1. トップ
  2. マネー
  3. 補助金・助成金・控除
  4. 帝王切開は高額療養費の給付対象になる?申請方法と注意点や助成金の種類

帝王切開は高額療養費の給付対象になる?申請方法と注意点や助成金の種類

出産する際には病院に入院したり検査を受けたり、これまでより医療費がかさむこともありますが、出産は病気ではないため妊娠・出産にかかる費用は健康保険が適用されません。ただ、予定帝王切開や緊急帝王切開で手術費用がかかったときは、健康保険の対象となります。また、帝王切開にかかった医療費が所定の「自己負担限度額」を超えた場合は、超過分が「高額療養費」として支給されるので、申請書の書き方や仕組みを知っておくと安心です。ほかにも、出産時に利用できる補助金の制度を紹介しますので、妊娠・出産のサポートに役立ててください。

PIXTA

帝王切開は高額療養費の給付対象になる?

通常、妊娠・出産は病気ではないとみなされ、健康保険は適用されません。一方、帝王切開の手術には健康保険が適用されます。したがって、健康保険から給付される高額療養費の給付対象となります。


高額療養費とは、

  • 同一世帯において
  • 1ヶ月間(1日から月末まで)に支払った医療費が一定の金額(=自己負担限度額)を超えたとき

所定の申請をすることにより、後でその超過分を払い戻してもらえる制度です。

ここでいう健康保険とは、会社員や公務員が加入する健康保険組合と、自営業者などが加入する国民健康保険の両方を指します。お勤めの人であろうと自営業やフリーランスであろうと、条件を満たせば高額療養費の対象となるのです。

自己負担限度額は年齢や収入状況によって異なりますが、高額な医療費を払うことになっても上限が決まっているため、安心して医療を受けることができます。

70歳未満であれば、医療を受ける前に「限度額適用認定証」を発行してもらうとさらに便利です。限度額適用認定証を提示すれば、窓口で支払う医療費が自己負担限度額までで済みます。

帝王切開の手術代の目安

医療費 PIXTA

帝王切開の手術代は、平成28年診療報酬点数表によれば以下の通りです。

  • 緊急帝王切開:22万2,000円
  • 選択帝王切開:20万1,400円

前置胎盤の合併症や32週未満の早産、常位胎盤早期剥離が見られる場合などは、さらに2万円が加算されます。実際に窓口で負担するのはこの3割ですが、決して安い金額ではありません。

帝王切開で出産をした方、帝王切開の予定のある方は、高額療養費を忘れずに申請するようにしましょう。

高額療養費の金額

医療費 PIXTA

高額療養費として支給される金額は、一定の自己負担限度額を超えた部分です。

自己負担限度額は年収によって5段階に分かれています。厳密には、協会けんぽなどの健康保険組合(健保)では「標準報酬月額」、自営業者などが加入する国民健康保険(国保)では「年間所得」によって区分されます(被保険者が70歳未満、平成27年1月分の診療分から)。

①年収が約1,160万円以上

健保なら標準報酬月額83万円以上、国保なら年間所得901万円超の方が該当します。

  • 自己負担限度額:25万2,600円+(総医療費-84万2,000円)×1%
  • 多数該当(※):14万100円

②年収が約770万~1,160万円

健保なら標準報酬月額53万円以上83万円未満、国保なら年間所得600万円超901万円以下の方が該当します。

  • 自己負担限度額:16万7,400円+(総医療費-55万8,000円)×1%
  • 多数該当:9万3,000円

③年収が約370万~770万円

健保なら標準報酬月額28万円以上53万円未満、国保なら年間所得210万円超600万円以下の方が該当します。

  • 自己負担限度額:8万100円+(総医療費-26万7,000円)×1%
  • 多数該当:4万4,400円

④年収が約370万円未満

健保なら標準報酬月額28万円未満、国保なら年間所得210万円以下の方が該当します。

  • 自己負担限度額:5万7,600円
  • 多数該当: 4万4,400円

⑤低所得者

住民税が非課税の方などが該当します。

  • 自己負担限度額:3万5,400円
  • 多数該当:2万4,600円

(※)多数該当とは、高額療養費を支給された月が直近1年間で3ヶ月以上あること。この場合、4回目以降は自己負担限度額がさらに下がり、負担が軽くなります。

標準報酬月額についてはこちら:協会けんぽ「標準報酬月額・標準賞与額とは?」

高額療養費の申請方法

計算機 PIXTA

高額療養費の申請方法は医療を受ける前と受けた後で異なります。いずれの場合も、申請可能な時期は医療費を窓口で支払った翌日から2年以内。つまり、申請をすれば過去2年分までさかのぼって払い戻しを受けられるということです。

医療を受ける前に認定を受ける方法

逆子や前置胎盤、双子を妊娠しているといった事情で予定帝王切開が決まっているなら、事前に高額療養費の認定を受けて「限度額適用認定証」をもらっておきましょう。退院時に窓口で支払う金額が自己負担限度額までで済みます。

必要なもの

  • 限度額適用認定申請書
  • 健康保険証
  • 印鑑

申請・支給の手順

  1. 健康保険の窓口で申請書をもらう
  2. 申請書に必要事項を記入し、健康保険の窓口へ提出
  3. 限度額適用認定証を受け取る
  4. 産院での支払い時、限度額適用認定証を提示

限度額適用認定証は健康保険料を滞納しているともらえない場合があり、有効期間も最長1年と限られていますので注意してください。

医療を受けた後に申請する方法

帝王切開の手術を受けて退院後、高額療養費を申請する場合の手順は以下のとおりです。

必要なもの

  • 高額療養費支給申請書
  • 医療機関の領収書
  • 振込先の口座番号
  • 健康保険証
  • 印鑑

申請・支給の手順

  1. 退院時に医療費総額の3割を支払い、領収書を受け取る
  2. 健康保険の窓口に申請書と領収書を提出
  3. 指定した口座へ高額療養費が振り込まれる

医療費が月をまたぐ場合の注意点

カレンダー PIXTA

高額療養費の支給金額のもととなる医療費は、毎月1日から月末までの1ヶ月単位で計算されます。そのため、帝王切開の手術日から退院するまでに月をまたぐと、月をまたがない場合より自己負担が多くなる可能性があります。

たとえば帝王切開の手術日が8月31日、月をまたいで1週間後に退院したとします。手術を受けて高額の医療費が発生した8月分で高額療養費を申請することになりますが、9月に入ってからの入院費用は自己負担限度額を超える金額にはならず(食事代などはそもそも対象外、詳しくは後述)、高額療養費は支給されないのです。

妊娠の経過や妊婦さんの体調が第一ではありますが、予定帝王切開などで日程の相談が可能であれば、月をまたがないようにしてもらうのも一つの方法でしょう。

高額療養費制度の注意点

妊婦 入院 PIXTA

高額療養費は帝王切開で手術費用などがかさんだ方にとって心強い制度です。ただし、対象となる金額を計算する際、次のような注意点があります。

差額ベッド代や食事代は高額療養費の対象外

そもそも健康保険が適用される医療費でないと、高額療養費の対象にはなりません。そのため差額ベッド代や入院中の食事代、健康保険対象外の負担分は高額療養費の対象外になります。

医療費の合算には条件がある

自分の分だけでは高額療養費の自己負担限度額に届かなくても、世帯合算が可能です。同一世帯、同じ月で家族が支払った医療費があれば合算し、自己負担限度額を超えた金額を払い戻してもらえます。

また、同じ人が同じ月に複数の医療機関を受診した場合も合算が可能です。妊娠中の転院や里帰り出産で医療機関が変わった方がこのパターンに当てはまります。

ただし、1件あたりの自己負担額が2万1,000円以上であることが条件ですので注意してください(70歳未満の被保険者の場合)。

出産で利用できるその他の助成金制度

帝王切開に限らず、出産手当金や出産育児一時金、妊婦健康診査受診票など、妊娠中から出産後まで利用できる国の助成金制度はほかにもあります。

妊婦一般健康診査の助成

妊婦一般健康診査の助成は、基本的な妊婦健康診査や血液検査、感染症検査などの項目を受診する妊婦一般健康診査にかかる費用を助成してくれる制度です。


妊娠が分かってから母子健康手帳を受け取るときに申請すれば、保健センターなどで補助券を発行してもらえます。助成限度額やほかに適用される検査項目などは自治体によって異なります。

出産手当金

出産手当金は職場の健康保険に加入している人が、出産のため会社を休んで給与の支払いを受けなかった場合に利用できる制度です。


出産の日以前42日から出産の翌日以後56日目までの範囲で、標準報酬月額を基準とした2/3相当の金額が支給されます。

出産育児一時金

出産育児一時金は、健康保険に加入している人が妊娠4か月以上で出産して申請すると、1児につき42万円(産科医療補償制度に加入していない病院や助産院で出産する場合は40万4,000円)が支給される制度です。
出産後に受け取る方法だけでなく、出産にかかる費用に出産育児一時金を充てるために、医療機関等に直接支払ってもらうことも可能です。

出典元:

医療費の不安を減らすために帝王切開の高額療養費の申請方法をチェック!

帝王切開には不安を感じることもあるかと思いますが、手術を行うことにより保険が適用されるだけでなく、高額療養費の支給対象にもなるため、医療費が高額になる場合でも金銭的な心配事は減らすことができるでしょう。


しかし、制度を利用するにはどうしても申請や手続きが必要になりますので、心身ともに負担がかかる妊娠中や出産後にもスムーズに行動できるよう、あらかじめ手続きの方法や申請書の書き方を知っておくと安心です。


妊娠・出産は母体にかかる負担が大きいだけでなく、金銭的にも出費がかさんで頭を悩ませてしまうことがあります。出産は産んだら終わりではなく、その後には長く続く育児が待っていますので、国や自治体の補助制度を活用して少しでも負担を軽くしてくださいね。

出典元:

おすすめ記事

「帝王切開」「高額医療」 についてもっと詳しく知る

話題の記事

出典元一覧

本記事は必ずしも各読者の状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて、医師その他の専門家に相談するなどご自身の責任と判断により適切に対応くださいますようお願いいたします。なお、記事内の写真・動画は編集部にて撮影したもの、または掲載許可をいただいたものです。

カテゴリー一覧