ⓒ能一ニェ/ちんねん
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落ち着きがなく、運動が苦手な小学1年生が「風邪」で受診
今回のお話の中心は、7歳の雄大くんとママ。雄大くんは家でも学校でも落ち着きがなく、あちこち動き回ってしまう小学生でママはそんな雄大くんに手を焼いていました。しかし雄大くんはたくさん動き回りはしますが、運動そのものはすぐ疲れてしまってちょっと苦手。
ある日、雄大くんはママと一緒に、総合病院の小児科を訪れていました。その理由は風邪気味で、さらに肝臓の数値が高いと指摘されたからでした。
「発達が遅いのは遺伝かも」考えていたママと、見落とされていた病気
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最初の診察では大きな異常は見られず、家に帰った雄大くんとママ。普段通りの日常を過ごす中で、ママは雄大くんの落ち着きのなさや集中が続かない様子に「発達は自分からの遺伝では」という思いをいだきます。
そんなある日、雄大くんが急に高熱を出します。熱は一向に下がらず、雄大くんは救急搬送。既往歴もない雄大くんに小児科医の平野は一通りの診察を行いますが、心臓の音が健常者とは異なることに気付きます。
診察と検査の結果、平野の先輩である小児科医・神辺は雄大くんを「バセドウ病である」と診断しました。
診断できてからでも、十分治療できる
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雄大くんの落ち着きのなさや運動が続かない原因は、今回のケースでは発達の遅れではなくバセドウ病によるものでした。平野はこれまでに雄大くんのバセドウ病が見落とされてきたことに葛藤を覚えますが、先輩・神辺は平野の考えに耳を傾けながらも自分の意見を伝えます。
一方、バセドウ病の治療を始めたことで行動に落ち着きが出て、疲れやすさも軽減してきた雄大くんは、学校で友だちができました。ママは雄大くんが学校生活や友だちとの関係を充実させていく様子をとてもうれしく思っていました。
作中にも解説がありますが、小児バセドウ病の診断は難しく、甲状腺の腫れの他にも細かい症状を見極めて総合的に診断する力が必要な病気だということです。
幼いころの雄大くんを自分が診察できていたら、もっと早く雄大くんの病気を見つけられたのでは、と感じる平野の言葉に対して先輩・神辺が答えた言葉は非常に考えさせられます。ぜひ本編で詳細を確認してみてください。
原作者・小児科医 ちんねん先生からのコメント
はじめまして。神辺先生の当直ごはん 原作担当で現役小児科医のちんねんです。
私自身も作中に登場する乳幼児健診を担当する中で、子どもの発達の個人差に驚かされます。9か月で歩き始める子と1歳半で歩き始める子。人生で2倍の時間差がありますが、どちらも正常発達です。正常ですらこれだけ振れ幅がある発達、親御さんがさまざまな不安を感じる機会が多いのも当然だと思います。
育児不安を取り除くこと、それは各自治体がかかげる健診の目的の一つであり、たとえ健診でなくても『育児中に感じた不安』はそれだけで十分な受診理由だと思います。
そしていざ受診、診断となった場合、作中のお母さんがそうだったように、治療までにかかった時間について考えてしまうこともあるでしょう。しかし、子どもの成長は治療によるものだけではないと思います。
例えば、好きなアーティストのライブに行くときワクワクしますよね。新しい職場では人と仲良くなれるか緊張しますよね。子どもはそのワクワクや緊張を世の中すべてに感じながら成長するのが日常です。そのパワーたるや…。
診断が早ければ結果が変わったかどうかは誰にもわかりません。ただ家族が与えていたそんな日常が一番効果的なものであった、それを日々の診療の中で感じることは多いです。
『神辺先生の当直ごはん』第2巻
深夜の急変の多い小児病棟。持ち場を離れることは出来ないが、「1日1食は美味しいものを食べる」という信念のもと、医局で自炊する変わり者の医師がいた!?
子どもの病気には家族の在り方がかかわってくる。発達の遅れ、治る病気と治らない病気――。食を愛する医師が向き合う命の形は…?
医療に詳しくない方でも分かりやすいよう描かれており、作中には美味しそうな『神辺先生の当直ごはん』が何度も登場します。読んでいるうちにおなかが空いてしまうかも?ぜひ読んでみてくださいね。