結婚7年目の悪夢:妊娠中の私を襲った「3度目の裏切り」
「まさか、またこの日が来るとは思いませんでした」
そう語る彼女の瞳には、諦めにも似た疲労がにじんでいた。結婚して7年。3歳になる愛らしい息子に加えて、お腹には新たな命を宿していた。まさに人生の幸福の絶頂にいるはずだった。しかし、その幸せは、夫の裏切りによって、あっという間に打ち砕かれたという。
梓さんにとって、夫の不貞行為は、今回が初めてのことではない。一度目は、まだ彼と付き合っていた頃に遡る。
「セフレとの関係が清算されていなかったんです。」
夫からの告白を聞いたとき、彼女は激しく動揺した。しかし、彼が「別れたくない」と懇願し、即座に関係を清算したことで、一度は許すことにしたという。若さゆえの過ち、そう自分に言い聞かせたのかもしれない。
二度目の裏切りは、結婚してわずか1年目のことだった。
「元カノとTwitterで、二人だけが見られるアカウントを作ってやり取りし、食事に行っていたんです…」
その事実を知ったとき、彼女の心は激しく揺さぶられた。不貞行為こそなかったものの、精神的な繋がりが許せなかった。
彼女は夫を許すことができず、別居を決意した。その際に、彼女は元カノから慰謝料として50万円を受け取ったという。
「たった50万円ですよ」
と、その時の悔しさを滲ませる。1ヶ月の別居期間を経て、夫の心からの反省と、彼への愛情が残っていたことから、再構築へと踏み出した。この時、彼女は二度と過ちを繰り返さないようにと、彼に離婚届を記入させ、誓約書も書かせた。「次に同じことがあったら離婚する」と約束させたのだそう。
信頼の代償:監視と束縛の中で育まれた「安心」の幻想
それから6年。夫婦の関係は、以前とは異なる形ではあったが、一見すると平穏な日々が続いていた。
「携帯はお互いいつでも見ていい状態、GPSもついていました。」
と梓さんは言う。まるで監視下にあるかのような生活だったが、それこそが彼女にとっての「安心」だったのかもしれない。
夫は趣味が多く、バスケ、バレー、スノボといったスポーツを通じて友人と集まることが好きだったため、心配の種は尽きなかったという。しかし、夫の家族を大切にする気持ちや、家事などをちゃんとやってくれる彼の姿を見て、もう二度と同じ過ちはないだろうと信じていた。そうした信頼が、彼女の心を少しずつ癒やしていったのだ。
そして、二人目の妊娠が発覚した。
「夫も私も、本当に喜んでいました。」
新たな家族が増える喜びは、これまでの苦しみを忘れさせるほどのものだったに違いない。しかし、その喜びは束の間だった。
三度目の裏切りは、最も予期せぬ形で彼女の前に現れた。夫が職場の飲み会から帰宅し、ソファで眠り込んでいたある夜。ひっきりなしに鳴り響くLINE電話の音に、彼女は違和感を覚えた。画面に表示されていたのは、夫の職場の後輩である女性の名前だった。
「電話が切れた後、LINEのメッセージを見たら、もう…」
彼女の言葉はそこで途切れた。
女性からのメッセージには、こう書かれていたのだ。「帰りたくなかった襲って欲しかった 次はあるかな?」そして、それに対する夫の返信は、「ごめん それはないかな。でも好きだよ」というものだった。その瞬間、彼女の心に、これまで積み上げてきた信頼という名の砂上の楼閣が、音を立てて崩れ落ちる音が響いた。
絶望の淵:妊娠中の妻が見た夫の「本性」と、突きつけられた現実
怒りと絶望に打ち震えながらも、彼女は冷静さを保とうとした。再びかかってきた女性からの電話に、彼女は自ら出た。「LINEのスクリーンショットを撮りましたので、詳しくは明日会って話しましょう。職場にも伝えますね」。そう告げた後、彼女は夫を叩き起こし、問い詰めた。
夫は当初、「二次会に行っていた」と嘘をついた。しかし、彼女の追及に、ついに真実を語り始めた。彼は女性と二人きりで居酒屋に行っていたというのだ。そして、LINEのやり取りは、いつも削除していたことも自白した。今回が初めての二人きりでの居酒屋だったというが、さらに衝撃的な告白が彼女を襲う。
「キスは今までに4回していました。職場や飲み会、同僚と遊んだ帰り道で…です」
不貞行為こそなかったと弁解する夫の言葉は、彼女の耳には届かなかった。キスという行為は、彼女にとって十分な裏切りだった。二度目の裏切りで書かせた誓約書と離婚届。それらは、今回のためだった。彼女は即座に別居を決意した。
そして、女性にも「裁判します」と連絡を入れた。すると、意外な反応が返ってきたという。
「職場にも旦那にも(まさかの新婚でした)絶対にバレたくないという理由から、なぜか慰謝料300万円を一括で払ってきました(笑)」
彼女の言葉には、笑いとは裏腹の複雑な感情が入り混じっていた。
夫には、二度目の裏切りの際に書かせた誓約書と離婚届があることを突きつけ、「覚悟を決めてほしい」と伝えた。しかし、夫はひたすらに謝罪し、行動で示そうとしたという。
飲み会やスポーツはすべてやめ、別居中にもかかわらず、彼女と息子がいない日に家の掃除をし、二度と浮気をしないためのカウンセリングにも通い始めた。
「義理母からも土下座されました(笑)」
しかし、彼女の心は動かなかった。
「そんなの、また数年経ったら彼はきっとやらかすと思うんです」
と言い放ったのだった。
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