学資保険に加入しているという方、実はほかにも選択肢はあります
生まれてすぐの赤ちゃんは学校に行くことがないので教育費がかかりません。しかし成長していくにつれて進学のためにまとまったお金が必要になってくることが考えられます。そのときに必要な大きな出費に備えて、生まれたときからコツコツ貯めていけたら良いですよね。
一概に「貯める」と言っても金額も大きいため、せっかくなら効率良く貯めたいところです。返戻率や保険会社による特徴は比較したものの「教育資金だから学資保険に入ろう」とすぐに決めた方もいるのではないでしょうか?
学資保険は子供の教育費としての積み立てができる保険商品で、年末調整では社会保険料控除として申告できるなど税法上有利な点があります。しかし学資保険に加入しているだけで教育資金は十分なのでしょうか。
普通に預貯金を行うという方法もありますし、父母の年齢によっては貯蓄性のある保険商品の給付金を充てるということもできます。また保険に加入する以外でも、ジュニアNISAなどで得た運用収益を教育資金にするという考え方もあります。
教育資金と一言で言っても、さまざまな方法があるということが分かりますね。
子供1人あたり約1,300万円の教育費、どう準備する?
内閣府の発行している「国民生活白書」の平成17版において、子供の0歳からの22年間にかかるお金の想定は1人あたり約1,300万円というデータが出ています。また、そのうち「教育費」は500万円強となっています。
学資保険の満期保険金を200~300万円に設定している場合には、それだけでは不足してしまいます。学資保険とそれ以外の資金調達の方法について、全部で5種類紹介したいと思います。
- 厚生労働省「第3章子育てにかかる費用と時間」(http://www.caa.go.jp/seikatsu/whitepaper/h17/10_pdf/03_youshi/pdf/yo500.pdf,2017年3月14日最終閲覧)
- ソニー生命保険「ホーム」学資金準備スクエア(http://www.sonylife.co.jp/gakushi/index.html?cid=ggl005,2017年3月23日最終閲覧)
- かんぽ生命「学資保険 はじめのかんぽ」(http://www.jp-life.japanpost.jp/products/lineup/gaksi/prd_lu_gks_index.html,2017年3月23日最終閲覧)
1.金融機関で預貯金
安心を得たい方にとっては普通口座に預貯金をするというのはまず初めに頭に浮かぶことでしょう。
「お金を貯める」という目的においてはそれで良いかもしれません。しかし普通預金の金利は現在では0.001%が相場であり、定期預金などでも0.01%となっています。教育費のように高額のお金を預ける場合には金利によるメリットは高くないといえそうです。
しかし反面普通預金であればいつでも引き出せることや、使途に制限が無いことなど精神的な負担もありません。もし子供の教育資金として使わなかったときにどう使う予定かを考えると、預貯金が一番負担にならないという家庭もあることでしょう。
- みずほ銀行「個人のお客さま」(https://www.mizuhobank.co.jp/rate/deposit.html,2017年3月17日最終閲覧)
- 日本郵政グループ「個人のお客さま」ゆうちょ銀行(http://www.jp-bank.japanpost.jp/kinri/kinri.html,2017年3月17日最終閲覧)
- 三菱東京UFJ銀行「円預金金利」(http://www.bk.mufg.jp/ippan/kinri/yokin_kinri.html,2017年3月17日最終閲覧)
2.学資保険
進学や教育にかかる費用はもちろん、新生活に必要な住まいやパソコンなどの教材、電車の定期代などさまざまな出費が予測される時期に合わせ、事前に満期を設定します。
多くの場合、満期のタイミングは17歳と18歳で選ぶことができますが、18歳に設定した場合、加入した契約月や誕生月によっては大学入学後の受け取りとなってしまう可能性があるため注意が必要です。
学資保険のメリットは、保険料以上の満期保険金や祝い金がもらえること、契約者(父母など)に万が一のことがあったときの保証があることなどがあげられます。契約者が死亡や一定基準以上の障害をおってしまったときには、以後の保険料の支払いが不要になるといった保障があります。
デメリットとしては途中解約をすると損をする可能性があることです。必要なときに資金として使えないとなってしまうと、教育費としての在り方が変わってしまう恐れもあるので、一概に「学資保険に加入していれば安心」と言えない可能性もあります。
家計に無理なく続けられるようなプランニングが必要になってきます。
- ソニー生命保険「保険をお考えのお客さま」(http://www.sonylife.co.jp/examine/lineup/list/educational/,2017年3月17日最終閲覧)
- アフラック「保険をご検討の方」(http://www.aflac.co.jp/education/gakushi/feature/saving.html,2017年3月17日最終閲覧)
- 日本生命保険相互会社「ニッセイ学資保険」(https://www.nissay.co.jp/kojin/gakushi/usp/,2017年3月17日最終閲覧)
- アフラック「保険をご検討の方」(http://www.aflac.co.jp/education/gakushi/feature/emergency.html,2017年3月17日最終閲覧)
3.養老保険や医療保険などの、貯蓄性のある保険
養老保険とは貯蓄型の生命保険のことで、万一の場合がなく満期になった際に給付金を受け取ることができます。月々の保険料は貯蓄性のないものより高くなりますが、満期になったときにはまとまった額の給付金が受け取れます。
加入時の年齢によっても異なりますが、満期が50~60歳に設定されている場合には子供の進学などと同じタイミングになる可能性があります。その際には進学のための資金としての使い道も考えられます。
- ソニー生命保険「保険をお考えのお客さま」(http://www.sonylife.co.jp/examine/lineup/list/endowment/index.html,2017年3月21日最終閲覧)
- オリックス生命「オリックス生命の医療保険 新CURE [キュア] お勧めポイント」(http://www.sophia-link.com/orix2/cure.html,2017年3月21日最終閲覧)
- ソニー生命保険「養老保険」(http://www.sonylife.co.jp/examine/lineup/list/endowment/index.html,2017年3月23日最終閲覧)
- かんぽ生命「養老保険」(http://www.jp-life.japanpost.jp/products/lineup/yoro/prd_lu_yr_index.html,2017年3月23日最終閲覧)
4.ジュニアNISAで金融商品を運用
「ジュニアNISA(ジュニアニーサ)」は2016年から始まった制度で、少額の投資に対してある条件により税金が非課税になるものです。
「NISA(ニーサ)」は年間120万円までの少額投資非課税制度であり、20歳未満の加入はできませんでした。このジュニアNISAはその名の通り、子供を契約者として加入ができるのです。
ジュニアNISAの特徴は、主に次のようなものとなります。
- 0~19歳の未成年が加入できる(日本在住)
- 18歳まで払出不可
- 金融機関の変更:不可能
- 取引主体者:親権者
- 非課税投資枠:年間80万円まで
- 非課税期間:最長5年間
- 制度期間:2023年(平成35年)まで
- 対象商品:上場株式、投資信託など(NISAと同じ)
税金が非課税になるということや、預貯金の金利では期待できない大きなリターンがありうることも魅力といえます。
しかし元本割れしてしまうリスクがあること、途中で引き出すとさかのぼって課税されてしまうことなど、デメリットもあります。途中解約の可能性などを十分に検討した上で運用しましょう。
- SBI証券「ジュニアNISA」(https://goo.gl/0Mlirr,2017年3月17日最終閲覧)
- 日本証券業協会「ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)に関するQ&A」(http://www.jsda.or.jp/sonaeru/oshirase/files/jr_nisa_qa.pdf,2017年3月17日最終閲覧)
5.貯めないという選択肢。教育一般貸付(国の教育ローン)
保険や投資などを使って資金の運用をしていく余裕がない…そうした方はあえて貯めずに、必要となったときに低金利の教育ローンを借りるという方法もあります。
借り入れに抵抗がある方も、国の教育ローンであれば安心できるのではないでしょうか。
- 幅広い世帯収入の方に対応している
- 国内・海外の高校、専門学校、大学などさまざまな学校に対応
- 入学金や授業料、交通費、住居費、教材(パソコン購入)費など多様な使い道
- 日本学生支援機構の奨学金と併用可能
- 固定金利1.81%という低金利、最長15年の返済期間
- 子供一人あたり350万円まで利用可能
対象となっているのは中学卒業以上の子供のため、家計が苦しく義務教育までが精一杯と感じている人には特におすすめします。また年収200万円以下の世帯収入の場合は優遇制度もあります。
なお使い道に関しては今後1年間に必要となる費用が対象となりますが、学生の国民年金保険料なども含まれます。その他の細かな規約については日本政策金融公庫のホームページをご覧ください。
ただし国の制度ではありますが借り入れには変わりなく、利子がつきます。
- 日本政策金融公庫「サービスのご案内」(https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/ippan.html,2017年3月17日最終閲覧)
- 日本政策金融公庫「サービスのご案内」(https://www.jfc.go.jp/n/finance/ippan/joken.html,2017年3月21日最終閲覧)
教育資金などの将来設計は、家族みんなで考えよう
子供が生まれるということは家族が増えるということ。当然、将来必要なお金は増えてきます。教育資金は子供の人生トータルで考えると大きな金額になるので驚いてしまいますよね。そんな将来の備えのためには、まず情報収集が重要となってきます。
学資保険に加入しているという方はいるでしょう。しかし「今入っている学資保険が一番良い選択肢だったのか?」「学資保険が満期になったときに資金は足りるだろうか?」と一度考えてみるのも良いかもしれません。
必要な金額や必要となるタイミングは、家族構成や年齢、進学先などライフプランによって異なります。教育資金をどの選択でどのように準備するかについては、家族で話し合い検討してみましょう。