イギリスでの出産 日本との違いは?
国際結婚や夫の海外赴任などをきっかけに、イギリスで出産するという機会に恵まれたという方のために、イギリスでの出産・日本での出産との違いをまとめてみました。
費用
イギリスでの医療費は、外国人であっても、公費で負担されるために基本的には無料です。
更に、イギリスでは、出産では通院して検診を受けるようなシステムがありませんので、妊娠・出産にかかる費用は無料ということになります。
一方、日本では出産一時金が健康保険から助成される仕組みがあるものの、妊娠初期には数週間に1度の妊婦健診があり、出産間際には週に1度ほどの検診があるなど、助成される部分を除くと数万円の自己負担をする必要があります。
日本での一般的な出産までのながれ
日本では、妊娠が判明し産院を受診し、妊娠9週目あたりで予定日が確定すると母子健康手帳が発行され、母子手帳に付属されている検診券を使用する形で、産院で定期的に妊婦健診を受けます。
その検診券は対応が自治体により異なりますが、大抵は超音波診断などの助成券のような形になっていることが多いと思われます。
陣痛がくると入院するのが一般的
妊婦健診では超音波診断や尿検査など、細かく丁寧な診察が行われます。出産が近づくと、検診の頻度が多くなり、陣痛が来ると入院となる場合がほとんどです。
産後は平均5日間ゆっくり体を休める
産後は平均5日ほど入院し、入院中には両親学級などが開かれ、沐浴の仕方などを練習することもできます。産院によってサービスは様々ですが、着替え意外の荷物を何も持たずに入院する事も出来ます。
イギリスでの一般的な出産までのながれ
イギリスで医療を受ける場合、まずホームドクター(GP)制度に登録しなければなりません。ホームドクターに妊娠の可能性を報告すると、ホームドクターからミッドワイフ(助産師)を紹介されます。
定期検診の場所やドクターも自由に決められる!
紹介された助産師で良ければ、出産までのケアは助産師が行います。助産師とは定期的に自宅やホームドクターもいるクリニックなど、どこで会うのかを自由に決めることが出来ます。
基本的に費用は無料!投薬が必要な場合も費用は免除!
基本的に費用は無料で、投薬が必要となった場合でも妊婦は投薬料が免除されます。
超音波検診は妊娠12週の時と20週の時の2度で、その診断の費用も無料となりますが、超音波写真を補完したい場合のみ、印刷代各4ポンドがかかります。
出産も、自宅や病院などを自由に選択することができます。病院を選択した場合でも公立の病院(NHS)は診察がすべて無料なので出産にも費用は掛かりません。
産後の準備は自分たちで!出産当日に退院する事も!
産後に必要な赤ちゃんのおしめやミルク、着替えやタオルまですべて出産時に用意しておかなければなりません。出産後は、出産当日かもしくは翌日には退院となり、自宅に戻ることとなります。
私はイギリスでこんな出産をしました!みんなの体験談
ここからは、実際にイギリスにて出産を経験された方々の声をご紹介していきたいと思います。
体重管理一切言われず ストレスの無い妊婦生活
妊娠初期から後期に至るまで、体重管理の事は一切言われず、生ものやレバー、チーズなど食べない方がいい物についての指導はありました。
葉酸のサプリを無料で処方してもらい、妊娠初期からずっと飲んでいました。
産後は夫が2週間の産後休暇があるので安心して帰宅できました。 出典: www.hirorich.com
体重管理がストレスとなる妊婦生活ではありますが、近頃は日本でも妊娠中に栄養不足になる妊婦が多いことから、あまり体重について厳しく言う医師が減ってきたと言います。
イギリスでも妊婦がストレス無く生活できるように体重管理についてもあまり厳しくないのでしょう。
出産日当日に入院することなく 退院
助産師を呼んだ時には子宮口が8cm大に開いていました。
イギリス人だったら、8cm大までに開くころには大騒ぎをしているだろうから、我慢強すぎると驚かれました。
産後は会陰を縫合することも無く、そのまま入院することなく退院しました。
出産後は沐浴も無しに、赤ちゃんをすぐに抱いて初乳を上げることができるので、赤ちゃんのぬくもりが自然な状態で感じることができて、精神的に充実した出産が出来ました。
出典: www2.gol.com
会陰を縫合することなく退院というところに驚きましたが、自然な治癒を、との考え方は自然に近い方法だと感じました。
沐浴の前に赤ちゃんを抱くことで、その独特な生命の匂いに母性を感じ子供への愛情が深まることでしょう。日本だと産後すぐに産湯につけるのが当たり前の事なので、新鮮な感じがします。
出血が多かったけれど 翌日退院
初産をイギリスで迎えるということになり、ドキドキでした。
いついきんでいいのかわからず、いきみたいときに思いきりいきんだら、出産時、会陰が激しく裂けてしまったようで、助産師の手におえず、ドクターを呼ぶことに。
20針以上は縫ったでしょうか。それでもすぐに入浴ができて、翌日に退院ということになりました。何から何まで驚きのイギリスでの出産でした。 出典: plaza.rakuten.co.jp
感染症などを注意する日本では、会陰縫合している場合は入浴は5日間ほどはすべきでないとされていますが、イギリスではすぐに入浴可能と指導されるようです。
いきむタイミングなど、初産では分からない事も多いので、心配ならば日本に一時帰国などした際に、日本のドクターや助産師に相談してみるのも一つのアイデアではないでしょうか?
緊急帝王切開で出産
10時間の陣痛に耐えた末、緊急帝王切開となりました。
溶ける糸での縫合では無かったので、助産師に抜糸してもらうときとても緊張しました。入院も3日で済み、母子ともに健康でとても安心しました。 出典: london.katsuko.net
緊急を要して帝王切開になる場合においても、すべてミッドワイフ(助産師)が手続き等をしたりドクターを呼んだりしてくれますので、心配はいりません。
自宅出産を希望する場合は、特に緊急時の対応などをミッドワイフとあらかじめきちんと話をしておくことが必要かと思います。
予定帝王切開にて出産
予定通り、帝王切開での出産となりました。
イギリスの公立病院(NHS)では、帝王切開の時の入院準備品などの案内は一切ないので、赤ちゃんの着替えやおむつ・ミルク、産後の着替えやワセリンなどをすべて持参しての入院となりました。
病院から用意されたのは手術用の衣類と赤ちゃんのおくるみ用シーツだけでした。
産後、帝王切開と言っても看護師が赤ちゃんや身の回りの世話をしてくれるわけでは無く、赤ちゃんが泣くたびにナースコールで呼び、授乳やオムツ替えを手伝ってもらいました。 出典: ameblo.jp
NHS(公立病院)は医療費のすべてが公費負担のため、個人負担はありませんが、医療のレベルが低いわけではありません。プライベート病院を選択する方もいるかとは思いますが、費用が高額であるため、おおよその方がNHSを利用します。
帝王切開での入院でも、病院では特別母子を別にして赤ちゃんのケアをしてくれるわけではありません。もしも入院中に痛みが強かったり赤ちゃんのケアが難しい場合には、自分できちんと看護師に主張する必要があります。
帝王切開で無く、特に問題の無い場合はミッドワイフ(助産師)が出産までのケアをしてくれるので、妊娠期間中医師には超音波診断を受ける2度しか会わないで出産になった、という方もいます。
思い出に残る悔いのないお産をイギリスで
海外で出産するという機会は、なかなか巡り合わない機会だと思います。
その素晴らしい機会を得ることができたのですから、不安のない素晴らしい出産にしたいですよね。
また、出産は一つのスタートに過ぎません、心配しすぎず夫を頼り、素晴らしい子育てという共同生活のスタートを封切ることができるといいですね。