Ⓒママリ
私の名前はハルコ、30歳。この春から保育園の年長組になった娘、メイ(5歳)と夫との3人暮らしです。私の性格は、どちらかというと内向的。人付き合いは得意な方ではなくて、広く浅く、当たり障りのない関係を築くタイプです。
娘のメイは、私とは正反対。明るくて元気いっぱいで、保育園にはたくさんの友達がいます。
「今日はね、〇〇ちゃんとね、お砂場で大きなお山作ったんだよ!」
「△△くんがね、新しい恐竜の絵本持ってきてて、一緒に見たの!」
毎日、保育園であった出来事をキラキラした目で話す娘の話を聞くのが、私の幸せな時間です。
そんな娘のおかげもあって、保育園のママさんたちとも、挨拶やちょっとした立ち話をする機会は増えました。もちろん、深い話をするような親しい友人と呼べる人は限られていますが、それでも穏やかな関係を保てていると思っていました。子供たちの成長を喜び合ったり、行事の準備について情報交換したり。そんな、ごく普通の、平和な毎日でした。
そう―――あの日までは…。
きっかけは、娘と同じクラスの女の子、ココナちゃんのママ、ユウコさんとの出会い。彼女も私と同じ30歳。娘同士が同じクラスということもあり、送り迎えの時や保育園の行事などで顔を合わせるうちに、自然と話すようになりました。
ユウコさんは社交的で明るく、話題も豊富。正直、最初は少し圧倒される部分もありましたが、気さくな彼女に、私も少しずつ心を開いていきました。
ユウコ「ハルコさんちって、この辺?うち、すぐそこのマンションなんだよねー」
ハルコ「あ、そうなんですね!うちはもう少し駅寄りです」
ユウコ「へえー!じゃあ今度さ、うち寄ってかない?子どもたちも遊ばせたいし!」
ハルコ「え!いいんですか?」
ユウコ「もちろん!ココナもメイちゃんと遊びたいってよく言ってるんだ。ほら、クラスでも仲良しみたいだし」
ハルコ「わあ、嬉しいです!メイもきっと喜びます」
ユウコさんからのお誘い。少し驚きましたが、娘同士が仲が良いこと、そしてユウコさんと少しずつ打ち解けてきたこともあり、素直に嬉しく感じました。ママ友のお宅にお邪魔するのは少し緊張することではありましたが、メイが喜ぶ顔を想像すると、楽しみの方が大きかったと思います。
こうして、私たちは来週火曜日にユウコさんのお宅へお邪魔する約束をしたのです。
この時の私は、まさかこの訪問が、あんなつらい出来事の始まりになるなんて、夢にも思っていませんでした。
ただ、娘と一緒に新しいお友達の家に行くことを、楽しみにしていただけだったのです―――。
たった1つのできごとで見えてしまった、ママ友の本質
このお話では、同じ園に子どもを通わせるママ友同士のトラブルが描かれます。内向的なタイプ主人公・ハルコと仲良くなったのは、明るい人柄のユウコ。2人は同い年で子ども同士も仲がよく、送り迎えで顔を合わせるうちに徐々に距離を縮めていきました。
ところがある日、ユウコの商品券の所在がわからなくなるトラブルが発生。ユウコはその日に自宅に遊びに来ていたハルコを疑い始めます。当然、ハルコは身に覚えがありませんが、盗っていない証拠も出せない状態。2人の仲は険悪なものになってしまいました…。
トラブルを通じて見えてきたのは、明るい性格だと思っていたユウコの、相手を疑ってかかる本質。見たくない部分を見てしまったハルコは、ママ友との付き合い方を見直す決心をします。誰に降りかかるかわからないトラブルから、人付き合いについて改めて考えさせられる作品です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
サムネイルイラスト:まい子はん