ⓒ本間実/講談社
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元「泉の女神」が人間界で母になる
このお話の主人公の藤沢いづみ(ふじさわ いづみ)はただの女性ではありません。200年間、森の泉で「女神」として暮らしていました。あることがきっかけで人間の夫と出会い、人間に転生し、人間界で夫と娘の3人で生活をしています。
華やかな暮らしではありませんが、2歳のイヤイヤ期の娘に振り回されながらも、平和な暮らしに幸せを感じていました。しかし、そんないづみでも、思い悩んでしまうことがありました。
母親としての生活に満足しつつも、娘と夫と出会っていなかった、女神としての自分について考えてしまうのです。200年生きていた過去のほうが、自分らしかったのではと感じてしまうことも。
「女神だった自分」と「子育てをするママとしての自分」の間で葛藤するいづみの思いに、共感する方はいるはず。母になる以前は自由な独身だった自分を思い出す瞬間は、誰にでもあるのかもしれません。
女神と人間の結婚。その出会いのきっかけ
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結婚することになったきっかけは、いづみが住んでいた泉に、夫がお礼を言いにきたことでした。
かつて夫の父は、泉にボールペンを落としたことがきっかけで「金と銀のボールペン」を授かります。そして父はそれを換金し、息子(現在の夫)の大学進学費用としたのでした。大学を無事卒業した夫は、女神にお礼を伝えにきたのです。
女神を呼び出すため、夫が泉に投げ入れることにした所持品はなんとスマホ。いづみは、投げ入れられたスマホが故障しないよう、瞬時に保存袋でキャッチ。いづみは、人間のスマホを心配する優しい女神だったのです。
そんな気遣いのあるいづみに夫はひかれ、いづみは誠実な夫にひかれます。このことがきっかけで、やがて2人は結ばれたのです。
女神でも答えは出ない!母親、育児、そして自分とは…
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元女神のいづみであれば子育てなんて思いのままかと思いきや、育児は悩むことばかり。
義父にもかつての神々しさがなくなったと言われ、娘のイヤイヤ期に悩み、人間のママとなんら変わらない心の葛藤をしながら、毎日を生きていくいづみ。女神が子育てというファンタジーなお話ながら、不思議と共感し、いづみを応援したくなる方は多いはず。
物語には女神だけではなく「元人魚」「元ヴァンパイア」などさまざまな立場の女性が登場します。どんな女性でも、母である自分と母ではない自分のはざまで悩むことがあるもの。そんな心の揺れもていねいに描かれ、読むと元気をもらえるお話です。
書籍『元女神のブログ』第1巻は好評発売中
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人間と結婚した元「泉の女神」は、義理の父から「神々しさがなくなった」と言われ落ち込む。出産を機に退職したヴァンパイアは復職に悩む。元人魚は、人魚モデルとして活躍する友人の成功を素直に喜べない…。
迷いながらも日々を生きるママとパパへ捧げる「大人のおとぎ話」。【元「泉の女神」のブログ(前・後編)】【吸血母さんの1歳児健診】【吸血母さんの保活決意】【元人魚のインスタ】【元人魚の同窓会】を収録。