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監修:齋木啓子

【医療監修】ヘルパンギーナとはどのような病気?原因と治療法、手足口病との違い

夏に流行するウイルス性感染症の一つであるヘルパンギーナ。高熱と、口の中に水疱ができることが特徴です。この病気にかかると、口腔内の痛みからくる食欲不振や不機嫌になりやすくなります。脱水症状になりやすいため注意しましょう。抵抗力が低下している大人もかかる場合があります。また、症状がなくなっても長期間ウイルスが排出されるため注意が必要です。ヘルパンギーナの症状や治療法などをまとめました。

PIXTA

ヘルパンギーナとは

ヘルパンギーナとは、発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性の発疹を特徴とする、いわゆる夏かぜの代表的疾患です。コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどが病原となります。子どもが罹患するケースが目立つ病気です。

症状が手足口病と似ていますが、手足口病の方はヘルパンギーナよりも口の前の方に水疱疹ができ、口以外に手のひらや足の裏に水疱疹ができることが特徴です。

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ヘルパンギーナの原因

おむつ替え PIXTA

ヘルパンギーナの感染原因はコクサッキーウイルスやエンテロウイルスなど複数存在します。感染経路は、接触感染を含む糞口感染と飛沫感染です。

熱が下がって症状がなくなっても、便からウイルスが排出されます。この間は感染の危険があるので、トイレ後の手洗いなどを徹底する必要があります。

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ヘルパンギーナの症状

発熱 子供 PIXTA

ヘルパンギーナの症状にある特徴は、突然38℃以上の高い熱が出ることと喉の炎症です。喉には直径1~2㎜ほどの水疱ができます。水疱はやがて破れ、浅い潰瘍を形成し、痛みを伴うようになるため、子どもは食欲がなくなったり機嫌が悪くなったりします。

熱は2~4日間程度で解熱し、口の中の発疹はそれから少し遅れて消失します。あまり重症化することはないといわれていますが、まれに、発熱中に熱性けいれんを起こすことや、合併症として髄膜炎や心筋炎を起こす可能性があります。

大人が感染する場合がある

ヘルパンギーナは主に子どもがかかる病気と言われていますが、大人でも体調不良の場合や抵抗力が低下している場合、子どもから感染してしまう場合があります。

発症してしまった場合、無理に仕事をせずに体力の回復をはかりましょう。

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ヘルパンギーナの診断

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ヘルパンギーナの確定診断は、口腔内の拭い液や糞便を使ってウイルスを分離するか、ウイルス抗原を検出して行います。

しかし実際には、ヘルパンギーナは特徴的な症状が出るため、確定診断をしなくても、症状による診断で十分なことがほとんどです。

保育園や幼稚園の登園はいつから?

ヘルパンギーナは学校で流行が起こった場合にその流行を防ぐため、必要であれば校長が学校医の意見を聞き、学校感染症第三種の感染症として措置できる疾患で、“条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる感染症”に分類されています。

出席停止の措置に条件が付けられている理由としては、ウイルスに感染していても症状が出ず登園している場合や、治癒後も長期間ウイルスが排出されることから、症状のある子どもを出席停止にしても流行を止めることにはならないことが挙げられます。したがって、出席するかどうかは流行を止める意味ではなく、罹患した子ども自身の全身状態で判断とされています。

保育園への登園についての目安は、厚生労働省の『保育所における感染症対策ガイドライン』では「発熱がなく(解熱後1日以上経過し)、普段の食事ができること」とされています。詳しくは自治体の登園基準を確認し、医師の判断を仰ぎましょう。

また、元気になって登園しても、便からは2 ~4週間の長期にわたりウイルスが排泄されるため、感染への注意は必要です。

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ヘルパンギーナの治療法

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現在、ヘルパンギーナのウイルスに作用する薬はありません。そのため、治療は症状を和らげる対症療法となります。脱水症状を起こすことがあるため、気をつけて様子を見ましょう。

もしも髄膜炎や心筋炎を合併している場合には、医療機関の受診が必要です。看病している際には経過を注意深く観察し、不安な症状がある場合は医師に相談しましょう。

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脱水症状に注意、刺激のない飲み物や氷で水分補給を

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ヘルパンギーナに感染すると口の中が痛くて、食べることや飲むことが難しくなります。高熱を伴うことも多く、脱水症状が心配です。

口内の痛みのために水分が摂れない場合には、オレンジジュースなどの酸っぱくて刺激があるものは避けます。牛乳なら比較的刺激が少なく飲みやすいかもしれません。小さい子どもの場合は、細かくした氷をなめさせて水分を摂らせる方法もあります。

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ヘルパンギーナの予防法

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ヘルパンギーナの予防のためには、一般的な風邪予防と同じく、手洗いをこまめに行うことが大切です。子どもがヘルパンギーナに感染した場合や、クラスで患者が出ている場合には、家にいる大人も感染予防をしましょう。

おむつ替え後の手洗いを必ず行い、子ども自身にもこまめに手洗いや手指消毒をさせましょう。また、集団生活では特にタオルを共用しないことも大切です。

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ヘルパンギーナはこまめな手洗いで予防しよう

清潔 PIXTA

子どもだけがかかると思われやすいヘルパンギーナですが、大人が感染してしまう場合があります。突然の高熱や喉の痛みなど、つらい症状が襲ってくるヘルパンギーナ。子どもはもちろんのこと、大人も一緒に予防をする必要があります。

また、万が一感染してしまった場合には、発熱と喉の痛みによる脱水症状に注意が必要です。喉の痛みが強い病気なので、少しでも痛みを感じにくい飲み物を用意し、少しずつ飲ませてあげることで症状を楽にしてあげましょう。

また、症状が治まった後も、しばらくは念入りな手洗いなどの感染予防を続けることも大切です。

記事の監修

家庭医、在宅医

齋木啓子

2004年島根医科大学卒。独立行政法人国立病院機構姫路医療センターにて初期研修、CFMDにて家庭医療後期研修および在宅フェローシップ、Leadership Training Fellowship-distant(LTF-distant)修了。
12年にふれあいファミリークリニックを開設し、院長として勤務。17年にEU Business SchoolにてMaster of Business Administrationを取得し、LTF-distant運営・指導に当たっている。現在は悠翔会在宅クリニック新橋で院長として勤務。
家庭医療専門医、在宅医療専門医、経営学修士。

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本記事は必ずしも各読者の状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて、医師その他の専門家に相談するなどご自身の責任と判断により適切に対応くださいますようお願いいたします。なお、記事内の写真・動画は編集部にて撮影したもの、または掲載許可をいただいたものです。

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