西山ともこ(@nishiyama_tomoko07)
「ただのハゲ」円形脱毛症から始まったいじめ
中学3年生の冬に円形脱毛症になったけいたさんは、同級生からだけでなく、教師からも心ない対応を受け、つらい思いをします。いじめが解決しないまま高校生活が始まり「またいじめられる」と不安で登校できないまま、家で過ごすこと2週間。このまま不登校になるかもと思っていると、中学校からの友だちから「一緒に登校しよう」と声をかけられます。
Aくんのサポートがあり、当初は登校をしぶりながらも、高校生活を始めることができたけいたさん。
誰にも自分の苦しみはわかってもらえないだろうとふさぎ込んでいたけいたさんが、Aくんの優しい声掛けに心を動かされ、もう一度学校へ行こうと思うまでの心の変化がていねいに描かれている作品です。
「一緒に行こう」友だちが作ってくれた居場所
『僕が変われたきっかけ』は全7話ですが、その一部のコマを抜粋してご紹介します。
西山ともこ(@nishiyama_tomoko07)
西山ともこ(@nishiyama_tomoko07)
西山ともこ(@nishiyama_tomoko07)
西山ともこ(@nishiyama_tomoko07)
西山ともこ(@nishiyama_tomoko07)
脱毛症によって坊主頭にしてから初めての外出。道を歩くだけでも人目が気になり不安がつのります。それでも、遅刻覚悟で待っていてくれたAくんの優しさに応えようと、けいたさんも勇気を振り絞って登校します。
筆者が感動したのは、Aくんはけいたさんを学校に誘いに来てくれただけでなく、けいたさんが学校に来たときになじみやすいようにと、登校する前からけいたさんの良いところをみんなに紹介してくれていたこと。こうした準備をしたため、誘いに来るのに2週間かかったのかな、と思いました。
自分のことを気にかけてくれる本当の友だちの存在が、どれだけ心の支えになるかがよくわかるエピソードが詰まっています。
友だちのおかげで踏み出せた一歩
けいたさんのように、学生時代にいじめを受けたり、傷つくような声をかけられた経験のある方もいると思います。筆者もその一人です。いじめはささいなことで始まりますが、心に深い傷が残ります。そしてAくんのような友だちの存在で、状況が好転することもあります。
脱毛症が治ったわけではなく、不安な気持ちが吹っ切れたわけでもないかもしれませんが、学校にまた行ってみようと思えるようになったのは、Aくんが背中を押してくれたからでしょう。
親となった今読むと、自分の息子はこんなふうに友だちの気持ちに寄り添えるだろうか、心の優しい人に育っているだろうかと考えさせられました。『僕が変われたきっかけ』は心が温かくなる作品です。