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私の離婚宣言に、夫はしばらく、ただ呆然としていました。そして、やがて、その場に膝から崩れ落ち、また泣き始めました。
「ヒカリ、ごめん。本当にごめんなさい」
「お願い、離婚だけは…」
夫は、私の足元にすがりつき、泣きながら何度も謝ってきました。今まで、こんなに情けない夫の姿を見たことはありませんでした。
「こんな馬鹿な俺に、もう一度やり直せるチャンスをください…」
「全部、俺が悪い。全部、俺が馬鹿だった…」
夫は、自分のしたことに向き合い、心から後悔している様子でした。でも、私の中では、もう夫を許すことはできませんでした。
「こんなこと、恥ずかしくて友達にも相談できないよ」
私は、そう言って、夫から顔を背けました。夫の馬鹿げた行動のせいで、私まで、こんな恥ずかしい思いをしなければならない。その事実が、私をさらに苦しめました。
一方夫は、あれだけ「行きたくない」と泣き崩れていた、針のむしろであろう会社に通い続けていました。 ※1
夫の裏切り行為で夫婦関係は破綻
夫はネット上で知り合った女と、ハダカの動画を見せ合っていたことが発覚。「エロサイトを見るような感覚」で、軽い気持ちでやってしまったそうですが、妻の立場からすると、立派なうらぎり行為です。夫への信用は、地の底へと落ちてしまいました。
そんな中、追い打ちをかけるかのように、夫の家族・友人・会社関係の人たちへ、夫のハダカが拡散されてしまったのです。ばかな行為をした夫を許すことができず、妻は離婚を告げます。
離婚か、再構築か…揺れる妻の心
私は夫が反省を重ね、言い訳をせずに自分の過ちと向き合う姿を見ていくうちに「もう一度支えたい」と思うようになりました。夫は以前にも増して、娘の面倒もよく見てくれるようになりました。家族の大切さを再認識したというのです。
そんなある夜、私は、夫ともう一度、きちんと話をすることにしました。
「ユウキ、今もあの間違いとちゃんと向き合ってる?」
私の言葉に、夫は真剣な表情で頷きました。
「うん。本当に馬鹿なことをした。自分が情けなくて、恥ずかしくて…」
「ヒカリ、俺は、自分がしたことに、一生向き合っていくよ。これは消えない罰だと思ってる。会社でも、皆からどう見られてるかわからないけど、自分がどんな目に遭っても、今後はしっかり働いて、家族に尽くすと決めたから」
夫の言葉は、以前の軽々しいものではなく、心から後悔しているのが伝わってきました。 ※2
一度、離婚を告げたものの、自分の罪と向き合い、家族のために仕事に励む夫を目の当たりにし、妻の心は揺れ動きます。そして、再構築の道を選ぶことを決めます。
再構築の道を歩き出した夫婦
私は、夫の言葉を信じてみようと思いました。夫のことが嫌いになったわけではありません。ただ、信頼を裏切られたのが辛かったのです。夫婦の信頼は、一度壊れてしまうと、なかなか元には戻りません。でも、時間をかけて、少しずつでも、信頼関係を築き直していくことはできるはず。
私は、夫と、そして娘と、もう一度、前を向いて歩いていこうと思いました。夫の過ちを「許す」ことは、きっと一生できないでしょう。でも、夫を「支える」ことは、できると思うのです。
「わかった。もう、大丈夫」
「わたし、またあなたを支えるから。もう二度と裏切らないでね」
私は、夫にそう言って、夫の手を握りました。不信と信頼の間で揺れ動く私の心は、まだ完全に晴れたわけではありません。でも、夫の隣で笑い、娘を抱きしめることができる。そのささやかな幸せを、今、私は、何よりも大切にしたいと思っています。
この経験は、私たち夫婦にとって、大きな試練でした。夫が馬鹿なことをしたせいで、私はたくさんの涙を流し、傷つきました。でも、夫は、自分の過ちと向き合い、変わろうとしてくれています。そして、私も、夫を信じ、もう一度、やり直そうと決意しました。この決断が間違いだったと思う日がこないことを祈りながら、日常の幸せをかみしめて生きていきたいと思います。 ※3
主人公は、夫のことを「一生、許すことはできない」としながらも、信頼回復のため、けん命に自分の罪に向き合う夫を目の当たりにし、再構築の道を歩き始めました。
本作では、夫の軽率な行為のせいで、家庭が崩壊寸前まで追い込まれた様子が描かれています。ほんの軽い気持ちだったのかもしれませんが、妻からみれば、立派なうらぎり行為です。
また、ネットでの軽率な行為は、本当におそろしいですね。家族も仕事も、うしないかねません。しっかりと自衛することは、自分と家族を守ることにもつながります。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
イラスト:きさらぎ










