Ⓒママリ
ユウコさんからの無視が始まって、1週間が経とうとしていました。状況は何も変わらず、保育園での気まずい時間は続いたまま。
どうにかして、私の無実を証明できないだろうか…。でも、どうやって?ユウコさんの家には防犯カメラなんてなかっただろうし、私があの時間リビングにいたことを証明してくれる人もいません。子どもたちは小さすぎて、有効な証言者にはなれません。
考えても考えても、打つ手なし。家に帰っても、ため息ばかりついてしまう私を、夫は心配してくれました。
夫「まだ、あのママ友と話せてないのか?」
ハルコ「うん…。話しかけても、無視されるか、避けられるか…」
夫「ひどい話だな…クラスのママ関係なら、保育園の先生に相談できない?」
ハルコ「先生に…?でも、園外での親のトラブルだし、それに、私が疑われてるってことを公にするみたいで、ちょっと…」
それに、もし先生に相談したとしても、先生が間に入ってくれるとは限りません。むしろ、事を大きくしてしまう可能性だってあります。
ハルコ「もし…ユウコさんが先生に、私が商品券を盗んだって相談してたらどうしよう」
夫「証拠もないのに?そんなのあり得ないだろ」
ハルコ「でも、本気で私が犯人だと思っているならあり得るじゃない?」
私は完全に疑心暗鬼になっていました。
夫「ハルコは何も悪いことしてないんだから、堂々としてればいいんだよ」
ハルコ「…うん…分かってるけど…」
夫の言葉はありがたいけれど、実際に冷たい視線や無視に晒されているのは私。周りの目が気にならないわけがありません。
(どうにか、ユウコさんの家で商品券が見つかるようなヒントは得られないだろうか…)
そんなことを考えていると、ふと、あの日のユウコさんの家の様子を思い出しました。リビングは綺麗に片付いていたけれど、棚の上や書類入れの当たりは、少し多く物が置かれていたような気もします。封筒なら、紛れてしまうこともあるかも…。
いや、でも、ユウコさんは「どこを探してもない」と言っていたし、もう一度探してと言う勇気なんてありません。
はぁ…。ため息がこぼれました。
もう私は泥棒扱いでも仕方ない。でもせめて、メイだけでも、早く元の笑顔を取り戻してほしい。そう願うばかりでした。
たった1つのできごとで見えてしまった、ママ友の本質
このお話では、同じ園に子どもを通わせるママ友同士のトラブルが描かれます。内向的なタイプ主人公・ハルコと仲良くなったのは、明るい人柄のユウコ。2人は同い年で子ども同士も仲がよく、送り迎えで顔を合わせるうちに徐々に距離を縮めていきました。
ところがある日、ユウコの商品券の所在がわからなくなるトラブルが発生。ユウコはその日に自宅に遊びに来ていたハルコを疑い始めます。当然、ハルコは身に覚えがありませんが、盗っていない証拠も出せない状態。2人の仲は険悪なものになってしまいました…。
トラブルを通じて見えてきたのは、明るい性格だと思っていたユウコの、相手を疑ってかかる本質。見たくない部分を見てしまったハルコは、ママ友との付き合い方を見直す決心をします。誰に降りかかるかわからないトラブルから、人付き合いについて改めて考えさせられる作品です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
サムネイルイラスト:まい子はん