その日の夜、地元の親友である真奈美から、突然、電話がかかってきました。
「優香…今、ちょっといい?……あのさ、これ、見まちがいだったらいいんだけど」
真奈美の声は、いつになく緊張していました。
送られてきたスクリーンショットを見て、私の心臓はいやな音を立てて跳ね上がりました。
マッチングアプリの画面。
そこには、見覚えのある……いや、見まちがえるはずのない、夫の自撮り写真がありました。
名前は「タツ」。年齢は「30歳」。 自己紹介文にはこう書かれていました。
「仕事が忙しくて、なかなか出会いがありません!今は一人暮らしで、自由な時間が多いので、たのしくお話しできる方、まずはランチから始めませんか?」
「……ウソでしょ」
手がふるえました。
一人暮らし?出会いがない? つい数時間前まで、「優香がいなくて家が広いよ、早く会いたいな」なんて、甘いメッセージを送ってきた男が…うらで「恋人募集」をしていたなんて。 ※1
親友からの連絡で、夫の裏の顔が発覚
主人公・優香と夫は、自他共に認める仲良し夫婦。今は、出産に備えて実家に里帰りしています。そんな中、親友・真奈美から信じられない連絡が入ります。愛妻家の夫が、妻の妊娠中にマッチングアプリに登録し、恋人募集していたなんて…。
優香は「徹底的に証拠をつかむ」と決め、真奈美とともに作戦を立てます。そしてさっそく、真奈美からメッセージを送信。すると、わずか5分後には返信が届きます…。
独身を偽装した夫
スマホをのぞき込んでいた私は、思わず鼻で笑ってしまいました。
「"ずっと一人"だって。昨日、私が送ったエコー写真に、パパだよ〜って返信したのはだれよ」
「達也さん、演技派だね。どんどんボロを出させよう」
真奈美(ミキ)はさらにたたみ掛けます。
「お仕事お忙しいんですか?彼女さんとか、いらっしゃらないんですか?」
これに対する達也の答えは、私の理性を粉々に砕くものでした。
「彼女はいませんよ。もう半年くらいフリーかな。仕事ばかりの毎日だったので、そろそろ癒やしがほしいなと思って登録しました。ミキさんとゆっくりお話ししてみたいです」
(はあ?半年フリー?)
私たちは結婚して3年、一度も別れたことなんてありません。
「優香、これ見て。もうアウトをとおりこして場外ホームランだよ」
真奈美があきれたように言いました。私は冷徹な声で返しました。
「もっとしゃべらせて。彼の"浮気の定義"を聞き出してほしいの」
真奈美はうなずき、巧みに誘導します。
「実は、前の彼氏に浮気されちゃって…タツさんは、どこからが浮気だと思いますか?」 ※2
独身と偽り、さらには「半年フリー」と、とんでもないメッセージが返ってきました。これからパパになる人とは思えない、呆れた裏の顔です。
しゃべればしゃべるほど、ボロが出る夫。さらに、畳みかけます…。
誠実なフリ?「名言」が届く
少しの沈黙の後、達也から「名言」が届きました。
「浮気?それはもう、パートナーにかくれて連絡を取る時点でアウトでしょ」
「はあ?」と、思わず、声がもれてしまいました。
「電話なんて、もってのほかですよ。ぼくは一途なタイプなので、もしミキさんとお付き合いできたら、そんな悲しい思いはさせません」
「……へえ。連絡取る時点で浮気、ね。よく言ったわね、達也さん」
私はその画面をしっかりと記録しました。
彼は、自分を窮地に追いやる証拠を、こうして次々に残してくれました。 ※3
「連絡を取る時点でアウト」なら、達也はとっくにNGですね。自ら証拠をどんどん出してくれる夫。まさか、妻とその親友が相手だなんて夢にも思っていないようです。
ここから、妻・優香の復讐劇が始まります。真奈美とともに追い詰め、自分のしたことの愚かさをしっかりとわからせます。優香は、生まれてくる子どものために離婚は選びませんでしたが、それは決して許したからではありません。
妻として、母として、そしてひとりの女性として、夫にきっちりと制裁をくわえた主人公を応援したくなる作品です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










