赤ちゃんポストが設置されてから15年以上が経ち、2020年度末までに159人の赤ちゃんが預けられてきました。そのうち身元の分からない子どもは2割の31人。実の親が判明した場合でも、もとの家に戻ることなく、育ての親と養子縁組したり施設で養育されたりするケースがほとんど。このことからも、赤ちゃんのときだけ一時的に預かってもらえばよいというわけではないことがわかります。
赤ちゃんポストを設置した慈恵病院には小児科や産婦人科があり、いつ赤ちゃんが預けられても対応できるようにはなっていますが、年間の運営費用は約2千万円で寄付だけではカバーできず大半は持ち出しという現状があります。こうした人員やコスト面の負担が赤ちゃんポストの設置を遠ざけている面もあり、今後は各都道府県に1か所は赤ちゃんポストを作ることが望まれています。
赤ちゃんポストの課題・問題点
赤ちゃんポストは、どうしても育てる環境にない母親が赤ちゃんの命を守るために利用するべく作られたものですが、中には本来の設置目的から離れた理由で赤ちゃんを預ける人もおり、親が安易な気持ちで子どもを手放してしまう危険性が問題視されています。
また、赤ちゃんポストを設置した病院の人員不足や運営費用の負担、若い年齢層に対する認知度の低下による預け入れ数の低下などの問題もあり、今後の赤ちゃんポストのシステムの見直しや援助についても、考えていかなければいけない課題は山積みです。
赤ちゃんポストを使用する理由
- 望まない子供だった
- 子育てできない
- 育児ノイローゼになった
- 何らかの障害があった
理由はそれぞれありますが、経済的な理由よりも親の心の問題がより多く理由に挙げられています。さらに近年では障害児を赤ちゃんポストに預ける親が増えてきています。
赤ちゃんポストのメリット・デメリット
それぞれの意見があるかと思いますが、そもそも赤ちゃんポストのメリット・デメリットとはどういうところなのでしょうか?
赤ちゃんポストのメリット
- 赤ちゃんの命を救うことができる。
- 中絶を防げる可能性がある。
- 赤ちゃんに対する殺人や死体遺棄などの事件を未然に防げる。
- 赤ちゃんポストの存在によって出産・育児に悩む人の存在が明らかになる。
- 赤ちゃんポストに預ける前の相談が増え支援を進めることができる。
命を救うという部分では社会貢献にもなっており、中絶をすると妊娠できる可能性が低くなるとも言われていますので、女性のためのメリットとも言えるかもしれません。
赤ちゃんポストのデメリット
- 匿名性のため、両親とは二度と会えない可能性がある。
- 育児放棄を助長する可能性がある。
- 子どもが出自を知る機会を失ってしまう。
- 孤立出産の増加を招いてしまう可能性がある。
- 子どもを預けるハードルが下がり、安易な気持ちで利用される可能性がある。
両親と会えず、大人になるにつれて本当の親を探したいと思ってもなんの手掛かりもありません。子供を預かってくれる代わりになる代償は大きなものとなりますね。






