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さちこから届いた抗議のLINE。しかし、育児に追われるまりえは、ただ既読をつけたまま返信しなかった。たかこの反撃を知り、彼女は悟る...さちこは変わらない。ならば、自分が変わればいい。もう相手にする時間はないと心に決め、まりえは新しい日常を歩き出す。
人のふり見てわが振り直せ
「ねぇ、さちこから、たかこにひどいこと言われたってLINEが来たんだけど、なんて返せばいいと思う?」
たつきの寝息を聞きながら、私はゆうすけにスマホを見せた。
画面を覗き込んだゆうすけは、眉をひそめて言う。
「いや、もう、何も言わなくていいんじゃない?」
「うん、私もそう思うんだけど…」
ゆうすけはスクロールしながら感心したように続けた。
「それにしても、たかこさん、よく指摘できたよな。なかなかできることじゃない」
「でもさ、これって私たちも気を付けなきゃだよね。言葉の選び方ひとつで、人を傷つけることってあるんだもん」
私の言葉に、ゆうすけは深く頷いた。
「そうだな。“人のふり見てわが振り直せ”って言うし、俺たちは気を付けよう」
何度も聞いた「ごめん」に、もう何も感じない
その時、さちこからLINEが届いた。
「ねぇ、なんで返信くれないの? 私なんか悪いこと言った? いつもちゃんと謝ってたし、冗談って分かってたよね?」
「ごめんって」
…また「ごめん」。
しかしその瞬間、たつきの「ふぇぇ…」という泣き声が響いた。お腹が空いたらしい。私はスマホをテーブルに置き、たつきのもとへ。結局、さちこへの返信は忘れてしまった。
学生の頃は、さちこの言葉に傷ついて、涙したこともあった。それでも“友だち”だと思ってきた。
けれど今は違う。
今の私が大事にしたいもの
今の私には、さちこのくだらないLINEに付き合っている暇なんてない。たつきを育てて、夫と協力して家事をして、自分の時間を少しでも楽しむこと。それが、今の私の日常だ。
さちこは、これからもこうやって、人を傷つけては、「ごめん」の一言で済ませて生きていくのだろうか。彼女は、きっと変わらない。そんなことを考えていると、スマホにたかこからのLINEが届いた。
「我慢の限界でさちこちゃんに言い返したの!」
その一文を見て、私は思わず笑ってしまった。来週、たかこと会う約束をしている。さちことたかこ、そして私。この3人の関係性は、きっとこれから変わっていくのだろう。でも、私は、それでいいと思っている。
あとがき:「ごめん」のその先へ
さちこの「ごめん」は、ついに既読スルーという結末を迎えましたね。子育てに奮闘するまりえにとって、無神経なやり取りに付き合う時間はもうありません。ゆうすけとの会話で、自分たちの言葉遣いを振り返るシーンは、読者の心にも響いたのではないでしょうか。人間関係の新しいフェーズへと進むまりえの決断に、多くの共感を覚えます。さちこは変わらないかもしれませんが、まりえは確かな一歩を踏み出しましたね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










