地下鉄の駅に参上!ベビーカーおろすんジャーって誰?
東京都杉並区方南町の駅に存在する正義のヒーロー「ベビーカーおろすんジャー」を知っていますか?エレベーターの無い地下鉄駅に現れ、ベビーカーでおでかけする親子や、荷物をもったお年寄りなど、困っている人の荷物を階段下まで運んでくれる正義の味方なのです。
駅員さんかと思いきや、活動はなんと自主的なボランティア。正体不明のおろすんジャーは、一体なんの目的で、どんな思いで活動をしているのでしょうか。
エレベーターのない駅「方南町」
ベビーカーおろすんジャーが現れるのは杉並区にある東京メトロ丸の内線の方南町駅。
歴史ある古い駅で、短い編成の車両しか乗り入れしない小さな駅でもあるためエレベーターの設備がなく、車いすやベビーカー、重い荷物を抱えた人には利用しにくい駅となっていました。
この駅に現れるヒーローこそが、ベビーカーおろすんジャーなのです。
ベビーカーおろすんジャー誕生のきっかけ
ベビーカーおろすんジャーが誕生したきっかけは、おろすんジャーが学生時代に行っていた駅周辺の清掃などのボランティア。もともと方南町が地元であるおろすんジャーは駅周辺で活動をすることが多かったそうですが、そうした活動の中で駅の利用者がエレベーターがないことに困っていることを知り、この活動を始めることに決めたそうです。
顔を出さずにマスクをしている理由は「日本人は恩義を感じるので他人の助けを望まない。だからマスクが役に立つ」ということ。顔が見えず、キャラクターのようになっていることで、控えめな性格の日本人でも助けを求めやすくするためにマスクをしているのですね。市民をどこまでも気遣う姿勢はまさにヒーローです。
最初は「怪しいやつ」だったけれど、活動を続けることで地域のヒーローとして根付いた
そんな熱い思いを持ったおろすんジャーですが、活動開始当初はその怪しい恰好から、気軽に仕事を頼む人はいなかったのだそう。
実際に子供をもつママとしても、得体の知れない正体不明の怪しい人に、わが子のベビーカーを預けることはできませんよね。その現状に「マスクを外すべきか」と悩んだこともあるそうですが、それでは気軽に頼める存在ではなくなってしまうと感じ、毎日地道に挨拶などの活動を続けていくことで、地域の信頼を得ていったのだそう。
今では多くの人がおろすんジャーに挨拶をして通り過ぎ、困っているママは気兼ねなく仕事を頼んでくれるようになったのだそうです。
今では子供に似顔絵をもらうほどの愛されるヒーローに♡
ベビーカーおろすんジャーは今や方南町の有名ヒーロー。彼にママとの楽しいお出かけをサポートしてもらった子供たちは、すでにベビーカーおろすんジャーのファンになっていました♡
このような似顔絵やお手紙、差し入れをもらうことも増えているのだそうです。子供たちにとっても、ベビーカーおろすんジャーは頼れるヒーローなんですね。
活動を応援したくて「応援ソング」を作るファンまで現れた!
ベビーカーおろすんジャーという活動を応援するため、応援ソングを作る人まで現れました。1人の男性の活動がこんなにもたくさんに人の心に届くのは、ベビーカーを押すママたちの不便さや、駅の不便さを感じていた人がとても多いことを意味しているのではないでしょうか。そして、その不便にたった一人で立ち向かったヒーローへの応援の声がどんどん広がっていっているのですね。
ボランティア活動を支援するCDのため、売り上げは制作費を除いて全て日本赤十字社に寄付されています。
活動時間外は方南町でベビー用品のリサイクル店を営むヒーロー
ベビーカーおろすんジャーは駅の近くで子供服や子供用品のレンタル店を営んでいます。駅から5分のところにお店はあり、駅を使う時困ったら呼ぶと飛んできてくれるのだそうです。
リサイクル店以外にも、子供向けのイベントを企画開催するなど、方南町の子供たちが安全に楽しく生活するために日夜試行錯誤を続けています。
駅にいつ出没するのかはTwitterとサイトでお知らせ
ベビーカーおろすんジャーが方南町駅に出没するタイミングは、Twitterと店舗HPでお知らせされています。あらかじめ予定されているものはHP、Twitterでは突発的に行けるようになった場合につぶやいているようです。
ベビーカーおろすんジャーとしての活動に関する事だけでなく、ちょっぴりプライベートなことも配信されていて、おろすんジャーさんの人間像が少し垣間見えるかも。イベントのお知らせもしており、おでかけの参考にもなるので近所の方は覗いてみてはいかがでしょうか?
2017年春、ついに方南町駅もバリアフリー化に♡
方南町を使っている住民の方の熱い要望と、ベビーカーおろすんジャーの正義の心が伝わり、方南町駅もバリアフリー化が決定。来年2017年の3月に完成予定となっています。
ベビーカーおろすんジャーの出番がなくなってしまうのは寂しい気もしますが、本来はおろすんジャーがいなくても全ての人が安全に外出できるのが理想ですよね。方南町駅がバリアフリー化されたあと、ベビーカーおろすんジャーはまた別の場所に現れるのか...注目です!
「2020年には、やたらベビーカーを運びたがる国に」おろすんジャーの挑戦は続く
メディアのインタビューに対しておろすんジャーが語ったのは「2020年には、やたらベビーカーを運びたがる国に」という未来への夢。東京オリンピックが開催される頃には、海外からやってきた人たちが「日本人はみんなベビーカーを運びたかるね」と思うような国になればいいというコメントには、スーツの奥の瞳の輝きを感じますよね。
ベビーカーで外出した先で「階段しかない...」という悲しさに出会った経験のあるママはとても多いはず。そんなママたちにとってベビーカーおろすんジャーは本物のヒーローです。
方南町という小さな町から、日本中に思いやりの心が広がり、誰でも気軽に公共交通機関を使っておでかけできる国になっていくといいですよね。そしていつかは全ての駅がバリアフリー化されることを願っています。