待機児童対策への政府案に違和感の声が上がっています
「保育園落ちた」という匿名のブログをきっかけに、政府が緊急対策をまとめることになった待機児童問題。
1人のブログでの発言が今は社会的な大きな波となって、日本を待機児童解消に向けて動かそうという力になっています。
そんな中で政府は待機児童緊急対策をまとめましたが、その内容には違和感の声が上がっています。
保育士1人当たりの定員の緩和・小規模園の対象年齢拡大
1~2歳児の場合、現在国が定めている基準では「おおむね子供6人に保育士1人」となっていますが、対策の中では1人の保育士が担当する子供の定員を増やすことを認めようとしています。
保育士1人当たりの定員を、独自に国よりも少なくしている自治体に対しては定員を増やすよう国から要請するのだそうです。
また、現状2歳までの預かりとなっている小規模保育施設の保育対象を「0~3歳」に変更するという案も出ています。また、小規模園の定員は19人としている部分も緩和し、今ある保育施設の受け入れを強化しようとしています。
待機児童が一時預かりを毎日利用できるようにする
現在保育園や幼稚園にある「一時預かり」という制度は、就労に限らず、様々な理由で一時的に子供を預けることが出来るものですが、現状は枠が小さい、金額が高いと言われています。
待機児童緊急対策の中では「同じ子供を毎日預かる前提でのサービス」として拡大し、金銭的にも、国が援助すると言う案もあるようです。
広範囲で通えるよう「バスの整備」「認証園の保護者負担軽減」
現在保育園ではあまり整備されていない通園バスに対し国が補助金を出し援助する案や、認証園の保護者負担額について補助するという案も出ています。
より広範囲の園を選択肢に入れられるようにすることで待機児童対策を強化したい考えです。
こうした対策に対し、ジャーナリストの治部れんげさんがこんなコメントをしました
保育園の受け皿を拡大すると言いながら、実際には既存の保育園に子供を「詰め込む」ような緊急対策に苦言を呈している治部さん。
保育士1人当たりの定数を増やすことでは保育士にとって負担増になり、その保育施設としてのストレスは最終的にはなんらかの形で子供に影響を与えるでしょう。
対策の中では保育士の給与を2%上げると言う案も出ていますが、これだけでは保育士になりたい人を増やすことには至りませんし、保育士がさらに辞めていく原因にすらなり得るのかもしれません。
今回の対策に対し、Twitter上では「産み控えを助長する」という声や、保育士からの「良い保育士が保育から離れていく」という懸念の声が聞かれます。
また、保護者からは保育の安全性に対する危惧の声も多く聞かれました。
予算を出してもらえないのは「声の大きさの問題」
ではなぜ、子育て世代の声は政府に響いていかないのでしょうか。その理由はたった1つなのです。
それは「投票率」。
待機児童問題に対して、政府が予算をしっかり出した対策を打ち出さないのは、子育て世代の投票率の低さが影響していると言われています。
20代と30代の投票率が低い...
総務省の調査によると平成26年の国政選挙投票率は、60代で68.28%なのに対し、20代、30代は30~40%。元々少子高齢化で人数が少ない中、子育て世代が投票に行かないことが問題だと言うツイートも多く投稿されています。
政治的に無関心であったり、子育てに忙しく選挙にいかない人が多いと言うのも原因の1つです。しかし、こうした「無投票」が政府に予算を出させることができない原因だとしたら、その問題はとても大きいですよね。
女性だけの問題だと思われがち
待機児童問題に声を上げる親も、保育士も、女性が多いのが現実です。限られた世代の、限られた性だけの問題だと捉えられてしまうと、一層声が小さくなってしまいます。
パパももっと怒っていいんです。子育て世代全体の問題として政府はしっかりとこの問題の本質をとらえてほしいですね。
当事者になるのが”たった5年”
そして「継続した声」をあげることも大切です。当事者である"5年間"だけ声をあげる、もっと言えば"自分の子供が入園できたら"声をあげるのをやめてしまう…そんな子育て世代が多いのも現実です。
それではいつまで経っても待機児童解消に対する保護者たちの声は大きくなりません。自分の家が保活成功すれば関係なし、というのではなく、次世代のためにも現実を見据え、みんなで声を上げ続けることが大切なのです。
もう「無関心」なんて言わせない。しっかり見極めて声を政府に届けよう
先日テレビ番組に出演した橋本徹さんも「お母さん方は政治に無関心」「選挙に行かない」と発言していました。政治家にとって大切なのは「票」。そしてそれを表すのが、選挙への投票率なんです。
今は待機児童問題が前面に出ているので大きな声をあげている子育て世代の方がたくさんいます。
しかしこれが選挙の時になって「忙しいから選挙はいけない」「子連れでいくのが大変」と選挙に行かない人が増えてしまったら、せっかくのこの波を無駄にしてしまいます。
子育て世代は政治に無関心だなんて、もう言わせないようにしましょう。この政府案の行方をみんなでしっかりと見極め、政府に向けて声を上げ続けることが大切です。
次回の国政選挙は子育て世代の投票率が熟年世代を上回るよう、政治に関心を持ち、1人1人が「自分のこと」として投票先を判断していくことが大切です。