©chinakichi72
突然壊れた。いつもと同じ土曜日の昼下がり
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主人公の夫は中学の同級生。大人しくまじめな、目立つようなことはしませんが、他人が気付かないような優しさを見せるところにひかれて結婚しました。
子どもも生まれ、育児にも積極的に参加してくれる夫は誰から見ても「いいパパ」で、主人公一家は間違いなく「いい家族」を築いていました。
しかし、ある晴れた土曜日の昼下がり、娘と一緒に家に帰ってくると、いつもならすぐに出迎えてくれるはずの夫の姿がありません。
最初は少しどこかへ出かけているだけだろうと思った妻でしたが、夫はなかなか帰ってきません。「いい家族」の「いいパパ」だった夫はついにその日、帰宅することはありませんでした。
失踪の理由はまさか浮気なの?
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土曜日だったため、友達と飲みにでも行っているのだろうと思った妻でしたが、夫は電話にも出ずメールの返信もありません。心配しながらも何かの用事だろうと家計簿をつけていたとき、妻は「もしものとき用貯金」がそっくりなくなっていることに気付きます。
このお金は夫婦で何か緊急のことがあったときに使うためのものだったため、黙ってそのお金を持ち出した夫に対し、これは家出なのでは、という疑念が浮かびます。
さらに、夫の貴重品や旅行かばんが消えていて、スーツのポケットから出てきたレシートの品目は女性ものの香水。妻は「これはただの家出ではなく、女性も絡んでいるのでは」と浮気も疑い始めます。
号泣する子ども。夫が見つかったのは…?
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疑いは残るものの、夫の性格的に浮気は考えにくいと判断した妻は、夫の家出の原因に自分の言動が関係しているのではと自省して自分のこれまでの言動を振り返ります。翌朝になっても夫とは連絡が取れないまま、妻は娘を義実家に預けて1人で夫を探しに行くことに。
義母から聞いた話や会社からの電話で、夫には妻には見せていない苦悩や葛藤があったことを知る妻。車でさんざん探しまわった後、自宅の前を通りかかると夫の自転車が止まっているではありませんか。
急いで帰宅すると玄関の中には夫の姿が…。気丈に振る舞っていた幼い娘も、パパの姿を見るとせきを切ったように号泣します。そして夫は妻の知らないところで追い詰められていた気持ちを吐きだすのでした。家庭の中でも見せられなかった夫の心の奥。家族はどう支え合うべきなのか考えさせられる作品です。