生理で起こるPMS(月経前症候群)とは
生理で起きるPMS(月経前症候群)とは、生理が始まる3~10日前から心と体に現れる不快な症状のこと。生理が始まると症状がすっかりなくなることが特徴ですが、中には排卵痛や月経困難症と合わさって、排卵から生理中までずっと不調に悩まされる方も…。
生理がある女性の2~10%で発症すると言われているので、症状の重さに差があっても、女性であれば誰でもなる可能性があるのがPMS。PMSのチェックや治し方を確認する前に、まずはなぜPMSが起きるのか、次の項目で原因について見ていきましょう。
- 藤東クリニック「月経前症候群」(https://fujito.clinic/pms/,2021年9月14日最終閲覧)
- 日本産婦人科学会「月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)」(http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=13,2021年9月14日最終閲覧)
PMSが起きる原因
PMSはなぜ起きるのか、実ははっきりとした原因はわかっていませんが、排卵に伴い、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの分泌量が急激に変動して、ホルモンや神経伝達物質に異常が引き起こされることが原因といわれています。
PMSの原因はまだはっきりと解明されていませんが、ストレスによってPMSの発症の確率が3.7倍に高まることを示した研究結果もあります。
- 公益社団法人日本産科婦人科学会「月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)」(http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=13,2021年9月14日最終閲覧)
- 心身医学「若年女性の月経前症状とストレス緩和要因や月経へのイメージおよびコーピングとの関連」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/53/8/53_KJ00008760652/_pdf,2021年9月14日最終閲覧)
PMSの主な症状とセルフチェック
原因がよくわからないPMSですが、症状は次のように共通していることが挙げられます。下記の症状のうちどれかが、過去3回の生理で起こっていて、生理前5日間~生理開始後4日以内に消失するのがPMSの目安となります。
体の症状
- お腹や乳房が張った感じがする
- 肩こりや頭痛がひどくなる
- むくみやすくなる
- 体重が増える
- 便秘ぎみになる
- めまいや頭痛が起きやすくなる
- 肌が荒れやすくなる
心の症状
- 無性にイライラして怒りっぽくなる
- 落ち込みやすくなる
- わけもなく不安になる
- 普段気にならない些細なことが引っかかる
- 気力がなくなる
- 集中できなくなる
体の症状だけでもつらいですが、無性にイライラしてパパや子どもにあたってしまうことに悩んでいる方も少なくありません。生理とともに訪れるので、1か月に1回は症状を感じるのがPMSのつらいところですよね。
- 公益社団法人 日本産科婦人科学会「月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)」(http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=13,2021年9月14日最終閲覧)
- 昭和学士会誌「PMS,PMDDの診断と治療」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshowaunivsoc/77/4/77_360/_pdf/-char/ja,2021年9月14日最終閲覧)
PMSの相談はどこにすれば良い?
もしPMSチェックに当てはまったら、症状の治し方を知りたいと思われることでしょう。PMSの相談をするには、婦人科を受診してください。もしすでにかかりつけのメンタルクリニックがあるならば、そちらで一度相談するのも良いでしょう。
婦人科やレディースクリニックではPMSの治療を受け付けているほか、「PMS外来」という専門の診療窓口を設けているところもあります。PMSの相談をした後はそのまま治療に進めますので、まずは婦人科を受診しましょう。
- メンタルクリニックいたばし「女性特有のうつ病」(https://www.mental-clinic.net/female-depression,2021年9月14日最終閲覧)
- ベスリクリニック「生理前のココロの不調専門外来~PMS/PMDD外来~」(https://besli.jp/womens-life-design.html,2021年9月14日最終閲覧)
PMSの治療方法
PMSの相談ができる婦人科では治療も行っていますが、原因がはっきりしないPMSをどのように治療するのでしょうか?PMSの治し方は、薬を使わない方法と薬を使う方法の主に2種類があります。
薬を使わないPMSの治し方
薬を使わないPMSの治し方では、ご自身の症状を把握して対処していきます。
まずは生理前から現れる症状を日記に書き留めて、ご自身がどのような症状を抱えているのか把握することから始めましょう。症状が悪化する時期がわかれば、あまり無理をしないようにしたり、リラックスタイムを意識的に取ったりと、対処できるようになりますね。
また、食事へのアドバイスが行われることもあります。カルシウム・マグネシウム・鉄分を摂取するようにし、アルコールやカフェイン、タバコなどは控えましょう。
血糖値の変動を安定させることも重要なので、砂糖が含まれているものを控えたり、食事を一定時間にとるようにしたり、高タンパク&低糖質な食事を心がけましょう。
薬を使わないPMSの治し方は、婦人科を受診しなくても実践していけるものばかりです。もちろん、医師に相談したうえで実践したほうが効果的でしょうが、この記事を読んでいただいた今日からでも実践できますよ。
薬を使うPMSの治し方
薬を使うPMSの治し方では、主に次の5種類の治療薬が用いられます。
- 排卵を止める薬:低用量ピル、超低用量ピル、黄体ホルモン単剤など
- 身体的な痛みを軽減させる薬:鎮痛剤
- むくみを解消する薬:利尿剤
- 精神症状への薬:精神安定剤、選択的セロトニン再取り込み阻害薬など
- それぞれの症状を緩和する薬:漢方薬
PMSは生理で女性ホルモンの分泌量が変化することで起きると考えられているので、低用量ピルなどで排卵をストップさせて、女性ホルモンの変化をなくすことが治療の基本です。
そして、身体的なPMSの症状を緩和させる鎮痛剤や利尿剤、精神状態を落ち着かせる精神安定剤などを併用し、症状への対処を行います。また、漢方薬で体質の改善を行う婦人科もあるでしょう。
薬を使うPMSは症状緩和にダイレクトに作用するので、「今つらい症状をなんとかしたい」という場合にも頼れる治し方ですね。
市販薬でのPMSの治し方について
婦人科を受診せず、市販薬でPMSを改善していきたいという方もいらっしゃるかもしれませんね。最近はPMSに効果的だとされる市販薬も販売されています。
PMSの市販薬は医薬成分ではなく、ハーブや生薬など自然由来の成分で作られたもの。植物の作用でPMSの症状を緩和することが目的の薬です。
症状日記などをつけながら、ご自身でPMSを改善していきたいと考えられているなら、市販薬を服用してみても良いでしょう。ただし、「要指導医薬品」に該当する市販薬もあるので、薬剤師からの指導を受けて服用してくださいね。
- ゼリア新薬「プレフェミン 服用にあたって知っておきたいこと。」(https://prefemin.jp/,2021年9月14日最終閲覧)
- 小林製薬「「命の母ホワイト」 に関するQ&A」(https://www.kobayashi.co.jp/cgi-bin2/qa/detail.pl?goods=696&id=43,2021年9月14日最終閲覧)
- 日本産科婦人科学会「月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)」(http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=13,2021年9月14日最終閲覧)
PMSについての体験談
最近では一般的になった「PMS」という症状。ママリの投稿の中にも、つらい症状に悩んでいる方がたくさんいらっしゃいました。
皆さんはどのような症状を経験し、どのようにPMSを乗り切っているのか、体験談から参考になる情報を紹介していきます。
体より心の症状を感じる方が多数
PMSには体の症状もありますが、「生理前からイライラする」など心の症状を感じている方がいるようでした。
体の症状は自分だけのつらさですが、PMSでパパや子どもにも怖い思いをさせてしまうと、生理後に罪悪感を抱いてしまいますよね。そのせいか、精神的な症状に悩んでいる方は婦人科での治療を考えることが少なくないようです。
婦人科での治療効果は?症状は軽くなる?
PMSの症状は婦人科で治療できますが、その効果について気になる方もいると思います。どのくらいで効果が現れ、症状はどのように改善するのでしょうか?
⑴ピル
勇気を出して婦人科に行ってみました。ルナベルLD(日本新薬・富士製薬)を1日1錠飲んでいます。これで本当にラクになりました💕
(2)漢方
ドラッグストアで売っているKracie(クラシエ)の桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を以前飲んでいました。かなり楽になります。朝起きて1錠(箱には1回に2錠と書いてありましたが、わたしは体が小さめなので控えめに1回1錠ずつ飲んでいました。それでも充分効きましたよ)、昼食後に1錠、夜ご飯の後に1錠、という風に食後に1錠ずつ飲むのがわたしにはピッタリでした💕

受けられている治療法はさまざまなようですが、いずれの方も高い効果を実感されているようですね。ピルは即効性がありますが、服用をやめて生理が再開されるとまた症状が現れる可能性も。
漢方薬はその人にあった処方で体質を改善する効果が高いので、即効性はないものの、飲み続けるとPMSの症状が現れにくい体質になれるかもしれませんね。
婦人科では医師と相談したうえで、あなたにとって最善の治療を提案してくれるはずです。生理がつらい、PMSがひどいと感じたら、まずは婦人科に相談されることをおすすめします。
生理によるPMS、がまんしないで
生理前からイライラする、熱っぽいなどつらい症状が続くPMS。PMSチェックに当てはまり、毎月その症状に悩んでいる方は、婦人科を受診して治療を始めることも検討してみてください。
PMSの治し方には薬を使わない治療法もあります。市販薬を服用するのも一つの方法ですが、もっと効率的に改善を目指すなら、婦人科に相談してあなたにあった治療法を見つけるのが一番だと思いますよ。