Ⓒママリ
「反省しました」まさかのメッセージにびっくり
義父の古希祝い後に届いたメッセージは、明子さんからだった。
開くのは気が重かったけれど、勇気を出して開封する。
すると、明子さんにしては珍しく、落ち着いた口調の長文が届いていた。
「沙希ちゃん、この間はひどいことを言ってごめんなさい。
あれから頭を冷やして、自分が自己中心的だったと反省しました。」
反省の一文を読んで、私はとても驚いた。
明子さんがそんな気持ちでいるとは思っていなかったから…。
「昨日は行こうと思ったんだけど、本当に体調を崩してしまって…。
義実家に行った旦那からも、親戚中で私の話で持ち切りだったと聞きました。
仕方ないと思います。
そんな中、沙希ちゃんだけは私を悪く言わなかったと聞きました。
本当に、ごめんなさい。
今回のことで、みんなに助けられて子育てしていると改めて気づきました。
体調が回復したら、お義母さんにもしっかり謝ろうと思います」
一体何があったのかというほど、急な展開で驚いた。
義母と夫の兄嫁、お互いに反省して関係は改善へ
驚いて太一に話してみると、古希祝いの場で義兄からもいろいろな話を聞いたという。
あの騒動後、義兄に同じ愚痴をぶつけたものの味方されなかった明子さんは
仲がいいママ友にも愚痴を言ったそうだ。
そこで、いつもは義母の愚痴で盛り上がるママ友にも「ちょっと虫が良すぎるかも」と意見され、我に返ったらしい。
距離感が近い親族よりも、第三者的な視点のあるママ友の意見が響くというのはわかる気がした。
私は「大丈夫ですよ、お大事に」とだけ返信し、このお話は終わりにすることにした。
翌週、義母からメッセージで「明子さんと仲直りできました」と嬉しそうなメッセージが届いた。
メッセージには、ダイちゃんを抱く義母の写真が添付されていた。
おそらく明子さんが撮影したものだろう。
義母:「沙希ちゃんも妊娠中は大変でしょうから、もっと私を頼ってね。
口出ししすぎないように、今度は気を付けると心に決めました」
義母はこう言ってくれた。
お互いに自分の言動を省みている明子さんと義母は、きっとこれからうまくやれると思う。
しばらくして、ダイちゃんの3歳を祝うお誕生日会があり、義実家に集まった。
久しぶりに明子さんと再会するのはドキドキしたが、その不安感はすぐに払しょくされた。
明子:「沙希ちゃん、こんにちは」
久しぶりに見た明子さんは、かつて見た太陽のような笑顔を取り戻していた。
義実家に早めにきていたらしく、一生懸命にお祝い用の料理を作っていた。
沙希:「こんにちは。明子さん。ダイちゃんおめでとうございます。
手伝いますね!」
となりに立った私に明子さんが笑顔を向けた。
心地よい空気感の中、お祝いの日を楽しく過ごすことができた。
その日、私は義母と明子さんに、おなかの子が女の子であることを報告した。
明子さんは妊娠も初めて知り、とても驚きつつ祝福してくれた。
義実家の家系で女の子が生まれるのは、実に90年ぶりだそうだ。
「楽しみねえ、お洋服はどんなのがいいかしら?
ピアノやバレエも習うのかしら?
ランドセルは、今は赤ばかりじゃないのよね?」
興奮気味の義母に、明子さんが笑いながら
「沙希ちゃんが決めるんですからね」
と釘をさし、義母は
「あらやだ、またやっちゃったわ」
と笑っていた。
義母宅の居間には、嫁たちの笑い声が響く。
ここに娘の声も混じるのが、楽しみになった。
――fin――
嫁と義母、付き合い方について考えさせられる作品
この作品では、主人公の沙希と兄嫁である明子の交流が描かれます。お互いに嫁という立場で義母とそれぞれ向き合っていますが、明子は義母との付き合いに不満を抱くようになります。
義母からの口出しへの不快感を強める明子ですが、一方で初孫フィーバー中の義母から多くの援助をしてもらっていました。中には明子の方からねだって援助を得ていることも。話を聞く中で明子の立場に共感しつつも、どこか虫の良さを感じる沙希。違和感はふくらみ、ある日の会話では関係性に亀裂が入るような言い争いをしてしまいました。
本作で考えさせられるのは、嫁と義母という関係の中での付き合い方。まず大切なのは、双方の立場を理解すること。そして、明子と義母のすれ違いからは、お互いに期待しすぎず適度な距離感を持つことが大事だと気づかされます。双方に共感しつつ、自分の親族付き合いも見直したくなる作品です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています