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監修:清水なほみ

【医療監修】稽留流産とは?診断された場合の対応と、その後の妊娠率

妊娠が分かって喜びや不安が入り混じる気持ちもつかの間、健診で「稽留(けいりゅう)流産」と告げられた場合、どうしたらよいのでしょうか。突然の宣告である場合が多く、妊婦健診で胎児との対面を楽しみにしていた方にとってショックは図り知れません。しかし、稽留流産をしてしまった場合、手術を受けるか、待機するかの選択をする必要があります。手術や待機に関する考え方は医師によって異なりますが、どのような選択肢があるのか知っておきましょう。

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稽留流産とは?

稽留流産(けいりゅうりゅうざん)とは、流産の種類の一つで、胎児の心拍が確認されていたにも関わらず、その後の成長がみられず心拍が停止しているというときに診断されます。

進行流産や完全流産というように出血とともに胎児が排出される状況ではなく、子宮の中で死亡した胎児がとどまった状態です。

稽留流産を含む、妊娠初期の流産の多くは、染色体異常と呼ばれる胎芽や胎児の異常であることが分かっています。

妊娠初期の流産は、全妊娠の15%くらいの方に起こり、「妊娠に気付く前にすでに流産していた」という状況も含めると20%~30%程になるともいわれています。

出典元:
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妊娠してうれしい反面、誰もが少なからず流産の心配をしてしまいますよね。…

稽留流産と診断されたら

診察室 PIXTA

先ほども触れましたが、稽留流産は、胎児の心拍が止まっているものの、そのまま子宮内にとどまっている状態です。

死亡した胎児がそのままの状態で子宮内にとどまっていると、進行流産に移行して大量出血を起こす可能性や、子宮内で感染を起こしてしまう可能性があるため、胎児の成長が止まった週数によっては手術を受けるよう勧められることがあります。

大量出血や感染などが起これば、救急搬送や緊急手術が想定されます。また、場合によっては子宮にダメージが及ぶといったリスクを負いますので、稽留流産が分かれば早めの対処が求められることがあります。

稽留流産と診断された場合の対応は、以下の二つの方法があげられます。

自然に排出されるのを待つ

比較的早い週数で成長が止まった場合や、すでに出血が始まっていてこのまま自然排出になりそうな場合は、胎児が自然に排出されるのを待つという選択をすることがあります。この選択をすることで、妊婦さんが流産を受けとめる時間を作ることができます。

ただし、この方法は早期流産が起こった時に限られます。また、突然の大量出血や強い腹痛に襲われるようなリスクもあるため、産婦人科によって待機に対する見解が異なります。

妊婦の気持ちに寄り添って、1~2週間ほど待機の期間を設ける医師もいますが、それ以降自然に排出されない場合は、手術を行います。

待機をする時間にも、胎盤からは妊娠を成立させるためのHCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の分泌が続きます。HCGの分泌を早く止め、リセットを経て次の妊娠への体づくりを促すという意味でも、待機よりも以下の手術を勧める医師もいます。

子宮内除去手術を受ける

子宮をリセットさせるために、妊卵(いわゆる胎児や胎嚢)と胎盤を除去する必要があります。

稽留流産が分かっていながら自然に排出されることを待っていると、大量出血や子宮内感染などのリスクが高まりますので、医師の中では待機を促さず「稽留流産=子宮内除去手術」というスタンスを持っていることがあります。

手術は短時間で終わりますし、手術の終了と同時に妊娠経過で続いていた出血や腹痛が治まります。デメリットとしては、麻酔を使うことや器具を体内に挿入しての手術となるため、母体に負担がかかることがあげられます。

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稽留流産後の妊活開始時期と妊娠率

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流産のあとは妊娠しやすいといえます。流産した人は、まったく流産の経験のない人に比べ最終的に妊娠できる確率は2倍位になるというデータがありました。

つまり流産というのは受精や着床には大きな問題がなく、受精卵の問題ということですので、いい受精卵の場合は流産しないで済むということです。 ※1

一般的には流産後の妊娠率が上がるという根拠はないと言われていますが、上記のように、「流産のあとは妊娠しやすい」と明言する医師もいます。

稽留流産をしてしまったあと、すぐにでも次の妊娠をしたいと考える人、精神的なショックでしばらく妊活に向き合えない人など、稽留流産後にどのように考えるかは人それぞれです。

流産後の妊娠は可能ですが、子宮の状態が戻るまでしばらく時間が必要です。生理が1~2回くるまで妊活を再開するのは待ちましょう。

また、流産後、最初の生理がくるまでの間は子宮内で感染が起こりやすい時期のため、コンドームを使用して避妊をしましょう。

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稽留流産は誰にも防げない

希望 PIXTA

稽留流産は現在の医学では防ぐことができないとされています。また、稽留流産は妊娠初期に判明することが多いため、喜びと悲しみを同時に味わい落胆してしまう人も多くいます。

ですが妊娠初期流産は6人に1人が経験するといわれるほど珍しいことではありません。稽留流産後はゆっくりと体と心を休めて、自身の健康に気を配るようにしましょう。

すぐには難しいかもしれませんが、産婦人科医やご家族とコミュニケーションを取りながら、次の妊娠に向けて気持ちを切り替えていきましょう。

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記事の監修

ポートサイド女性総合クリニック〜ビバリータ〜 院長

清水なほみ

通常の婦人科診療のみならず、最新の脳科学×心理学×医学を統合的に駆使した診療を行う婦人科医。日本で100名しか習得者がいない、トランスフォーメーショナルコーチのテクニックを学び、診療の現場においても、3年間で延べ6000人の患者に同テクニックを用いて診療を行っている。
中学時代のいじめや研修医時代のうつ経験から、「病は気から」を科学的に解明するための研鑽を積む。何気ない会話の中で患者に気付きを与え、片頭痛やイライラをあっさり「忘れさせる」診療には定評がある。5分で病気の「本当の原因」を見抜くため、患者からは「先生は占い師ですか!」と驚かれる。

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