣内で発育した卵胞をよりよい状態で採卵するための方法です。顕微授精や体外受精にステップアップして、採卵が必要になった際に行います。

アンタゴニスト法は、月経3日目から排卵誘発剤の注射を始めます。卵胞がある程度発育してきたら卵巣刺激による排卵を防止するためにGnRHアンタゴニスト製剤を注射することで、採卵のタイミングを調節する方法です。

調節卵巣刺激法には、アンタゴニスト法の他にロング法、ショート法があり、卵巣機能の状態やコスト面などの事情によってその方に合った治療方法を選択します。

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アンタゴニスト法のスケジュールと平均採卵数

アンタゴニスト法による採卵方法と平均採卵数 PIXTA

アンタゴニスト法は、ホルモン剤の注射によって卵胞を育て、排卵抑制の注射をしながら採卵に適した卵胞の大きさになるのを待つというという方法です。

  1. 月経3日目から卵胞を育てるために卵胞刺激ホルモン(FSH/HMG)の注射を毎日行う
  2. 卵胞が十分に育ったところ(12~14mm程度)で、排卵を抑制するGnRHアンタゴニスト製剤を注射する
  3. GnRHアンタゴニスト製剤の注射を使用しながらFSH/HMGの注射を継続する
  4. 卵胞が18~20mm程度まで成長したら採卵する

注射は適切な指導を受ければ、自宅にて自己注射も可能です。どのくらいで育つのかは個人差があり、数日間病院に通いながら経過をみます。

平均採卵数

アンタゴニスト法を行った際、一回の採卵数はどれくらいなのでしょうか。年齢や治療の状況などにより個人差が出ますが、年齢別の平均的な採卵数は以下の通りです。

  • 25歳前後:4~10個程度
  • 35歳前後:5個程度
  • 40歳前後:3個程度

年齢が上がるにつれて採卵数は減少していく傾向にありますが、採卵数が少なくても顕微授精や体外受精を行うことは可能です。採卵数にこだわり過ぎずゆったりとした気持ちで治療を進められるとよいですね。

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アンタゴニスト法のメリット・デメリット

不妊治療 PIXTA

アンタゴニスト法には、メリットはもちろんデメリットも存在します。治療の際はきちんと双方を理解しておきましょう。

アンタゴニスト法のメリット

  • 薬剤を使う期間が短く、長期通院せずに済むため精神的負担が少ない
  • 排卵コントロールが可能で採卵日のコントロールがしやすい
  • 多くの卵子を得ることができる
  • 誘発剤の使用量が少ないため、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になりにくい

アンタゴニスト法は薬剤の使用期間が短く、長期通院せずに済む点が大きなメリットです。負担やリスクが少なく、治療を行うことができるのなら女性としては安心できてうれしいですよね。卵胞の反応もよければ成功する可能性も上がるので、期待も上がります。

またロング法やショート法のようにhCGを使用しないため卵巣刺激のリスクである多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)やOHSSといわれる卵巣過剰刺激症候群(らんそうかじょうしげきしょうこうぐん)を起こしにくいとされています。

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アンタゴニスト法のデメリット

副作用 PIXTA

  • 高額な費用がかかる
  • アゴニスト法(ショート法、ロング法)に比べ、排卵してしまう可能性がわずかにある
  • 排卵抑制により卵胞が未成熟になる可能性がある
  • 治療は短期間だが、注射を打つ期間は毎日通院が必要となる場合がある

アンタゴニスト法のデメリットの一つに費用が高額な点が挙げられ、治療を受ける病院によりますが、採卵をするまでに診察や注射などが必要となります。特に排卵抑制のために使用するアンタゴニスト製剤の注射で高額な費用がかかります。

さらに、排卵コントロールをするために点鼻薬を使用するアゴニスト法に比べて、わずかではあるものの排卵する可能性があります。

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アンタゴニスト法の体験談

アンタゴニスト法を選択する理由と体験談 PIXTA

アンタゴニスト法は顕微授精や体外受精をするための、採卵における比較的新しい方法です。実際に体験した方の体験談をご紹介します。

採卵まで費用がかかるのが大変

私も今年2回採卵しました。1回目は採卵して6個採れたけど、ほとんど未熟卵で1個は顕微受精させたけど受精せず撃沈。
その時点で1回目の治療は終了となるのですぐに助成金の申請して、戻ってきたお金を2回目の採卵に当てました。
やってみて思ったのは、採卵周期は採卵の日までに掛かる、薬や注射代もけっこうバカにできず、私の場合はアンタゴニスト法でしたが、採卵までに約10万円ぐらい掛かりました。
私は幸い、卵胞の育ちはまずまずで、仕事が看護師なので、本来なら病院でやらなければならない筋肉注射も、家に持ち帰り、看護師の友達に打って貰えたので、通院回数はかなり少なかったですが、卵胞の育ちがゆっくりの人は、通院回数も増え、その分、エコー代なども掛かるので、多目に見積もっておくことをおすすめします。
今の段階で、5~60万がすぐに出せるなら、とりあえず採卵してみて、その結果で次を考えてもいいかもしれませんね。
体調面でも、金銭面でも、実際やってみないと、分からないこと多いです。
お互い頑張りましょうね(^-^)
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不妊治療のステップアップは治療費が上がるのがつらい点ですね。採卵して受精、妊娠までスムーズにたどり着けるとうれしいですが、二度目、三度目となると費用がかさみ経済的につらくなってしまうことがあるようです。

病院で指導を受けて自己注射した

病院の方針で 自己注射でした😅 
自己注射できるまで 看護師さんの指導受けましたよ❗
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自己注射でした!
いちいち病院に行かなくていいので楽ですよ😊
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アンタゴニスト法でしたが、
生理3日目から約一週間程自己注射がありました。
私も最初はビビってましたが、キチンと説明もありますし
なんとか乗り切れました(*´꒳`*)
頑張ってください!
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アンタゴニスト法では毎日注射をする必要がありますが、病院の方針で自己注射するという方がいるようです。自分で行うのは緊張するかもしれませんが、注射のために毎日通院しなくてよいのはうれしいですね。

アンタゴニスト法で採卵、移植して妊娠

検診 PIXTA

私もAMHが低く、同じアンタゴニス法でした。毎回3個か4個しか採れませんでした。3回採卵で1回目は全滅、2回目は6日胚盤胞2個、3回目は5日胚盤胞と6日胚盤一個ずつ、その中の5日胚盤胞で妊娠出来ました。
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私は8月9月と顕微授精をしました。
同じくアンタゴニストです。
そして、タイミング2度、人工6度撃沈です💦(中略)

2度目は採卵までに大小合わせて8つあると言われましたが実際採卵してみれば5つでした。

うち4つが正常受精で、その内の1つが受精3日目で移植出来るまでに成長し、それを移植し今回妊娠しました(^^)
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私もアンタゴニスト法で顕微授精して授かりました!
昨年末からピルを飲み始めて、1月末に採卵、3月末に移植し(私の体の状態から1ヶ月お休みしました)、4月の初めに妊娠判定でした。
なので、ピル飲み始めてから妊娠判定まで3ヶ月ちょっとです😊

うまくいくことを願っています✨✨
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アンタゴニスト法で採卵、移植をして妊娠したという方の中には、何度か採卵を試みたという方がいらっしゃいました。一度に複数の採卵は可能ですが、必ず妊娠できるとは限りません。移植してさらに妊娠が判明したときは本当にうれしいですよね。

アンタゴニスト法を理解して、自分に合った最適な方法で!

理解 PIXTA

顕微授精や体外受精にステップアップすると、なるべく多くの卵子を採卵したい、体には負担をあまりかけたくないなど、採卵するための方法を決めるのはとても悩むところかもしれません。

不妊治療は一般的に費用の負担も大きいため、より効果の高い方法を模索したいですよね。ご自分に合った方法を探るために、医師とのコミュニケーションを取りながら最適な方法を選びたいですね。

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記事の監修

ポートサイド女性総合クリニック〜ビバリータ〜 院長

清水なほみ

通常の婦人科診療のみならず、最新の脳科学×心理学×医学を統合的に駆使した診療を行う婦人科医。日本で100名しか習得者がいない、トランスフォーメーショナルコーチのテクニックを学び、診療の現場においても、3年間で延べ6000人の患者に同テクニックを用いて診療を行っている。
中学時代のいじめや研修医時代のうつ経験から、「病は気から」を科学的に解明するための研鑽を積む。何気ない会話の中で患者に気付きを与え、片頭痛やイライラをあっさり「忘れさせる」診療には定評がある。5分で病気の「本当の原因」を見抜くため、患者からは「先生は占い師ですか!」と驚かれる。

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