生後6か月の長男たつきとの幸せな日常を送るまりえ(31)。しかし、幼馴染のさちこ(31)の、人を傷つける発言と「ごめん」で済まそうとする無神経さに悩まされていた。夫のゆうすけ(31)と共感し合いながらやり過ごすが、さちこの言動はエスカレートしていく。
幸せな毎日と、厄介な存在
私の名前はまりえ、31歳。夫のゆうすけも同い年。そして、私たちには生後6か月になる長男・たつきがいる。
寝て、起きて、泣いて、笑う。そんな小さな存在に、私の毎日はすっかり支配されている。正直、自分でもびっくりするくらい「母親」という役割に夢中になっている。
夫のゆうすけもまた、仕事から帰ってくると一目散にたつきのもとへ。頼れるパパであり、優しい夫だ。
そんな幸せいっぱいの生活の中で、時々ふと顔を出すのが、幼馴染・さちこの存在。
さちこと、もう一人の友人たかことは、学生時代からずっと一緒で、何でも話せる仲だった。たかことは今も変わらず、お互いの家族のことや仕事の悩みを共有し合う、私にとってかけがえのない存在だ。
でも、さちこだけは、少し違う。いや、かなり違う。
「ごめん」と謝ってはくれるけど…
さちこは昔から、遠慮というものを知らない人間だった。思ったことを口に出さないと気が済まないというか、誰かの欠点を見つけては、それをネタにして笑いを取るのが好きな、いわゆる「イジり」キャラだった。そのイジりが、時として相手の心を深く傷つけることもあるのだけれど、彼女にはそんなことお構いなしだ。
「えー、それはないわー。センス悪ない?」
私が新しい服を買ったとき、彼女はまずこう言う。そして、私がちょっと傷ついた顔をすると、
「あ、ごめんごめん!なんもない!なんもないって!冗談やって!」
そう言って、ヘラヘラと笑うのだ。そう、彼女にとって「ごめん」は、何を言っても許される魔法の呪文なのだ。言いたいことを言いまくり、相手が傷ついたと分かると、とりあえず「ごめん」と謝っておけばそれで解決する、そう思っている。
「いや、なんもないって言うなら、最初から言うなよ…」
と、心の中で何度毒づいたことか分からない。学生時代ならまだしも、もう私たちも31歳。いい加減、人の気持ちを考えて話せる大人になってもいいんじゃないかと思うのだけど、さちこの性格は一向に変わらない。
夫と共有して、気持ちは落ち着いていた
昔は、そういうさちこに傷ついて、一人で落ち込むこともあったけれど、今は違う。イラっとしたら、その場で溜め込まず、すぐに夫のゆうすけに共有することにしている。
「ねえねえ、さちこからまたこんなLINE来たんだけど」
たつきを寝かしつけ、リビングで二人きりになった夜、私はゆうすけにスマホの画面を見せる。
「うわ、また言ってるね…」
画面を覗き込んだゆうすけは、眉間にしわを寄せながらも、どこか楽しそうだ。
「ほんと、すごいよね。こっちが言いたいことを言わせる隙も与えずに、一方的にまくし立てて、最後は『ごめん!』で終わらせるんだから」
「なんだろうな、この人。ほんと、エンタメ感覚で見てるわ、俺は」
ゆうすけはそう言って、さちこのLINEを私以上に面白がっているようだった。
「これって、一種の才能だよね。もはや、才能」
私は、イライラを夫に共有することで、溜め込まずに済んでいる。そうやって、さちこの理不尽な言動を、二人で笑い飛ばせるようになった。それは、結婚して良かったと思えることの一つかもしれない。
しかし、さちこの言動は、たつきが生まれてから、さらに加速しているようだった。
🔴【続きを読む】友人の子に「あーこっちのタイプか」失礼発言を「ごめんごめん」で済ます人|ごめんで済むと思っている友人
あとがき:「ごめん」の重み
誰かの言葉にモヤモヤする時ってありますよね。特に親しい友人からの、悪気があるのかないのか分からない「イジり」は、時に心に深い傷を残します。
さちこにとっての「ごめん」は、魔法の呪文なのでしょうか?言いたいことを言い放ち、相手が傷ついたと察すると「ごめんごめん!」で済ませる。こんな経験、皆さんにもありませんか?
まりえと夫ゆうすけの夫婦関係が、さちことの緩衝材になっているのが印象的です。この後、さちこの「ごめん」はさらに勢いを増していきます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










