夢のマイホーム、そのはずだった…
A子さんは、5年前に今の戸建てに引っ越してきました。都内でありながら広い土地に恵まれ、将来的には子どもを3人、すでに飼っている2匹の犬たちも広々と過ごせる環境は、まさに理想のマイホームでした。
「もともと、夫側の親戚が所有していた物件で、それを義両親が買い取ってくれたんです。内装もリフォームしてくれて、キッチンなんかは私の希望も聞いてくれたので、本当に使いやすくて気に入っていました」
A子さんの言葉からは、義両親への感謝と、その家に対する当初の愛着が感じられます。家族が増える計画、愛犬たちとの暮らし。全てが順調に進むはずでした。しかし、その穏やかな日々は、突如として隣人によって脅かされることになったのでした。
突如として始まった隣人の暴挙
A子さんが語るトラブルメーカーは、すぐ隣に住む70代くらいの男性でした。
「最初は、普通に挨拶するくらいの仲だったんです。それが急に、私たち家族が標的にされてしまって…」
異変が始まったのは、ここ最近のことだとA子さんは言います。彼の行動はエスカレートし、次第に常軌を逸したレベルに達していきました。
「最近では、毎日家の前に来ては『〇すぞ!』と言われたり、私が子どもを園に送迎する時にわざわざ出てきて目障りだと怒鳴られたりするんです。先日なんて、私一人の時に殴られそうになりました」
A子さんの証言からは、言葉の暴力だけでなく、身体的な危害を加えられかねないほどの危険な状況であることが伝わってきます。このような事態に対し、A子さんはその都度、警察に通報してきました。
「全部通報済みで、その度警察が来てくれるんですが、同じことの繰り返しで…。近所の人たちも『あなた達家族が今は標的なのね、可哀想に』と言われるんです」
近隣住民もその事実を認知しており、もはや日常的な出来事として受け止めている様子が窺えます。しかし、当事者であるA子さん家族にとっては、平穏な暮らしが奪われ、毎日が恐怖と隣り合わせの日々へと変貌してしまったのです。
「引っ越しは無理」夫の冷徹な現実
この状況に対し、A子さんは夫に引っ越したいと懇願しました。しかし、夫からは予想外の返答が返ってきます。
「旦那に引っ越したいと言いましたが、彼は首を縦に振ってくれませんでした」
夫が引っ越しを困難だと考える理由は、いくつもありました。
一つ目は、義両親からの経済的な支援です。義両親が3000万円も支援してこの家を買い取ってくれました。
二つ目は、リフォームの費用負担です。義両親の会社負担で家の内装をリフォームしてくれました。
そして三つ目は、物件自体の問題です。建物自体が古いから建て直したり更地にするとしても、立地的に大型重機が入れるところになくて買い手がいるかわからないそうなんです。
これらの理由から、夫は引っ越しが現実的ではないと考えているようでした。しかし、その後の夫の言葉は、A子さんをさらに混乱させました。
「夫は『だから俺が隣人のお祖父さんを車で轢き〇すわ』などと言い出しちゃって、もう何が何だかわかりません」
夫のこの言葉は、彼の精神的な疲弊と、この状況への絶望感を物語っているようにも見えます。A子さんは、夫がそのような過激な発言をするまでに追い詰められていることに、さらなる不安を覚えたと言います。
義両親はこのトラブルに巻き込まれていることを知っており、家族を心配してくれています。しかし、具体的な解決策は見出せていないのが現状です。都内という立地ながら、夫の通勤時間は平均1.5時間と長く、彼の負担も大きいものがあります。
A子さんは、いっそのこと義両親の家の近くに引っ越すことも視野に入れています。しかし、専業主婦であるA子さんだけでは、この状況を動かすことができません。
ゴミ出しの際にも嫌がらせを受けるなど、生活の全てが隣人トラブルに支配されつつある中で、A子さんは「早く引っ越したい」という気持ちがどんどん大きくなっていく一方なのでした。










