近年、若い女性にがんが急増しています
国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービスの情報によると、30~39歳のがん患者の中で最も多いのは乳がんです。
発症数は40歳代後半から50歳代がピークとなりますが、20歳代から増え始めて30歳代に急激に増加するので、若年層でも油断できません。
子宮頸がんにおいても20~30歳代でも増加しており、30~39歳のがん患者の中で乳がんの次に多く、婦人科悪性腫瘍のなかで最も多いがんです。
- 日本婦人科腫瘍学会「市民の皆さまへ」(https://jsgo.or.jp/public/introduction.html,2021年3月26日最終閲覧)
- 飯塚病院「女性に多いがん」(https://aih-net.com/pikarada/word/1802/,2021年3月22日最終閲覧)
- 国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス「最新がん統計」(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/child_aya.html,2021年3月22日最終閲覧)
- 国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス「小児・AYA世代のがん罹患」(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/child_aya.html,2021年3月22日最終閲覧)
女性のがんの原因は?
女性のがんの原因として考えられるのは、どんなものがあるのでしょうか。
女性ホルモンの影響
乳がんや子宮体がんは、エストロゲンという女性ホルモンが大きく関与しています。
日本婦人科腫瘍学会では下記のように明記しています。
女性ホルモンの一つであるエストロゲンは子宮内膜を増殖させ、子宮体がんや前がん病変である子宮内膜増殖症の発生に関与しますが、乳がんも女性ホルモンに関連して発生する腫瘍です。 ※1
ウイルスによって引き起こされる子宮頸がん
がんの原因の一つとして感染によるものがあります。ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルス感染が原因で、子宮頸がんや膣がんなどにかかる場合があります。
ヒトパピローマウイルスは、性交渉など、皮膚や粘膜の接触により感染します。感染そのものは、性交渉の経験のある女性の約8割がこのウイルスに一生に一度は感染すると言われているくらいありふれたもので、感染しただけでは何も異常は怒りません。
しかし感染したウイルスが活動する状態が続いてしまうと、がんが発生しやすくなります。
- 日本婦人科腫瘍学会「市民の皆さまへ」(https://jsgo.or.jp/public/introduction.html,2021年3月26日最終閲覧)
- 国立がん研究センター情報サービス「がんの発生要因」(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/factor.html,2021年3月10日最終閲覧)
女性のがんを予防・改善するには?
女性のがんを予防・改善するためにできることを考えてみましょう。
生活習慣を見直す
国立がん研究センター情報サービスによると、がん以外の病気にも悪影響となる多量の飲酒や喫煙、運動不足など、生活習慣を見直すことはがんの予防や症状の改善につながるとしています。
特に飲酒は免疫機能を抑制し、女性ホルモンのエストロゲン代謝にも影響を及ぼすことが報告されているそうで、乳がんや子宮体がんを予防するためにも、過剰な飲酒は控えることをおすすめします。
食生活を見直す
毎日の食事でもがんの予防につながることがたくさんあります。肥満はがんリスクを高める原因の一つにもなるので、暴飲暴食を控えてバランスの良い食生活を送るようにしましょう。
動物性脂肪もがんの原因の一つとして考えられているそう。加工肉や脂肪の多い食物も控えるようにしてください。
適度な運動をする
国立がん研究センター情報サービスによると、適度な運動は閉経後の乳がんと子宮体がんのリスクを下げる可能性があると明記しています。
毎日60分程度の歩行や、週1回程度は汗をかく程の運動を心がけると良さそうです。
禁煙をする
国立がん研究センター情報サービスによると、喫煙はがんの原因の一つになることが、科学的に明らかなのだそうです。喫煙は、たばこを吸っている本人だけでなく、周りにいる人たちも受動喫煙となり、健康被害を引き起こしてしまう可能性があるでしょう。
がんを予防するためには、たばこを吸わないことが大切です。現在喫煙しているという人でも、今日から禁煙することを考えてみてはいかがでしょうか。
- 岡山済生会総合病院「市民公開講座「女性のがんから身を守ろう」Q&A」(https://www.okayamasaiseikai.or.jp/cms/wp-content/uploads/2015/11/cancer05.pdf,2021年3月26日最終閲覧)
- 国立がん研究センター「がんの発生要因」(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/factor.html,2021年3月10日最終閲覧)
定期検査を受けましょう
がんは場合によっては命にもかかわる病気ですが、早期発見によって死亡率を下げ完治へ近づくことができるものです。「がんだったらどうしよう」と不安を抱えるのもよくないので、定期的にがん検診を受けて安心と早期発見を手に入れることをおすすめします。
がん検診は、お住いの地区町村から無料クーポンが配布されているので、気になる方は各自治体のがん検診窓口にお問い合わせください。女性の場合、子宮頸がん検診は20歳から、乳がんは40歳からが対象となります。ぜひ活用しましょう。
- 日本医師会「がん検診を受けるには」(https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/how/coupon/,2021年3月10日最終閲覧)
- 厚生労働省「がん検診推進事業について」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan11/,2021年3月10日最終閲覧)
若いうちからがんを意識した生活を
がんになる要因はさまざまで、何気なく送っている日常生活の中に危険が潜んでいることもあります。若いうちからがんを予防する生活を心がけ、定期的にがん検診を受け、正しくがんと向き合っていきましょう。