「書道」と「習字」
これを読み始める前に、基本的な言葉の違いを知っていますか?
”書道”と”習字”は、同じかと思いがちですが、そこには大きな違いがあります。習字の先生や、書道家の方に「え?習字と書道って同じじゃないの?」なんて言おうもんなら怒られます。私は怒られました(笑)
どちらも字のごとくではありますが…。
”習字”は、文字を習うもので、お手本を完璧に真似ることが最終目標とされます。
”書道”は、書の道を極めるもので、最終目標は個性をいかに表現するかというところにあります。ですので、書道にはお手本がなく、自分の世界の中できわめていくものになります。
今回は子どもの習い事ということで、”習字”についてみていきたいと思います。
いいことたくさん!習字のメリット
水泳、ピアノ、幼児教室と多くの習い事がある中…習字に通わせるメリットって何だろう?
メリット1:字が上手になる
当然ながら、字が上手になります。
先にも挙げましたが、先生のお手本を見てひたすら真似る、正しく字を書くポイントを学ぶのが習字です。ひたすら手本を真似、ポイントを教わっているうちに必然的に美しい字が書けるようになります。
【体験談】
活発な娘が、少しでも落ち着き、集中力が養えるようにと、小1から。
今は小6ですが、字はすごく整っており、ササっと書いてもきれい。 出典: thankyoublog.info
メリット2:字の基本が分かるようになる
習字教室で、字を正しく書くポイントを教わっているうちに自然に身についてくるのが”字の作り”です。
へんとつくりのバランスや、かんむりのバランス、文字の形などなど。これらが分かると次第に、手本がなくても自分で考えて、バランスの整った字が書けるようになってきます。
さらに、一つ一つの文字のバランスだけではなく、文字と文字のバランスもわかるようになってくるので、単語や文章を書くときにも、全体のバランスを考えて書くことができるようになります。
他に、部首や書き順に詳しくなれます。
【体験談】
息子の漢字の読み書きが、とても上達したし
自分から進んで、筆順にも気をつけるようになった。 出典: thankyoublog.info
メリット3:集中力がつく
美しい字を書くというのは、話をしながらではできません。すると、必然的に習字教室ではみんなが無言の中で黙々と練習に取り組むということになります。
そしてその中で、筆の先まで神経を集中させるというのは、集中力を養うのにとても良い訓練になります。
【体験談】
初めは、私にすすめられて何となく通っていた娘が
習字を続けていくにつれ、字を書くことが大好きに。
続けることで、がまん強さや、努力の大切さを学んでくれている。 出典: thankyoublog.info
メリット4:正しい姿勢が身につく
美しい字を書くのに欠かせないのが、美しい姿勢。習字教室では基本的には、正座。
習字は全体のバランスも重要です。しかし猫背で字を書いていると、その時に書いている一文字しか視界に入らず、全体のバランスが崩れてしまいます。そのため、習字教室ではきちんと背筋を伸ばして、書いている文字(半紙など)全体を見るよう指導されます。
たとえ週に1回でも、1~2時間正しい姿勢を取り続けることで、美しい姿勢も自然と身についていきます。
メリット5:礼儀作法が身につく
どの習い事でも、あいさつなどの礼儀については指導してもらえるイメージがあるかと思います。しかし、習字教室ではさらに細かいことまで指導してもらえるところが多い印象があります。
例えば、教室に土足で上がることのない習字教室では、脱いだ靴をきちんと揃えるよう指導されることが多いです。また、正しい姿勢はもちろん、鉛筆の正しい持ち方。
他に、細かい道具がいろいろと必要な習字ならではの、道具の手入れの仕方、道具を大切に扱うことなども指導されることが多いようです。
【体験談】
行儀作法や、言葉使いなども、指導してもらえるため
息子が、家に帰ると、家族みんなの靴を揃えてくれるように。
習字教室に通い始めてから、これらが自然と身についてとても嬉しい。 出典: thankyoublog.info
メリットおまけ:月謝が安い
子どもに対するメリットではありませんが、子どもに習い事をと考えるパパ・ママには重要なポイントではないでしょうか。
他の習い事は月に5000円以上するものが多いのに対し、習字は月に2000~3000円程度が相場です。また、道具類も他の習い事に比べて安価で、しかも学校で使うので、習い事のために道具を買う必要はありません。
さらに、家での練習などもほとんど課せられないという点でも、親の負担の少ない習い事と言えます。
いつから始める?~体験談~
様々なメリットがあることが分かったところで、みんないつから通わせているのか気になるところ。実際の声を参考にみていきましょう♪
体験談1:やりたいと思ったときが楽しい
年長のとき、自分の意思で通いたいと言いました。
その頃ちょうど、文字を書くということにすごく興味を持っていたので、楽しかったです。
どの習い事もそうですが、やっぱり楽しみながら習った方が続きますし、身に付くように思います。
お子さんが「習いたい!」と言った時期であるとか、字を書くことに興味を持った頃に始めればよいのではないでしょうか。
ちなみに私は8歳の時引っ越しましたが、引っ越し先でも別の教室に通いました。
習い事はたくさんしましたが、習っていて良かったと思うお稽古ごとの一つです。
出典: komachi.yomiuri.co.jp
無理やりは禁物!?子供が自主的になるからこそ、色んなことを吸収するのですね。
体験談2:必然的に
私は小学1年生から始めました。
というか、1年生から長期休みに習字の宿題を出されるようになって、書道が達者な祖父(時々父も)が指導にあたるようになった…という話。
けっこうなスパルタでした…休み中ほぼ毎日2、3時間はやってました。
それに加えて、町の習字塾に週1で通わされ…おかげで宿題がなくなる中3まで、書道展の最優秀賞を総ナメにしてました。まぁ、親譲りなせいもあるでしょうが。
自由に遊べないことが子ども心に辛くて、ほとんどイヤイヤやってましたが、いざやめてみると、続けてれば良かったなぁと思います。年々ウデが鈍っていくのが哀しくて…やっぱり習い事って継続が大事ですね。
出典: komachi.yomiuri.co.jp
継続は力なり。お子さんが長く続けられるように、そっとサポートするのも親の役目ですね。
体験談3:友達と
最後は私自身の話を紹介したいと思います。
仲の良かった友達が通っていたので、通い始めました。学校でみんなと同じ習字道具を買った記憶がなく、なんとも個性的な習字道具を持っていたので、学校で授業がない時期、おそらく小学校2年生あたりから習い始めたと思います。
高校3年生の1年間受験勉強のためにお休みし、大学を卒業し、就職で地元を離れるまで通っていました。やって良かったの一言に尽きます!
私の周りは習字に通うことが当たり前のような感じだったので、学校の競書会で毎回入賞というのはなかなか難しかったのですが、大人になった今でも字はとにかく褒められます。
履歴書も美しく仕上がりますし、就職してからもちょっとしたメモ書きですら褒めてもらえました。またお店でのサイン(ポイントカードを作ったりする時など)や、病院での問診票などの記入でも声を掛けていただけたりします。
芳名帳や祝儀袋を書く際にも役立っています。
習い事は何でもそうですが、続けることが重要です。
そのためには本人のやる気が大切です。やる気を出させるためにも、本人が習字に興味を持ち「やりたい」と言った時に始めるのが一番ではないでしょうか?
2つめの体験談にもありますが、無理矢理始めるとイヤイヤ続けることになりかねません。また別の意見として、小学校3年生で学校の授業が始まってからでも遅くないという意見もあります。
早くから始めることで、字や道具に親しみを持てたり、集中力が養えたりとメリットはあります。しかし本分である、字を美しくするという点に関しては、必ずしも早くから始めることで上達が早いというわけではないようです。
大人になって役立つ「美しい字」
大人になって思うことは「字がきれいだと得をすることが多い」ということ。というよりも「字が汚いと損だ」ということ。
就職をして出会った職場の先輩たちの、字が汚いこと。どれだけ仕事ができる人でも、字が汚いと幼稚な印象を受けます。そして字が美しい人は、第一印象が良く、そのあとの仕事も円滑に進む気がします。
さらに自分が親になった今、字が汚かったら子どもに恥ずかしいだろうなと思います。
習字は、子どもの習い事の中でもダントツで”大人になってから役に立つ”習い事だと思います。
パソコンや携帯電話、スマートフォンが主流となった今、字を書く機会は少なく、必要を感じないパパ・ママも多いかもしれません。でも、字も書く機会が減った今だからこそ、美しい字は目を引き、その子の大きな強みになるのではないでしょうか?
多くのメリットがある習字教室、習い事を考えた時にはぜひ候補の1つに入れてみては?