生命保険を選ぶ上で大切なポイント7つ
結婚や妊娠などのタイミングで保険について考える人も多いでしょう。特に生命保険は家計を支える人に万が一のことがあった際に、家族に生活できるお金を残すという目的があり、一番に考えたい保険といえます。
しかし保険会社も多く、生命保険のプランも多種多様です。生命保険への加入を検討する上で、考えておきたい大切なポイントを7つ紹介します。
①生命保険に入る目的
まずは生命保険に入る目的をしっかりと考えましょう。生命保険では死亡の際、病気やけがなどの際の保障、また貯蓄性の要不要について考える必要があります。
独身の人にとっては自分がけがや病気で働けなくなったときの生活への不安が大きいでしょう。一方で結婚して専業主婦となったときは、けがや病気だけでなく、万が一夫が死亡した場合に経済的な不安がないようにしておきたいところです。
さらに子供がいる場合では残された家族の生活費だけでなく、教育費についても考えなければいけません。こうしたライフステージごとのリスクを考えて、生命保険に加入する目的をはっきりとさせることがまず重要です。
②生命保険の種類
生命保険に加入する目的がはっきりしたら、目的に合わせて種類を選びましょう。主な保障の目的とそれに合った生命保険の種類について紹介します。
死亡した際の保障を目的としたもの
死亡した際の保障を目的とした保険にも、いくつか種類があります。主に下記のようなものが考えられますが、商品によって保障の金額などもさまざまです。実際の保障額など、詳しくは保険会社の資料などを参考にすると良いでしょう。
- 定期保険:残った家族の生活費、葬儀費用を保障
- 終身保険:残った家族の生活費、葬儀費用、老後の資金を保障
- 養老保険:残った家族の生活費、葬儀費用、老後の資金を保障し、貯蓄性もある
- 収入保障保険:残った家族の生活費を保障
けがや病気の保障を目的としたもの
けがや病気の保障を目的とした保険にも種類があります。がん保険などは近年さまざまなプランが各保険会社で取り扱われていますので、保障内容をしっかりと比較して検討することが大切です。
- 医療保険:一般的な手術や入院の際の医療費を保障
- がん保険:闘病生活の資金、医療費をがんに特化して保障
- 介護保険:介護費用を保障
そのほかの保障を目的としたもの
そのほかの主な保険の種類と目的としては次のようなものがあげられます。
- 学資保険:子供の教育費用を保障
- 個人年金保険:老後の資金を保障
- 就業不能保険:病気やけがのときの家族の生活費、ローンの返済を保障
③保険期間
次に保険期間について考えてみましょう。保障期間が一生涯続く終身保険とするのか、それとも10年や20年などの定期保険とするのかは加入する目的にもよります。
残された家族が確実に死亡保険金を受け取ることが目的であるのなら終身保険とします。一方で、子供が独立するまでの保障とする、満期保険金を子供の結婚資金として持たせるといった考え方もあり、そういった場合には定期保険とするという方法もあります。
④保険金額
保険金額とは死亡や病気・けがなどの際、または満期のときにいくらもらえるように設定するのかということです。
例えば夫に万が一のことがあったときの死亡保険金は、妻が専業主婦のときは数百万円から1,000万円の保障が必要となるでしょう。
さらに子供がいれば教育費用も含めて最低1,000万円、できれば3,000万円程度の保障は欲しいところです。このように死亡保険金1つでも家族の状況によって必要となる金額が変わってきます。
なお死亡した場合に残された家族がもらえるお金には遺族年金もあり、それがいくらもらえるかによっても必要となる死亡保障額が変わってきます。ファイナンシャルプランナーなどの専門家に試算してもらうのも方法の1つです。
⑤保険料払込期間
保険料をいつまで払い込むかも考えておきたいポイントの1つです。保障期間は一生涯であっても保険料の払込期間に期限を設けることができる商品があります。
定年退職後の保険料の支払いなどについて、あらかじめシミュレーションしておきましょう。
⑥保険料の払い方
いつまで払い込むかを決めたら、保険料の払い方も決めておきましょう。一般的な月払いだけでなく、1年に1回支払う年払い、すべての保険料を一括で支払う方法もあります。
一般的に月払いよりも年払い、年払いよりも一括払いといったように保険料の総額は安くなるとされます。しかし万が一の場合に保険金を受け取ることを考えると、保険料を月払いにして、それほど負担していないときにこそ、保険商品としての価値が高いという考え方もあります。
また一括で払うときも「一時払い」と「全期前納」の2種類があります。2つの方法について詳しく説明します。
一時払い
一括で保険料を支払うことで、保険料の総額が最も安くなる支払い方法でもあります。保険期間の途中に被保険者が死亡してしまったときや途中解約の際でも、支払い済みの保険料は返金されません。
また年末調整や確定申告における生命保険料控除では、保険料を支払ったその年にしか計上できません。
全期前納
全期前納は保険会社に保険料を全額預け、保険会社がその中から月払いや年払いで支払う形になるものです。通常の年払いや月払いなどに比べて保険料は安くなるでしょう。
一時払いと違い、こちらは被保険者が死亡したときや解約した際に保険料が返金されます。また生命保険料控除は毎年計上できます。
⑦保険料の金額
最後にやはり、支払う保険料の金額は重要なポイントとしておさえておきましょう。家計から無理なく払い続けることができる金額であるという点が重要です。
生命保険の家計に占める割合として、収入(手取り)の10%程度といわれます。しかしこれはその家庭に必要な保障や保険の内容により変わります。例えば貯蓄性の高い保険であればもっと割合が高くなることも想定されます。
ちなみに公益社団法人生命保険文化センターが行った「平成27年度 生命保険に関する全国実態調査」によると1世帯あたりの年間払込料は平均38.5万円となっています。また半数以上の世帯では36万円未満となっています。
家庭の収入に合った保険料となるように、予算を決めてから保険を検討するのも良い方法でしょう。
掛け捨てと貯蓄型のどちらを選ぶべきか
掛け捨てと貯蓄型どちらを選ぶかということは、生命保険を選ぶ上で誰もが悩むポイントかもしれません。貯蓄性が必要かどうかは考え方によりますが、どちらが得なのか、どちらを選ぶべきなのか比較して解説します。
掛け捨ての保険
掛け捨ての保険は貯蓄性がほとんどないもので、最小限の負担で必要となる部分の保障のみを行うという目的に特化した保険といえます。
このタイプは保険料が安いという大きいメリットがあります。保障内容が希望と合わない場合には、掛け捨てタイプをいくつか組み合わせるという方法もあります。
貯蓄型(積立型)の生命保険
貯蓄型は積立型、積立タイプなどともよばれ従来の生命保険に多かった商品です。満期を迎えたときには満期保険金、解約したときには解約返戻金を受け取れるものが多くあります。
メリットとしては保障もありながら、積み立てができるという点です。保険商品によっては定期積金や定期預金などより利率が高いことがあり、貯蓄を目的とした金融商品としても人気があります。
しかし月々に支払う保険料が高い、満期前に解約すると支払った保険料よりもらえる金額が少なくなる場合があるなど、デメリットも多くあります。
20代、30代、40代…年代別の生命保険選び
年代別の生命保険の選び方にもポイントがあります。それぞれ想定されるライフステージによっても変わってきますが、主なポイントを年代別に紹介します。
20代が入るべき生命保険とは
20代のうちは病気や入院などと無縁だと思う人も多いかもしれません。独身の人は葬儀費用や、けがや病気などによって働けなくなった際の保障をメインとして考えましょう。
20代で結婚した場合も共働き夫婦では独身時代とそれほど変える必要はないかもしれません。しかし妊娠・出産を希望している女性は、妊娠した後では保険への加入が制限されることがあるため、医療保険などへの加入を早めに検討しておくことが大切です。
また20代でも子供がいる家庭では、家計を支える人に万が一のことがあったときのリスクがとても大きいでしょう。そのため死亡保障が大きい生命保険に加入したり、見直したりする必要があります。
このように20代では、家庭の状況によって入るべき保険が大きく変わってきます。
30代が入るべき生命保険とは
30代では結婚している人も多くいるでしょう。繰り返しになりますが、妊娠・出産を希望している女性は医療保険などへの加入を早めに検討することをおすすめします。
また既に子供がいる夫婦では将来の教育費用の積み立てとして学資保険に加入したり、死亡保険の保障を厚くしたりする必要が出てきます。
保障を厚くしようとすると当然保険料は高くなります。30代で収入面が安定してくる人もいますが、そうでない場合も想定されます。また住宅ローンなどを開始する場合も考えられます。
30代では収入と保障のバランスを考えて、生命保険の見直しを行うのが良いでしょう。
40代が入るべき生命保険とは
40代は働き盛りですが、子供がいる家庭では高校や大学への進学など大きな支出のタイミングが重なることもあります。そうした家庭においては収入を支出が下回るタイミングが出てきます。
一方で子供が独立することも考えられ、そうしたときも保険を見直すチャンスです。万が一のときに子供に残すお金よりも自分の老後資金の保障を厚くすると良いでしょう。具体的には個人年金保険や終身保険などがおすすめです。
また40代では病気のリスクがぐっとあがります。病気になってからでは保険の加入が制限されることがあるため、元気なうちに医療保障などを見直しておくのも良い方法です。
ライフステージが変わったときの生命保険選び
年齢だけでなく、ライフステージが変わった場合にも生命保険を見直すことが必要です。具体的には結婚したとき、子供が生まれたときや増えたとき、離婚したときなどに見直しをしましょう。
また子供がいない夫婦でも、今後妊娠や出産を希望するのかどうかによって必要となる保障が変わってきます。そのほか収入の増減や親の状況によっても保険を見直す必要が出てきます。
加入している保険があれば外交員に聞いてみる、または保険の相談窓口などで専門家に相談するといったことを行いましょう。
生命保険選びは、必要な保障を家族で話し合って
生命保険の選び方について7つのポイントと、掛け捨てと貯蓄のどちらが良いかなどについて解説しました。生命保険に加入する目的をはっきりさせることがまず重要でしょう。
保障は求めればきりがないものです。収入や支出のバランスを考えて、家庭に必要な保障とその優先順位について夫婦で話し合っておことも大切です。
また掛け捨てと積立型のどちらが良いかという点については、家庭ごとの考え方によります。貯蓄性の高い保険にしたときには家計を圧迫しないように、無理のない保険料のものを選ぶと良いでしょう。
生命保険はさまざまな商品があり選ぶのが難しいものです。専門家にも相談するなどして、自分に合った保険に加入しましょう。