妊娠36週目の妊婦、おなかの大きさと出やすい症状
- 子宮底長:約30~33cm
- 母体の体重増加目安:約300~500g/週 ※
妊娠36週になると、妊婦さんのみぞおちあたりまであった子宮が、少しずつ下がっていきます。これまで胃が圧迫されて思うような食事がとれなかったり、後期つわりの症状があったりした方は少しずつ緩和されていくでしょう。
おなかの大きさや出方は妊婦さんによって差があります。大きく前に突き出ている方もいれば、臨月に入っているとは思えないほど目立たないおなかの妊婦さんもいます。胎児の成長が順調で、医師から何も指摘されていない場合は、特に気にする必要はないでしょう。
※非妊娠時のBMIが18.5未満もしくは18.5~25.0未満の場合。それ以上の場合は、推奨される体重の増加量も異なります。
体重が増えやすくなります
妊娠36週になると、胃の圧迫がなくなった事で食欲が出てくる妊婦さんも多いでしょう。さらに、この時期は出産に備えて体内の循環血液量が最大になるため、より体重が増えやすい時期といえます。
胃が少しずつすっきりしてきて食事がしやすくなる時期ですが、胎児の成長が急速に進む時期でもあるため、自分の好きなものではなく栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
前駆陣痛が起こりやすくなります
前駆陣痛とは、臨月に入ってから起こる不規則な子宮の収縮のことを指します。前駆陣痛の特徴は、起こるタイミングが不規則で、持続する時間もまちまちだということ。症状の現れ方にも個人差があり、腰痛や下腹部痛などさまざまです。
おなかの張りや痛みが繰り返し起こる場合、張りが起こっている時間と、痛みと痛みの間の間隔を計測してみましょう。計測に便利なアプリがたくさんありますので、使いやすいものをダウンロードしておくのがおすすめです。
胎動を感じる回数が減ります
妊娠36週目になると、赤ちゃんの頭が骨盤に入って固定されるため、胎動を感じる回数が減少します。しかし、胎動を感じる回数は減っても全く感じなくなることはありません。
もし胎動を全く感じられないと思ったら、胎動カウントをしてみましょう。反対に、生まれる直前まで胎児が元気に動いているという場合もありますので、個人差が大きいことを理解しておきましょう。
妊婦健診は1週間に1回になります
妊娠36週目になると、臨月に入り妊婦さんはいつ陣痛が始まってもおかしくない時期になります。そのため、妊婦健診を1週間に1回のペースで行い、母子の健康状態を詳しく調べる必要があります。
妊婦健診の内容も、これまでは問診とエコー検査だけでしたが、胎児の心拍を測るNST(胎児心拍モニタリング)の検査も加わります。
この時期の妊婦健診では、羊水の量や赤ちゃんの成長度合いを確認します。NSTは20~40分ほど横になり、おなかに機械を付けて子宮の収縮の回数や強さをチェックし、お産の準備がどの程度進んでいるのかを確認する事にも役立てられます。
性生活はお休みしましょう
妊娠36週目以降になると、破水を引き起こす可能性があるため性生活はお休みしましょう。特に切迫早産などのリスクがある方は37週に入るまでは赤ちゃんを再優先で過ごすようにしましょう。
臨月に入ったとはいえ、妊娠36週目の出産は、まだ正期産ではありません。おなかの張りにつながってしまうことはなるべく控えるようにしてくださいね。
おしるし?出血の症状に注意しましょう
妊娠36週目にある出血は、お産が始まるサインの「おしるし」である可能性があります。おしるしは、粘り気のあるおりものに血液が混じるものを指しますが、茶色っぽく見える場合もあるでしょう。
おしるしがあったからといってすぐお産が始まるとは限りません。出血量がごく少量の場合もあり見逃してしまいがちですが、茶色でも出血していることは明確なので、病院に連絡をして指示を仰ぎましょう。
- 井上裕美(監)「病気がみえる vol.10 産科」11、78、239(メディックメディア,2015)
- 日本産科婦人科学会(監)「Baby+ お医者さんがつくった妊娠・出産の本」24(リクルートホールディングス,2015)
- 長野産科婦人科クリニック「初めて出産される方へ」(http://www.nagano-sanfujinka.or.jp/first/,2017年10月16日最終閲覧)
- 石田医院「妊娠の兆候と妊娠中の心得は」(http://www.ishida-iin.com/sub2_note_f1.html,2017年10月16日最終閲覧)
- 駒ヶ根高原レディスクリニック「胎動について②」(http://www.kklc.jp/blog/2011/07/31/胎動について②/,2017年10月16日最終閲覧)
- 白河産婦人科「産科」(http://shirakawa-clinic.jp/publics/index/18/,2017年10月16日最終閲覧)
- 広島大学大学院 産科婦人科学「妊娠中の方へ」(http://home.hiroshima-u.ac.jp/sanfu/patient/maternity/index.html,2017年10月16日最終閲覧)
- 西川医院「分娩を控えたお母さまの基本姿勢」(http://www.nlc1.net/mamaroom/stance.html,2017年10月16日最終閲覧)
- 山本産婦人科「妊娠末期の出来事」(http://www.yc-tsu.jp/dekigoto/makki/10.html,2017年10月16日最終閲覧)
妊娠36週目の胎児の様子
- 身長:約50cm
- 体重:約3,000g
妊娠36週目になると、胎児もずいぶん大きくなり、子宮内で動ける範囲も少なくなっていきます。おおよそ、すいか1個分くらいの大きさです。胎児の呼吸器や心臓、肝臓、消化器などの器官は十分に発達しており、機能もほぼ完成します。
妊娠36週目での出産は早産になります
妊娠22週~37週未満での出産は早産と呼ばれます。なかでも、妊娠34~妊娠36週目は後期早産と呼ばれ、この期間に生まれた早産児の生存率は37週~42週までの正期産で生まれた子どもと同じくらいの割合です。
しかし、後期早産であっても、正期産で生まれた子どもと比較すると新生児期の合併症が多く起こり、発育遅延などのリスクも高いことがわかっています。
そのため、臨月とは言っても、この時期に生まれてしまうとリスクが高まるということを覚えておきましょう。
逆子の場合は帝王切開になります
逆子と診断されている方は、医師の判断によって妊娠37週目~38週目に帝王切開での出産となります。妊婦さんの体の状態によってタイミングが前後する場合もあります。
帝王切開手術は陣痛が始まってしまってからでは難しくなるので、なるべく臨月もしくは正期産の時期(俗にいう正産期)に入ってすぐのタイミングで行われることが多いでしょう。
妊娠36週目の段階で逆子の場合、帝王切開となる可能性が高まります。逆子は帝王切開の手術予定日の前日に治ったという妊婦さんもいますので、直前まで分かりません。
- 井上裕美(監)「病気がみえる vol.10 産科」158(メディックメディア,2015)
- 日本産科婦人科学会「Baby+ お医者さんがつくった妊娠・出産の本」24(リクルートホールディングス,2015)
- あさぎり病院「診療内容・特色」(http://www.asagiri-hp.or.jp/sinryouka/sanhuzinka/tokushoku/sanka/teiousekkai.html,2017年10月17日最終閲覧)
妊娠36週目のおすすめの過ごし方と注意点
妊娠36週目の妊婦さんにおすすめの過ごし方と注意すべき点についてご紹介します。
出産準備を済ませておきましょう
妊娠36週目は臨月に入る時期なので、いつお産が始まってもおかしくない時期になります。突然の破水や陣痛がきた場合に備えて、出産の準備は完了させておきましょう。
万が一旦那さんや他の家族にお願いすることになっても、迷わずに持ってきてもらえるように持ち運びやすい状態でコンパクトにまとめておいてくださいね。
しっかり休息しましょう
妊娠36週目になると、これまで以上に疲れやすくなります。便秘や痔、おりものの量が増える、腰痛などマイナートラブルもとても多く、不眠症になってしまう妊婦さんもいるでしょう。
この時期の妊婦さんはとにかく体力を消耗しやすいので、休めるときはしっかり休みましょう。1日の中でも休息をする時間は必ず確保してください。
出産し育児が始まればしっかり休めない日々が続きます。今のうちに体力を温存しておきましょう。
- 「みんなで支えよう!佐久のお産」ネットワーク「妊娠後期(28 週~分娩) の過ごし方 」(http://www.pref.nagano.lg.jp/sakuho/kannai/osan/saku/documents/kouki.pdf,2017年10月17日最終閲覧)
- 春日部市役所「妊娠後期(28週~39週ごろ)の過ごし方」(http://www.city.kasukabe.lg.jp/smph/kosodate_kyoiku/ninshin/ninshin/shitteokitai/28-39shuu.html,2017年10月17日最終閲覧)
妊娠36週は出産に向けてラストスパート!
赤ちゃんが下がってきたので、少しは楽になりますが、まだ胃腸を圧迫しているので食事のすすまない妊婦さんもいるかもしれません。食べる量や回数を工夫しながら栄養をとり、水分も十分にとってください。
出産予定日まであと残り1ヶ月です。体調のいい時には積極的に散歩など体を動かして過ごしましょう。