終身保険とは
終身保険とは死亡保障がある生命保険の一種で、生涯保障が続き、いつ亡くなっても必ず保険金がおりる保険のこと。同じく亡くなったときにおりる定期保険で、例えば60歳まで保険をかけていたとします。そうすると61歳でもらえるお金はゼロですが、終身保険だといつ亡くなってもお金がもらえるのです。つまり掛けたお金が無駄になることがありません。
いつか必ず保険金がもらえるため、お金を貯めるために終身保険を選択する人もいます。ただし、その分定期保険に比べると、月々に払う保険料も高くなってしまいます。
解約返戻金とは
終身保険の特徴の一つに、解約返戻金というお金があります。解約返戻金とは、保険を途中で解約したときに戻ってくるお金のこと。
定期保険にはこの解約返戻金がないものが多いですが、終身保険ではこの解約返戻金が充実しています。ある一定期間を過ぎると、支払った保険料よりも解約返戻金の方が多くなることがあるため、終身保険は貯蓄も兼ね備えた保険だといわれています。
一般的には、解約返戻金が戻ってくる率が年々高くなっていくので、若いうちに解約すると損しますが、年を重ねたあと(例えば支払いが完了した60歳以降)であれば、得になるという仕組みになっています。
終身保険の種類
終身保険の特徴はわかった、でも実際にどういう保険が商品になっているの?以下ではそう思っている方へ、終身保険の主な4種類を紹介します。名前が長くて一見わかりづらそうな保険ですが、一度知ってしまえばそんなに難しくはないのです。
低解約返戻金型終身保険
終身保険に入りたいけれど、高いから悩む...そういったときに勧められることがあるのが、低解約返戻金型終身保険です。先ほど説明した解約返戻金が少ない代わりに、保険料も抑えてある終身保険なのです。
普通の終身保険と比べると、解約返戻金は70%ほどしか戻ってきません。ただし解約しない場合は、通常の終身保険よりお得です。
ただしそこにはデメリットも。この保険で契約し、その後解約する場合は、保険料を下回ることがないか注意が必要です。また、返戻金が保険料を上回るまでに、通常の終身保険より長く支払うことになります。
積立利率変動型終身保険
終身保険は一生涯続く保険、そこにこの保険の難しさがありますよね。例えば自分が現在30歳で加入し、90歳で亡くなったとしましょう。そうすると、保険金を受け取るのは60年後ですね。そのとき1000万円が、残された子供など家族に行きわたるとします。
でも60年後、1000万円の価値ってどれくらいなんでしょう?もしインフレが起こったとすれば、今の1000万円は大きなお金ですが、60年後にはたいした金額ではなくなっているかもしれません。
そうしたリスクに対応するのが、この積立利率変動型保険です。つまり、そのときのお金の価値に合わせて、支払われる保険金の額が変わるのです。景気が良くなり、物の値段が上がればその分保険金も上がる仕組みです。
では逆に、デフレが起こったら保険金が下がるんじゃないのと心配になりますよね。でもこのタイプの保険には、最低保証があります。つまりそのときのお金の価値がどうであれ、契約当初に決めた保険金の額を下回ることはないのです。
変額保険
こちらも積立利率変動保険と同じく、もらえる保険金の額が契約時と変わります。そうすると、上の積立利率変動保険と一緒じゃないかと思ってしまいますよね。
この二つの保険が大きく違うところは、変額保険には最低保証がないところ。変額保険では、支払った保険料の一部が資産運用として使われます。なので、その運用で利益が出れば保険金と解約返戻金は増えますが、出なければ減る、つまり損することがあります。リスクが大きいので、投資のような保険ともいえますね。
ただし、保険金は最低金額が保障されているので、契約時の保険金から大きく減ることはありません。リスクがある代わりとして、終身保険の中では保険料は安く設定されているので、保険料に着目するとお得に感じるかもしれません。
外貨建て保険
外貨建て保険の説明に入る前に、そもそもみなさんの払った保険料がどうなるのかを考えてみましょう。支払った保険料は、そのまま支払う保険金に充てられているだけではなく、その間に保険会社が資産運用をしています。この運用は日本円で行われますが、中にはドルやユーロで行うところもあり、それが外貨建て保険です。
外貨の方が円よりも金利が高いことが多く、増えるお金が多いというメリットがあります。その分自分の保険金も日本円で運用したときより、大きく増えるかもしれません。その分大きく変動し、損することもあるので、先ほどの変額保険と同じく、リスクが大きいがリターンも大きい保険といえるでしょう。
終身保険に向く人とは
自分たちに終身保険は合っているんだろうか...そう思ったらまず、家計と貯金のことを考えてみましょう。終身保険は定期保険に比べて保険料が高く、また支払い期間も長いため、家計や貯蓄にある程度の余裕があることが前提となります。解約返戻金が支払った保険料よりももらえることもあり、貯蓄の役割も果たしているからです。
もし、「貯蓄のための保険はいらない。万が一に備える死亡保障さえあればいい。保険料はとにかく安く抑えたい」と考えるのであれば、終身保険よりも定期保険の方が向いているでしょう。
教育資金には学資保険と終身保険のどちらがいい?
小さい子供がいる家庭では気になる、これからの教育費。ママの質問が投稿できるママリQでも、終身保険と学資保険だと、教育資金のためにはどちらがお得か、という質問があります。
結論からいうと、終身保険に入るタイミングによります。教育費のために終身保険に入る方は、生きているうちにお金が入る解約返戻金を目的としているでしょう。
その解約返戻金ですが、例えば自分の夫が35歳、子供が生まれたタイミングで終身保険に入ったとしましょう。60歳までを支払う期間とします。そうすると、子供が大学に入る(=最も学費がかかる)タイミングが18歳だとすると、夫は53歳で、まだ支払い期間の途中ですね。この時期に解約して解約返戻金をもらおうとしても、支払った保険料を下回る、つまり損することになります。
そうすると、子供が18歳になったタイミング、成人したタイミングに合わせて支払われる学資保険の方がお得といえます。一方終身保険を短い期間で支払いを済ませるか、若くして加入すれば、上のようなことは避けることもできるでしょう。
また逆に、万が一のことがあった場合は、死亡保障の大きい終身保険の方がもらえるお金は学資保険より多い傾向にあります。
終身保険の選び方
1. 死亡保障額(保険金額)
亡くなったときに支払われる金額は、自分で決めることができる。そうはいっても、どれくらいが相場なんだろうというのは気になるところですよね。
価格.com保険の調査によると、死亡保険金の平均は約400万円という数字が出ています。定期保険に比べるとかける保険金は少ない傾向にあり、100万円から500万円までの人が8割弱を占め、そのうち500万円を選んだ人が4割弱います。
思ったより少ないと感じませんでしたか?これは、保険をかけた人が亡くなった後の葬儀代や相続税に使おうと考えている人が多いからだといわれています。もちろん1000万円など高い保険金のプランもありますが、ただでさえ高めの終身保険、保険料もその分高くなってしまいますね。
2. 解約返戻金の返戻率
終身保険だからこそ気を付けたいポイント、それが解約返戻金の戻り率です。解約したときに、いくら戻ってくるのかというのは保険会社や商品によって異なります。解約返戻金をもらうことによる、将来の資金を目的にする場合は、特に注意して比較してみましょう。
なお、先に紹介した低解約返戻金型保険は、従来の終身保険に比べて70%の返戻率です。もし解約返戻金をあてにしている場合は、支払った保険料よりも多くの返戻金をもらえるまでに時間がかかってしまうので、注意しましょう。
返戻率が高いともらえるお金が多いのでよいことのように思えますが、その分支払う保険料も多いので、バランスを見ながら考えていきたいですね。
3. 保険料の払込期間
終身保険では、保障が一生続くからといって、支払いも死ぬまで続くとは限りません。もちろん一生払い続ける終身払いという方法もありますが、自分で支払い期間を決めることができる有期払いというものもあります。
よく例に出されるのが、60歳と定年までに全ての保険料を支払ってしまうパターンです。この場合、働いている間の月々の保険料は、終身払いよりも高くはなりますが、定年後は一切支払う必要がありません。
終身払いは一生払わなくてはいけませんが、その分月々の保険料に煩わされることが減るでしょう。ある一定期間にがんばって払うか、支払いはずっと続くけれど少しずつ支払っていくのか、どちらが向いているのかを考えてみましょう。
4. 保険料の払い方
保険料は月々支払うこともできれば、半年に一回、1年に一回などまとめて支払うこともできます。終身保険の保険料は、定期保険などと比べると高いので、一回の支払う金額が少ない月払いを選択するのは妥当な判断だといえるでしょう。
半年払いや年払いは、一回に払うお金は多いですが、その分保険料の総額が、月払いよりも安くすむというメリットがあります。
5. 特約
特約は基本的には付けない方がいいでしょう。途中で解約したくなったときに、特約も一緒に解約することになってしまうからです。
例えば医療保障を特約としてつけた場合、メインの死亡保障だけ解約するということができません。医療保障は医療保障で、別に医療保険に入る方が使い勝手が良いとされています。
目的をはっきりさせてから、終身保険を考えてみましょう
終身保険は定期保険に比べて、解約返戻金という貯蓄性があり、目的もばらばらで、その分複雑です。生命保険といえばお金が必ず戻ってくる終身保険、と考える前に、何のために終身保険に入るのか、一度整理してみましょう。
子供の教育費、亡くなった後の費用、老後の貯蓄のためなど、単なる死亡保障に加えてさまざまな目的に分かれます。
子供の教育費のためだと学資保険、老後の貯蓄だと個人年金、万が一に備えるなら定期保険と、別の保険と比べながら検討していくと、自分たちに合った保険を選びやすいですね。