伝わりやすい「叱り方」ポイントは3つ
子どもの性格は性別に関わらずさまざまですが、私の場合、男の子ママから「つい叱りたくなるような行動を取るので困る」という声をよく聞きます。「走らない」「そっちは車来るから危ないって言ったでしょ」「おもちゃは投げないよ」と、例をあげればきりがありません。
わが子が傷ついてしまったら。誰かを傷つけてしまったら…と思うと、何度も言い聞かせてしまい、そのたびに「また怒ってしまったなぁ」と、保護者自身も自己嫌悪になることもあるのではないでしょうか…。
しかし、危険な行動や人に危害を加えてしまいそうな時は、叱らなければいけないとき。そんな時に保育士がとる、3つの行動と言動があるのでご紹介します。
1. 話す時は、大人が壁際に立つ
まず、話す時にお子さんを壁側に立たせて話すことはありませんか?
視界がごちゃついていると、視覚優位の子は親の顔ではなく、その後ろにあるおもちゃや本、ゴミでさえも気になってしまって、親に叱られている内容が頭に入ってきづらくなってしまいます。特に公園や道路では、視覚だけでなく車の音や人の声も入ってくるので、なるべく2人になれるような場所を選びます。
親が壁際に立つことで、お子さんの視界には親と壁だけにしてあげると、スッと注意した内容が頭に入ってきやすいのです。
壁際に立ち、さらにお子さんと同じ目線になるよう、正座や膝立ちで話すことも大切です。
2. 叱る理由を短く伝える
とにかく簡潔に!という伝え方が、男の子には特に効果があるように感じています。話が長くなると、すぐ別のことを考えてしまう傾向にあるので、何度も同じ話はせず、理由も含めて短く簡潔に話すと、その時の状況が頭に残りやすいのです。
例えば、高いところに登っていたら、「危ないでしょ!」ではなく、「落ちたら、ケガをするから危ないよ!降りて来て」と、なぜ危ないのか、落ちたらどうなるのか、どうすればいいのか。この3点の理由づけをして話します。そうすることで、その後どうすればいいのかがわかりやすくなります。
「ママが怒ってる!どうすればいいんだろう」という迷いがなくなるので、具体的に話してあげてください。
3.なるべく普段の口調で伝える
ついつい感情的になってしまって「叱る=叱り口調で伝えること」となってしまいがちですが、怒り口調になると、子どもは萎縮してしまい、本当に伝えたいことが届かなくなってしまいます。わが子を思って叱っているのに「怒られた」だけが残ってしまい、情報がインプットされないのです。
かと言って、やさしく叱ることでもなく、当たり前のようにごく普通の口調で伝えることが効果的です(これに関しては、私自身も保育士として保育園ではできるのですが、家庭に落とし込むのはなかなか難しい時も多いのですが…)。意識を向けるだけでも、感情的にならずに話せる回数が増えるかもしれませんね。
3つのポイントのうち、1つでもできていたらすごい!
保育士であっても、やはりわが子のことになると冷静でいられなかったり、頭ごなしに怒ってしまったりして自己嫌悪になることもあります。意識していても、その時の状況や環境下においても違ってきます。
そんな中でも、3つのポイントのうち1つでも意識してできていたら、それはもうすごいこと!冷静に対処できている自分自身をほめてくださいね。
「叱る」の中にある、最も大切なことは…
今回は、「叱る」ということにスポットを当てて、具体的に効果的な方法をお伝えしました。しかし、「叱る」ことの中には、本当はもっと大切なことが隠れているんです。
いつも叱っているような場面で例えると、走らなかった時、「上手に歩いて行けたね」、横断歩道の前でパッと止まった時、「自分で気づいて止まれたね」、おもちゃで上手に遊んでいる時、「そんな使い方を発見したんだね、面白いね」と、ほめたり、行動そのものを認めたりするということです。
「叱る」の裏側には、「ほめる」「認める」が隠れているんです。「叱る」だけでは到底響かないことも、「ほめる」と「認める」を上手に使うことで、「叱る」が響くものに変わるのです。
- やって当たり前のことをほめる
- できた時こそほめる
- 行動を具体的にほめる
そして、何より、何度間違えても、わが子を信じる。それが、最短にして最強の「叱るが伝わる方法」であると私は思います。