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画面越しに見つけた「我が家」
それは、家事の合間にふとスマホを眺めていた時のことでした。
近所で家が売りに出されるという噂を聞き、何気なく大手住宅情報サイトを開いてみたのです。
「どのあたりかしら……」
画面をスクロールしていた指が、ピタリと止まりました。
そこには、見覚えのあるベージュの外壁、私が手入れしている玄関先の寄せ植え、そして数年前に新調したばかりのポストが映し出されていたのです。
「えっ……これ、うちじゃない?」
物件情報のタイトルには「陽当たり良好・築浅物件」の文字。しかし、記載されている住所は近所の別の番地でした。どうやら、売りに出された隣家の情報を載せる際、業者が間違えて我が家の写真を掲載してしまったようなのです。
広がる不安と不信感
心臓がバクバクと音を立てるのを感じました。自分の家が知らない間に「商品」としてネット上にさらされ、不特定多数の人に見られている。その事実だけで、背筋が凍るような思いでした。
「もし、これを見た人がうちを見学に来たら?」
「防犯面は大丈夫なの?」
不安は次から次へと溢れてきます。夫に相談すると、夫も絶句していました。
「これはひどすぎる。勝手に写真を撮るだけでも問題なのに、間違えて掲載するなんてプロとしてあり得ないよ」
私たちはすぐに、サイトに記載されていた不動産業者へ連絡を入れることにしました。
業者への抗議と誠実さの欠如
電話口に出た担当者は、最初はどこか他人事のような、のんびりとした口調でした。
しかし、私が「掲載されている写真は我が家であり、売りに出している家ではない」と伝えると、ようやく事の重大さに気づいたのか、声のトーンが変わりました。
「確認したところ、撮影スタッフの勘違いだったようです。すぐに削除します」
謝罪の言葉はあったものの、どこか事務的で、私たちの不安に寄り添うような温度感は感じられませんでした。
「削除すれば済む話ではないですよね? 子どももいますし、勝手に外観を公開されて本当に怖い思いをしたんです」
私がそう訴えると、電話の向こうで一瞬沈黙が流れました。
「……以後、気をつけますので」
その一言で会話を終わらせようとする態度に、私は言いようのない憤りを感じました。
守るべきは「暮らし」の安心
数時間後、サイトからは我が家の写真が消え、本来の物件の写真に差し替えられていました。
しかし、一度ネットに流れた情報の恐怖はすぐには消えません。数日間、家の前を車が通るたびに「見学の人ではないか」と身構えてしまう日々が続きました。
後日、その不動産業者の上司だという人物が謝罪に訪れました。
「担当者の教育不足でした。看板を立てる際や撮影時の確認フローを徹底します」
深々と頭を下げる姿に、ようやく少しだけ気持ちが落ち着きましたが、壊された平穏が完全に戻るわけではありません。
今回の件で痛感したのは、私たちの「当たり前の日常」がいかに脆いものかということです。業者が「たかが写真一枚のミス」と思っていることが、住んでいる人間にとっては「安全を脅かす重大な侵害」になり得るのです。
その後、近所の方からも「うちのせいで嫌な思いをさせてごめんなさい」と謝罪を受けました。ご近所付き合いに角が立たなかったことだけが救いです。
今も玄関先の花に水をやるたび、あの時の冷や汗が出るような感覚を思い出します。でも、家族が安心して眠れる場所を守るために、おかしいと思ったことには声を上げ、毅然とした態度で臨んでよかったと思っています。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










