【この記事は不妊治療専門クリニック「京野アートクリニック高輪」の監修で作成しております】
妊活を成功させるために気をつけたい3つのこと
妊活・不妊治療は時間との戦いです
35歳以上は、妊娠率や出産率が低下します。そして、医学的には女性が妊娠して出産できる能力(妊よう性)は45歳までとされています。
「自分自身が何歳のときまでに子どもが欲しいか」を考えて、どのタイミングから妊活を開始するのか、場合によっては不妊治療が必要なのか、をきちんと検討することが大事です。
不妊症なのか把握することが重要です
妊娠しづらい体なのか、もしそうであれば治療すれば治る病気なのか、もしくは克服するのが難しい病気なのか…
「不妊症かどうか」について把握することもとても大事なことです。妊活をしようとしても、不妊症であれば不妊治療が必要になります。
日本産科婦人科学会によると、夫婦生活を1年以上続けても妊娠しない場合、不妊症とみなします。検査しても不妊症の原因がわからない場合も1〜2割ほどありますが、それは不妊症でないということではなく、「機能性不妊」といって原因不明の不妊症ということです。
しかし、8〜9割は検査によって不妊症かどうか調べることができます。なるべく早く不妊検査を受けることで、1年待たなくても不妊症であることがわかりますので、妊活をはじめる前に検査をすることが大事です。
男性側が不妊症かも?夫婦一緒に検査するのが大事です
世界保健機関の調査によると、不妊の原因の半分は男性にあると言われています。
不妊検査は夫婦で一緒に検査を受けにいきましょう。「不妊治療は女性がするもの」という考え方を男性側が持っていることもありますが、夫婦そろって不妊治療へ取り組むことが大事です。
夫婦そろって検査することで、不妊症か把握することもできますし、お互いに不妊治療への理解が高まるので、夫婦そろって納得のいく妊活・不妊治療が送れるはずです。
男性は検査を目の当たりにすることで「女性への理解が深まる」との話もよく聞きます。また、女性側も男性の繊細な心理を理解せずに、夫婦生活のタイミングを押しつけて妊活を進めていくことは、男性側の負担にもなります。夫婦がお互いを理解したうえで妊活をスタートすることが大事なのです。
お互いによく話し合ったうえで、ぜひ早めに夫婦そろって不妊検査をしておきましょう。
では、具体的に「女性の不妊検査」「男性の不妊検査」にわけて、具体的にどんな検査が行われるのか見ていきましょう。
女性の不妊検査についてご紹介
子宮や卵巣の状態をチェック
内診、子宮卵管造影検査、超音波検査などの検査で、子宮や卵巣の状態をモニター画像やX線撮影で調べます。これにより、
- 子宮筋腫、子宮がん
- 卵巣腫瘍
- 卵管閉塞、卵管周囲の癒着
のような症状がわかります。子宮や卵巣がトラブル状態だと妊娠しづらい原因となるので、早めに治療が必要です。
受精しやすいかのチェック
子宮や卵巣の状態に問題がなくても、受精しづらい場合があります。
頚管粘液(けいかんねんえき)と呼ばれる粘液が、精子が卵子までたどりつくための役割を果たしてくれているのですが、この粘液に問題があると受精しづらくなります。
頚管粘液検査、フーナーテストという検査で、頚管粘液について以下のようなことがわかります。
- 頚管粘液の量、粘度
- 抗精子抗体の有無
- 精子の数、運動率
排卵や妊娠にかかわるホルモンの検査
排卵・妊娠は、女性ホルモンの分泌によってコントロールされています。
血液検査で、ホルモンが原因となる下記のような症状を調べることができます。
- 排卵障害の原因
- 多嚢胞性卵巣症候群(排卵がされずに、成長しきらない卵胞が卵巣にとどまってしまうこと)
卵子の個数の検査
不妊検査の一つに卵巣予備能(卵巣内の卵子の数)を調べる「AMH検査」があります。女性の卵子は胎児の頃にすべて作られ、生まれた後に増えることはありません。そのため年齢を重ねれば卵子も老化し数も減っていくのです。
卵巣のなかに残っている卵子の個数を調べることは、妊娠できるチャンスがどれくらい残されているかを知るためにとても重要です。
男性の不妊検査についてご紹介
では、男性側の不妊検査にはどのようなものがあるのでしょうか?主な内容をご紹介します。
精子の状態をチェック
男性の不妊検査で最も一般的で、一番最初にする検査が「精液検査」です。一回分の精液の中に、元気で正常な精子がどの程度いるのかを検査します。具体的には、以下のような項目がわかります。
- 精子の数・運動率
- 精子の奇形率
- 精液の量
- 白血球数
精巣の状態をチェック
精子を作り出す精巣の状態は、「超音波検査」で確認します。精巣の大きさや、精巣腫瘍などがわかります。
精子の形成にかかわるホルモンの検査
精子の形成は、脳から分泌されるホルモンによって行われ、精子の質は遺伝子によって左右されます。ホルモンが正常に分泌されているかどうかの「ホルモン検査(血液検査)」、乏精子症、無精子症を引き起こす遺伝子がないか調べる「遺伝子検査」があります。
検査結果に応じた治療法の選択をしましょう
不妊検査の結果によって、具体的にどのような不妊治療を行っていくかが決まります。不妊治療はすべての人がタイミング法から始めるわけではありません。
年齢と子宮の状態などに合わせて、人工授精や体外受精などから始める方もいるでしょう。不妊治療は時間との戦いなので、早い段階で不妊検査を行っておくことはとても重要なのです。
【年齢が20~30代前半の方】基本的にはタイミング法から
不妊検査で問題がなかった場合は、そのまま妊活を進めることができます。まだ20代から30代前半の方であれば、基本的には、より自然妊娠に近いタイミング法から始めていけるでしょう。
ただし不妊症の原因が不明の場合は「問題がない」という検査結果に含まれるため、妊活を始めてもすぐに妊娠できない可能性もあります。結果が出ないと思ったら、高度な不妊治療へのステップアップも検討しましょう。
【35歳以降の方】体外受精も視野に入れましょう
不妊検査で何も問題がないという結果であっても、もしすでに35歳を超えているのであれば、体外受精や顕微授精など、より高度な不妊治療も検討しておきましょう。
35歳以降の方は妊娠できるチャンスが限られてくるので、一回一回の周期がとても大切になります。限られたチャンスに対して、どういった治療法をとるべきなのか、夫婦で話し合い、医師ともよく相談して決めましょう。
【年齢にかかわらず不妊体質の方】体外受精や顕微授精も検討しましょう
不妊検査で不妊症と診断された場合は、年齢関係なく、すぐに治療を始めましょう。
不妊検査を受け、結果に合った治療をしっかり行っていけば、治療しながらの妊活も可能な場合があります。
どうしても不妊症のため妊娠確率が低くなりがちなので、タイミング法や人工授精とくらべて妊娠確率が上がる体外受精、顕微授精を検討しましょう。
いま一度、妊活への取り組みの見直しをしていきましょう
夫婦で後悔しない妊活をするためには「いつまでに子どもが欲しいか」という計画をたて、そこから計算して「いつから妊活や不妊治療に取り組むべきか」「どういう治療法を選択するか」をきちんと話し合っておくことが大事です。
もし年齢が35歳以降であったり不妊症なのであれば、時間との戦いになってきます。その場合、自然妊娠に近い形での妊娠を望むよりも、体外受精などの高度な不妊治療を早めに選択した方が、子どもを授かる可能性は高くなります。
また、若いうちから不妊治療に取りくむことで、妊娠・出産の確率を高くすることができます。これは高い確率で子どもを授かれるだけでなく、結果的に少ない治療の回数ですむ、つまり治療にかかる費用を抑えられる可能性もあるのです。年齢が重なるごとに、不妊治療で子どもを授かれる確率は下がっていき、それにともなって治療の費用はあがってきてしまいます。
なるべく早めに不妊検査・不妊治療を受けるためにも、「いつから」「どうやって」妊活するのかを夫婦で相談し、お互いに妊活・不妊治療に対する理解を高めておきましょう。夫婦でよく話し合って理解を深めることが、妊活や不妊治療に対して前向きに取り組むことにもつながります。
ぜひ一度、早めに夫婦そろって不妊検査を受けてみてくださいね。
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