市川市の保育園が、住民の反対で開園を断念
千葉県市川市で、4月から108人の定員数で子供を受け入れ、開園する予定だった私立保育園が、開園を断念していたことがわかりました。
その原因について同市の担当者は、住民からの反対のためだと説明をしています。
テレビや新聞、インターネットのニュースでは「子供の声がうるさいから」が原因になったと報道された事もあり、待機児童問題がもはや社会現象となっている今、多くのママ達に衝撃を与えているのが現状です。
市川市の待機児童は、現在373人で、全国で9番目に多く、保育園建設による解消が期待されていただけに、この開園断念に肩を落とす保護者が大勢いるのです。
ネット上でも落胆と怒りの声が上がりました
今回の件を知った子育て世代からは、落胆と怒りの声が上がりました。
子供の頃は無音無言なんて無理
赤ちゃんの頃は、泣いたり大きな声が出て当たり前ですよね。そんな赤ちゃんたちを育てるための施設、保育園について「うるさいから」という理由で、開園できないなんて残念だ、という意見が相次ぎました。
地域ごとに、保育園に対する考え方に格差があるのではないかとも言われています。
高級住宅街だから「静かさ」が大切...?
高級住宅街であるがために、その「閑静さ」を守りたくて、反対運動をしたのではないかという意見もあります。確かに高級住宅街の価値として「閑静」というものは大切なのかもしれません。
しかし、昼間の時間の、一部の時間だけを園庭で遊ぶ子供たちの声が、高級住宅街では絶対に受け入れられない「騒音」なのでしょうか。
反対の理由は「子供の声でうるさくなる」と報道されているけれど…
今回の保育園開園予定地は、市川市の中心部に近い住宅街。昨年8月に保育園建設予定地となった看板を立てたところ、住民からの反対意見が相次いだそうです。
住民が反対した理由として、連日報道されている「子供の声でうるさくなる」という声。
報道に埋もれた「保育園が面する道路は狭いので危険だ」という意見
しかし、実際はそれだけではなく「保育園が面する道路は狭いので危険だ」という意見も併せて多く寄せられていたという事実をご存知でしょうか?
住民からは、実際の道幅の危険性について訴える声も
実際にかなり狭い道幅で、保育園を作るには危険な道路であると語る市川市民。
この道は、大きな通りの「抜け道」となっているため、車の通行が多いという近隣住民の声も上がっています。さらに、一方通行ではないのにすれ違いができない道で、車が頻繁にバックすることから、危険性が高いという話もあるようです。
仮に車で送迎しようという保護者が居た場合、渋滞になったり、車が通れなくなることも考えられます。
一方「保育園周辺の道が狭いのは普通にある」という意見も
狭い道に保育園があるというケースも、実際に少なくはないようです。道の狭さで反対運動があったという報道がされているため、「狭い場所に保育園を作る是非」についても議論になっています。
道が狭いと起こりうる「緊急車両通行への支障」
また、今回問題になっている保育園前の道路について、「消防車が入れなかった」という周辺住民の声もある他、万が一送迎の時間帯に緊急車両が来た場合にスムーズに通れるのか?など疑問視する声も。
多くの保育園では、送迎時間帯にたくさんの自転車が園の前に停まる事も十分あり得ます。そういった現状、また実際の道路状況を考えると、やはり危険性が高いと言う意見も、理解できるかもしれません。
何かあってからでは遅い「子供の飛び出し」
筆者も保育園に子供を通わせている1人ですが、2人の子供をお迎えに来ている場合、自転車付近で子供が遊んでしまい、2人の安全を確保しきれないと感じることもあります。
また、同じクラスの子と帰る時間が一緒になると、はしゃいでしまって道路の方に飛び出す場面も見られます。
交通量の多い狭い道路では、事故リスクが高いと言うことはいうまでもありません。
道幅の狭い保育園、どんな対処法が?世の中の意見は?
Twitter上では、実際に道幅の狭い園や、住宅街の園に通わせている保護者や地域の方から、こんな意見が寄せられました。
園の運営で安全面を考慮
園側の運営によって、交通事情による危険を回避していた例もあるようです。狭い道路での車送迎は危険ですし、周辺地域への迷惑になりますよね。園バスで対応があると、保護者側も助かる面があります。
狭い道路の場合は、周辺地域と上手に付き合うための、園の対処が重要になってきますね。
道路事情の改善を
自治体側による、道路事情の解消も求められます。歩道がない道路には、もちろん歩道が有った方が安心ですし、抜け道になってしまって交通量が多いのであれば、道路事情を改善してもらいたいところですよね。
交通整理ボランティアが対処していた
地域のシルバー人材の方などが、交通整理をしている地域もあるようです。筆者の家の近所にも誘導員の方がいて、穏やかに子供を見守ってくれています。
こうした存在は、事故防止や防犯面でありがたいですよね。
親のマナーも問題
保育園に関する「うるさい」の声の中には、保護者のマナー違反も影響しているという声もあります。送迎の車が当たり前のように路上駐車をすること、自転車を大量にとめたまま立ち話をすること等、保護者の節度のない行動が、周辺住民の迷惑になっていることも。
保育園は地域の方の理解でなりたっていることを、保護者も忘れてはいけないですよね。
地域の理解あってこその保育園
待機児童解消のため、保育園の新規開設に乗り出す自治体。もしかすると、保育園の開設を急ぐあまり、周辺の環境や安全性について、十分な議論がなされていない面もあるのかもしれません。
保護者としても、もちろん安全な保育園に預けたいという思いは強いのですが、一方で「多少狭くてもいいから、とにかく保育園に入らせてくれ!」という、切実な保護者の声も大きく聞こえてきます。安全を担保しながら、待機児童を解消していくことは、ただ単に「保育園を建設すればOK!」という簡単な問題ではないようです。
保育園の建設が断念されたことは、とても残念な問題ではありますが、それを周辺住民を悪者にするだけの報道で集結させてしまうのは、果たして正しいのでしょうか?
地域の理解あってこその保育園。安全で、温かく見守られる園を開設するには、地域住民、自治体、保育園、そして保護者が、保育園を取り巻く問題を共有し、思いやっていくことが大切なのだと感じます。