手荒れがひどくなりやすい原因
ひび割れる、皮がむける、水泡ができる…手荒れはなぜここまでひどくなるのでしょうか?対策法を見ていく前に、まずはひどい手荒れが起こる原因について見ていきましょう。原因がわかれば対策もしやすくなりますよね。
水仕事を多くしている
日々さまざまな家事をこなしていると、どうしても水仕事が多くなりがちです。中には外の仕事でも水仕事をしているという方もいらっしゃるでしょう。水仕事は手荒れをひどくする代表的な原因とされています。
わたしたちの皮膚にはバリア機能がありますが、バリアとなるのは「角質細胞」です。しかし水は角質細胞まで浸透します。水の浸透と蒸発が繰り返されると炎症性の物質が働きだして、手荒れを引き起こしたり皮膚のバリア機能を壊してしまったりするのです。
つまり水に触れる時間が長いだけで手荒れが起こる可能性はあるということですね。
- 労災疾病等医学研究普及サイト「(PDF)第2章 手あれの原因いろいろ」(https://www.research.johas.go.jp/inshi/docs/02.pdf,2022年8月30日最終閲覧)
- 新宿駅前クリニック「手湿疹(手荒れ) とは?原因、症状、治療など」(https://www.shinjyuku-ekimae-clinic.info/hihuka/te.html,2022年8月30日最終閲覧)
水やアルコールで手を洗う頻度が多い
一つ前の項目で解説したように、水は手荒れを引き起こす原因となるので、手を洗う頻度が多いだけでもひどい手荒れが起こることもあります。特に最近は石けんやアルコールで念入りに手洗いしている方も多いのではないでしょうか。
石けんは界面活性剤なので、手のうるおいを守る皮脂膜を剥がします。そして消毒用のアルコールは回復しようとしている皮脂膜をまた剥がしてしまうものです。
水・石けん・アルコールを用いる手洗いは皮膚へのダメージが大きいので、頻繁に手洗いすることでひび割れなどのひどい手荒れが引き起こされることがあります。
- 労災疾病等医学研究普及サイト「(PDF)第2章 手あれの原因いろいろ」(https://www.research.johas.go.jp/inshi/docs/02.pdf,2022年5月23日最終閲覧)
- 大阪府立公衆衛生研究所「界面活性剤の皮膚常在菌への影響」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/bopiph/47/0/47_47/_pdf,2022年5月23日最終閲覧)
- 日本環境感染学会誌「アルコールゲル擦式手指消毒薬の手荒れ予防効果」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsei/23/4/23_4_280/_pdf/-char/ja,2022年5月23日最終閲覧)
何かの物質が原因でかゆみを起こす
皮膚に影響を与える何らかの物質が原因でかゆみが起こり、無意識にかいてしまうことも手荒れの原因の一つです。たとえば染毛剤や化粧品、スキンケア用品、医薬品、植物など刺激の強い物質に触れているのかもしれません。
かゆみで皮膚をかくと、かいたときに皮膚のバリアは壊れてしまいます。通常であればバリアは回復されますが、バリアが弱い状態はさらなるかゆみを引き起こします。そしてまたかく…ということを繰り返すと、さらに皮膚のバリアがどんどん弱くなり手荒れがひどくなるのですね。
- 日本薬学会/ファルマシア「かゆみの強い疾患」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/41/3/41_KJ00009718717/_pdf/-char/ja,2022年8月30日最終閲覧)
- 日本薬学会/ファルマシア「かゆみの分類と治療薬の現状」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/56/9/56_816/_pdf/-char/ja,2022年8月30日最終閲覧)
- 日本医療研究開発機構「皮膚バリアと感覚神経の関係を可視化―アトピー性皮膚炎などの痒みのメカニズムに新知見―」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/131/13/131_2691/_pdf/-char/ja,2022年8月30日最終閲覧)
アトピーやアレルギー体質である
もし解説してきた原因に思い当たるふしがないなら、アトピーやアレルギーなど体質的な問題でひどい手荒れが起きている可能性もあります。
アトピー体質の方は皮膚を守るセラミドが少なく、皮膚が乾燥しやすい状態です。乾燥し傷ついた皮膚のバリアにアレルゲンが侵入すると炎症性物質が作られて手荒れが起こります。
一つ前の項目で解説したかゆみによるバリア機能の低下もアトピーの原因だとされているので、ご自身の手荒れの原因はなにか考えてみてくださいね。
- 日本医療研究開発機構「皮膚バリアと感覚神経の関係を可視化―アトピー性皮膚炎などの痒みのメカニズムに新知見―」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/131/13/131_2691/_pdf/-char/ja,2022年8月30日最終閲覧)
- アレルギー「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021」(https://www.amed.go.jp/news/release_20190619.html,2022年8月30日最終閲覧)
日常生活で取り入れたい手荒れ対策
ひどい手荒れはセルフケアだけでは改善できなくなることもあります。しかし、日常生活の中で対策を行えば、そうなる前に手荒れの進行を防げるはず。
そこで、日常生活の中に取り入れていきたい手荒れ対策を紹介します。
水仕事をするときは手袋を着用
ひどい手荒れの大きな原因となるのが水仕事。そこで、水仕事をするときはゴム手袋やビニール手袋をつけて、水が直接手に触れないようにしましょう。
ただ、手袋をしたときのゴワゴワとした感触や蒸れを嫌う方もいらっしゃると思います。そのような場合は、手袋の下にコットン製の薄手の手袋をはめればゴワゴワ感や蒸れが気にならなくなりますよ。
食器洗いはお湯ではなく水で
「お湯」は手荒れの大きな原因の一つ。皮脂が溶け出す温度は約30℃なので、水ではなくお湯を使い家事をすると手の皮脂が奪われてひどい手荒れへと進行しがちです。
お湯とともに洗剤を使えば、皮脂はさらにみるみる奪われることに…。冬場の油汚れは水が冷たいと落ちにくく、ついお湯を使いたくなりますが、お湯を使うなら手袋をはめるなどなるべくお湯に手が触れないよう対策をとりましょう。
水仕事やアルコール消毒をしたあとは毎回保湿
皮膚を刺激から守ることも必要ですが、何より意識したいのがこまめな保湿。手洗いやアルコール消毒のたびにハンドクリームなどで保湿をすることが大切です。
洗面所やキッチンにハンドクリームを置いたり、外出時にも持ち歩くなどして、頻繁に保湿できるように環境を整えましょう。
- 日比谷ヒフ科クリニック「ひどい手荒れを治したい!予防とケアのご紹介」(https://www.hibiya-skin.com/column/202008_01.html,2022年8月30日最終閲覧)
- 吉祥寺まいにちクリニック「手荒れ・肌荒れ」(https://kichijojiclinic.com/medical/teare-hadaare/,2022年8月30日最終閲覧)
- 皮膚科ちえこクリニック「手あれ」(https://www.chieko-clinic.jp/hifuka/teare,2022年8月30日最終閲覧)
ひどい手荒れに関する先輩ママの体験談
日常生活の中でしっかりと対策をしても、やはりひどい手荒れになってしまう…と、悩めるママもいることでしょう。肌の弱い方が家事をすると、どうしてもひどい手荒れに悩まされがちです。
そこで、先輩ママたちはひどい手荒れにどのように対処していたのか、実際の体験談から学んでいきましょう。
水仕事のときにはゴム手袋がかかせない
ひどい手荒れになる最大の原因は食器洗い。先輩ママたちは手袋をはめて、合成洗剤ではなく固形石鹸を使うなどして手を守っているようです。市販の合成洗剤は手荒れがひどくなるとの意見が多かったので、ご自身にあう肌にやさしい石けんを見つけることも対策の一つですね。
ただ、肌にあう石けんがなかなか見つからなかったり、どの洗剤・石けんを使っても手荒れしてしまったりする方もいると思います。
就寝時にも保湿を意識
夜寝るときに、しっかりと保湿をした上で手袋をしているという方も複数いました。夜寝る間は手荒れを悪化させる水などに触れない分、回復しやすい状態を意識したいですね。
やっぱり皮膚科受診が一番
ハンドクリームをベッタリ塗って手袋しても、あまり効果がないです。と、言うか次の日水仕事したらすぐ元通りと言いますか…
なので、やっぱり皮膚科です!
ちゃんと診てもらって適切な薬だしてもらうのが1番です。
ひどい手荒れがどうしても治らないという先輩ママたちは、皮膚科でステロイドを処方してもらっているようです。ステロイドは市販薬よりも安く効果的とのことで、ひどい手荒れを治すための方法として高い支持を得ていました。
ハンドクリームや市販薬では治らないくらいひどい手荒れになったら、皮膚科でステロイドを処方してもらって治すほうが早いかもしれませんね。
手荒れがひどいならまずは日常の対策を意識して
ひどい手荒れに悩まされているなら、まずは日常生活の中でできる対策を実践していきましょう。ハンドクリームや市販薬でこまめにケアをすれば、治すことができるかもしれません。
もし対策しても治らないくらいひどい手荒れなら、皮膚科で薬を処方してもらったほうが良いかもしれません。ご自身だけで対処しようとせず、病院に相談してみるのも一つの方法ですよ。