未熟児養育医療制度って?
未熟児養育医療制度とは、医師が入院が必要と認めた赤ちゃんに対して、指定の医療機関で入院および治療を受ける際に必要となる医療費を負担する制度です。
赤ちゃんの体の発育や機能が未熟な状態で生まれた場合は、すぐに適正な治療を行う必要があります。その際に必要となる入院費や医療費の全額または一部を自治体が負担します。
地域によっては保護者の所得に応じて一部自己負担になってしまう可能性がありますが、負担分については乳幼児医療費助成の対象になります。
どのような赤ちゃんが対象になるの?
未熟児養育医療制度が適用されるのは、2000g以下の赤ちゃんです。その他にも十分な生活力がないと思われる赤ちゃんに対して適用されます。具体的な基準は下記になります。
一般的な状況
- 運動に不安な部分がある
- 痙攣が見られる
- 運動に異常が見られる
四肢や首などがうまく動かせず、痙攣などの症状が見られる場合は、入院治療が必要になります。
体温
赤ちゃんの体温が34度以上を維持できない場合、保育器など人工的に体温維持をサポートする必要があるので入院治療が必要になります。
黄疸
赤ちゃんが生まれてから数時間以内に黄疸が見られたり、黄疸がとても強く現れている場合は、入院治療が必要になります。
呼吸器・循環器
- 強いチアノーゼが見られる
- チアノーゼによる発作を繰り返す
- 呼吸数が50回/分以上と増加傾向にある
- 呼吸数が30回/分以下と少ない傾向にある
- 出血しやすい
1分間当たりの呼吸数が少なすぎたり多すぎたりするなど、呼吸器官や循環器官に異常が見られる場合は入院治療が必要になります。
消化器
- 生後24時間以上排便がない
- 生後48時間以上嘔吐が続いている
- 吐き物に血が混入していたり、血便が出ている
排便や嘔吐といった部分で異常がある場合は、消化器系が正常に機能していない可能性があるので、入院治療が必要になります。
対象となる赤ちゃんの年齢に制限はある?
基本的に未熟児養育医療制度が受けられるのは、出生日から1歳の誕生日の前日までとなっています。
未熟児養育医療制度の対象範囲は?
未熟児養育医療制度が対象となるものは、基本的には下記のものになります。
- 入院費
- 入院療養にかかる医療費(保険診療分)
- 食事療養費
原則として乳幼児が自力で生きられる程度になるまでに必要な医療に関係する費用が対象になります。
対象外となるもの
- おむつ代
- 衣服代
- 差額ベッド代
病院で過ごす上で赤ちゃんに必要なおむつや衣服代などは個人負担となります。
未熟児養育医療制度で助成してもらうためには?
未熟児養育医療制度が適応されると、原則的には入院や治療にかかる費用は全額が公費負担になります。ただし条件は地域によって差があるので、必ず管轄の保健センターへ問い合わせて事前に調べておくべきでしょう。
申請方法
未熟児養育医療制度を適応してもらう場合、書類の提出が必要になります。
- 養育医療給付申請書
- 養育医療意見書
- 世帯調査書
さらに自治体によっては下記の書類が必要になります。
- 源泉徴収票のコピー(自営業であれば確定申告書の写し)
- 住民税の課税証明書(もしくは非課税証明書)
- 生活保護受給証明書(生活保護対象者)
- 乳幼児医療費助成に関する委任状
- 乳児本人の健康保険証
提出が必要な書類の中には、印鑑が必要なものもありますので、しっかり準備をして不備がないように記入しましょう。
未熟児養育医療制度を利用した方の体験談
実際に未熟児養育医療制度を利用した方は、どのような感想を持っているのでしょうか?体験談をご紹介します。
ややこしい
超早産だったので、NICUでの一ヶ月の医療費が百万単位でした。「乳幼児~」でもオムツ代以外の医療費は後から全額戻ってはきますが、一旦窓口で支払わなければならないことを考えると、例え2割3割とは言ってもとても支払えない額でしたので、病院側から手続きを勧められました。
養育医療では、収入により自己負担額が決まります。そうして支払った分を、また「乳幼児~」に申請して結果的には医療費自己負担ゼロになる仕組みです。ややこしいし無駄が多い気がしてなりませんが… 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
子供の医療費については未熟児養育医療制度の他に乳幼児医療費助成などもあるので、それぞれの違いと仕組みをしっかり理解して利用する必要があるようですね。
NICUに転院に
今月15日に2346グラムで出産しました。ミルクの飲みが悪く嘔吐を繰り返し体重が減っていくため大きい病院のNICUに転院になりました。病院から説明を受け、区役所に必要な書類をもらい記入し、月曜日には手続きに行きます。 出典: simulacres.net
赤ちゃんの体重が2000gを超えていても、自力で生きる力が弱いと判断されれば、合わせた入院と治療が必要になるようですね。
おむつ代などは自己負担
未熟児医療制度を申請しても、たしかおむつ代と薬を飲ませるときに使ったスポイト代といった雑費は自己負担で払った記憶があります。その他検査・投薬に関してはきちんと制度により無料となりました。 出典: simulacres.net
入院治療費は補助金が出ても、その間に使用したおむつやミルク代は対象外として請求されるようですね。いざ請求が来た時に慌てないように理解しておきましょう。
ありがたい制度
第2子が小さく生まれ養育医療のお世話になりました。まず優先順位があり、保険診療→養育医療→乳幼児医療費助成となります。
(中略)
下の子は2060gで生まれたため、医師が入院養育を必要と認めたための入院でした。保育器に10日ほど・光線治療を3日入院中は酸素飽和度のモニターをずっと、各種検査・低血糖のための点滴・・・で入院が23日ほどになりました。請求額は(収入に応じて1ヶ月単位で自己負担額が決まり、月をまたぐと日割計算です)ミルク代・病衣代を除いて62万円ほどでした。うち自己負担額は2万にいかないくらいでしたが、県の収納金融機関に支払いました。後日その領収書を持って自治体の乳幼児医療費助成の申請をし、還付を受けました。ですからたいていのお宅で支払いが可能な額の支払いになります。多額の請求書が病院からはきますが、それを一旦支払うこともないです。 後日保健所から支払額決定の通知がきます。さらにそのほとんどは乳幼児医療費助成で戻ってきますから、本当に自己負担しないといけないのはミルク代・病衣代くらいです。これが新生児の入院は無償と言われる理由なんだと、実際に利用して分かりました。とてもありがたい制度です。納税の価値はあるな~と思いました。 出典: simulacres.net
生まれたての赤ちゃんに対する治療は高度な技術が必要となる場合が多く、その分かかる費用も大きくなります。生まれた命をしっかりつなげる意味でも、未熟児養育医療制度はとても大きな役割を担っているのですね。
未熟児養育医療制度は他の制度も含めてしっかり理解しておきましょう!
未熟児養育医療制度は、未熟児として生まれた赤ちゃんにとってはとても大切な制度です。子供の医療費については保険診療、養育医療、乳幼児医療費助成と多岐に渡ります。
大切な命をしっかり未来へつなげるためにも、それぞれの制度をしっかり理解して必要な手続きをしましょう。特に双子の赤ちゃんをご出産される予定のある方は、不測の事態も起きやすいので事前にしっかり把握しておきましょうね。