入園したばかりの保育園で、夫の昇進と上場企業勤務を自慢する「マウントママ」こと沙織に目をつけられてしまう。主人公の真由美は、自身が課長、夫が部長という立場を隠し、静観を決め込む。
波風立てずにいたい、私の二つの顔
「ふぅ。この春からのお迎えラッシュ、なかなか慣れないわね」
私は次男の空(そら)の手を引きながら、保育園の入り口をくぐった。私の名前は真由美。都内の上場企業に勤め、現在は課長の役職にある。夫の啓太(けいた)はさらに上の部長職。私たち夫婦の仕事のことは、周りのママたちには一切話していない。
波風立てずに、平穏に子育てと仕事を両立したいのが本音だ。
「課長補佐」昇進の優越感
入園してすぐ、私は一人のママさんに目をつけられた。その名も沙織(さおり)さん。彼女は会うたびに、夫の勤務先や収入の話をさりげなく、いや、あからさまに織り交ぜてくる。
「ねえ、真由美さんのご主人、お仕事は何をされているの?うちはね、とある上場企業なのよ」
彼女はそう言って、私を値踏みするような視線を送ってくる。最近は特にマウントが激しくなった。どうやら、この春にご主人が昇進されたらしい。
「聞いてくれる?うちの主人、ついに課長補佐に昇進したの。あんまり偉くなっても帰りが遅くなって困るんだけど、まあお金の面は助かるわよねえ」
彼女の顔には、隠しきれない優越感が貼り付いている。私は
「まぁ、それはおめでとうございます」
と、当たり障りのない相槌を打つのが精一杯だった。
「やっぱり、安心できる環境って大切よねえ」
「まあ、だれもがそんな環境じゃないだろうし、そういう方々こそ『頑張ってる』んでしょうけど」
まるで上場企業でない企業に勤める人たちを下に見るような言い方にモヤモヤしつつも、私は適当にかわすので精一杯だった。内心、とても面倒に感じていたのだけど―――。
🔴【次の話を読む】「貧乏は大変ね」マウントママに馬鹿にされ→沈黙の裏に“特大カウンターの事実”|マウント女王の誤算
目をつけられた「沙織さん」という名の人
主人公の真由美は、自身と夫が働く上場企業で、夫が昇進したと自慢してくるマウントママの沙織に遭遇します。沙織は夫の「課長補佐」への昇進を誇らしげに語りますが、真由美はすでに課長、夫は部長という、皮肉な状況を静観することを選びます。
家庭によって状況も事情も異なるからこそ、自分のことについてペラペラと話しすぎないのも処世術の一つといえそうですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










