「自分たちの力でマイホーム」の実現に向けて
私たち夫婦の実家はどちらも西日本。我が家は共働きで、どちらも全国転勤ありの仕事でした。結婚して念願の第一子も誕生。
毎月のように子連れで旅行している節約知らずな私たちを見て、親たちは「マイホームは無理だ」と思っていたようです。
さらに、できれば自分たちの近所に引っ越してきてほしい!とも考えていたようでしたが、夫も私も転勤のある身なので、そこは半ばあきらめていた様子。
さて、親の懸念を知らない私たち夫婦に好機が訪れました。
夫から相談された「転職」を機に家探し開始
夫は大手企業に勤続7年。夫の勤め先は親会社の業績不振により、年々お給料が下がり、ボーナスも下がり、一時期年収500万以上あった夫の収入も年収400万円以下に…。
そんな時に夫から「会社を辞めたい」と相談されました。夫から初めて相談を受けてから2年目の冬に転職先が決まり、夫はその年度末の3月いっぱいで会社を辞め、4月頭から転職することが決まりました。
借り上げ社宅から戸建て購入へ
- 当時の我が家は都内のアパートを借り上げ社宅(会社名義)にて契約中。
- 家賃は大家さんのご厚意で駐車2台分無料で14万円。
- 会社から家賃補助が出るので、家賃の自己負担は8万3千円。
- 夫は勤続8年目、私は育児休業中で無給、息子は1歳1か月。
- 夫の手取り約22~23万のみで生活していくには、家賃は8万円台が限界。
借り上げ社宅なので年度内に退去するか?補助なしの14万円で賃貸契約を結びなおすか?私たちには選択の時期が迫られていました。
当時住んでいたアパートはメゾネットタイプで70㎡もあり、リビングの外にはバルコニー付き、2階にはベランダもあり、親子3人には十分すぎるほどの設備でした。それでも、同じ自己負担の8万円台で部屋を探すと、古いところや1Kの狭い部屋、そして駅から遠いところしかなく、賃貸で良い物件が見つかりませんでした。
そんな中、冗談半分で見に行った住宅展示場には、私たちの理想の家がたくさん詰まっていました。
住宅展示場で突き付けられた現実
住宅展示場で各ハウスメーカーを回っていると必ず聞かれること。それは、「土地はお持ちですか?」でした。
当時30歳の夫と29歳の私、都内に家を買える顧客かどうか確かめたかったんだと思います。もちろん土地は持っていませんし、私たちが住んでいたあたりだと90㎡の土地だけで3000万ほど。
3,000万を35年ローンで借りると、それだけで月々8万円以上の支払いになるので、そこに家のお金も2,000万ほどかかると、いまより何万円も支払いが増え、生活が苦しくなります。
無理してまで家は望めないと考える私たちに、各ハウスメーカーの人は「ペアローンならあなた方ご夫婦の場合、5,000万円以上の借入が可能です」と勧めてきます。
5,000万借入すると、月々の返済は13万。当時私が育休中でお給料がなく、夫の手取りが20~25万だった我が家には到底無理な金額でした。
諦めきれなかった一戸建ての夢
住宅展示場から帰っても諦めきれなかった私たちは、たまたま「抽選で1名希望の建売住宅を半額にします」というWEBのイベントを見つけました。
早速、通える範囲内で探すと4,000万円ほどで購入できる家がいくつかありましたが、半額という言葉に魅せられて、駅から少し離れているけれど、十分な広さの庭があり、日当たりも良い5,000万円ほどの家を選んで応募しました。
夫とは「半額の2,500万円なら今の家賃(自己負担)より安いね!」と浮かれていました!結果はもちろん落選、我が家に幸運の女神がほほ笑むことはなく、戸建ての夢がまた遠のきました。
建売という選択肢
しかし、そこで考えました。「建売なら土地込みの価格だし、探せば3,000万円台で私たちが買える家があるんじゃないか?」
すぐに大手の戸建て情報サイトで探すと、いくつか3,000万円台の家が見つかりました。
複数の物件に問い合わせをしたところ、夜にも関わらず問い合わせ直後に不動産会社から折り返しの電話が来て、早速週末に物件を見学しに行くことになりました。
見学で知った建売のデメリット
土日2日間で約10件ほどの物件を紹介してもらった私たち。建売物件の様々なデメリットが見えてきました。
建売のデメリット
- 設備が安っぽく、キッチンやお風呂などいかにも必要最低限の設備に見える。
- 狭い。駐車場も狭く、リビングの広さや各部屋のサイズも希望するものがなかなかない。
- 隣近所に同じ柄の家が並んでいてオリジナリティがない。
- 網戸や雨戸、カーテンレールがなく、購入後にお金がかかりそう。
- もう建っているので基礎工事や使用された柱・断熱材のグレードがわからない。
安い物件は決め手に欠ける理由がある
建売の価格は確かに安い!一番安いところだと最寄り駅まで徒歩15分ほど歩くけれど、3,080万円で小庭付きの3LDKがありましたが、設備が安っぽく、家の前が墓地。
リビングからも2階のどの部屋からも墓地が見えます。価格は魅力的でも、なんとなく住む気になれず断念しました。
良いと思った3,880万円の家
物件の見学件数が20を過ぎたころ、夫婦で気に入る物件を紹介されました。
- 水回りは最新のトップグレード!
- クロスは質の良い限定もの。珍しい柄で見た目がおしゃれ。
- フローリングはコーティングクッションタイプでワックス不要。
- 基礎工事の写真や記録を見学者が確認できるほどの自信の地盤対策。
- どのドアもソフトクローズで、クローゼットの扉は指を挟まない半月状で小さな子供がいても安心。
- 保育園・幼稚園・小学校・中学校まで徒歩5分以内。
- 都心まで20~30分の最寄駅までは家から徒歩1分。
- スーパーまでは徒歩10分以内。徒歩圏内に公園も多く、周辺環境は申し分なし。
- 3LDK+小屋裏収納で各部屋が広く、部屋が活用しやすい。
ただ、デメリットもありました。
- 駐車が1台のみ。
- 日当たりが悪く、1階部分はあまり日が入らない。
- 庭が小さい。そして駅前なので庭が丸見え。
- 物件価格が予算オーバー。このままでは月々の返済が10万円を超えてしまう。
デメリットを妥協できないか?
そこで、デメリットの打開策はないか、妥協できるところはないか考えました。この時点でかなりこの物件の購入に傾いてますね。
建売の中でも唯一気に入ったこの物件にどうしても住みたくて、夫婦でたくさん相談しました。
駐車場の問題をクリアにする
我が家には当時車が2台ありました。1台は夫が趣味で乗っていた4人乗りの外車、もう1台は子供が生まれてから買った軽自動車です。
この2台をどちらか売るということも考えましたが、そもそも軽自動車をメインで使っていて、チャイルドシートがあるとどうしても荷物があまり積めず、実家のある西日本まで車で帰るのは無理があった為、あっさり買い替えることになりました。
2台とも売って、ワンボックスカーを購入することにしました。その結果、2台に支払っていたローンが1台になり、月々の返済はかなり安く、維持費も約半分に減りました。
2台から1台になっても、今までより駅に近くなった為、車の出番が減り、とても良い選択でした。
日当たりの問題をクリアにする
子供のいる家庭なら、日当たりの良さを重視したいですよね?我が家もそうでした。子供が過ごすリビングは日の当たるところが良いと思っていたので、2階しか日当たりの良くないこの家は論外のはずでした。
が、間取りを見ると2階は8畳が2室と6畳が1室に小屋裏まである。子供は日当たりの良い2階の部屋で過ごすことに決めました。
住んでみてから気づきましたが、私も夫も日中は仕事、子供は保育園なので、日当たりはあまり関係ありませんでした…。
庭が小さいという問題をクリアにする
憧れだった庭付き一戸建ての夢は夫の一言で、あっさり諦められました。
「誰が手入れするの?」
そう、我が家は共働きで土日は基本的に外出か旅行をする家庭です。そして夫婦ともにマメではありません。
バーベキューや子供プールができるかどうかの小さな庭ですが、バーベキューもプールも、後片付けの手間を考えたら、近所の大規模公園のバーベキューコーナーでやったり地域センターのプールに行ったりする方がコストパフォーマンスも良く楽だと気づきました。
残るは価格!建売住宅の値下げ
私も素人ながら、20戸ほどの物件を紹介される中で、価格交渉について考えていました。というのも、仲介業者の方の口から「この物件は200万円は下がりますよ」などという言葉が出てきていたからです。
では私たちの気に入った駅近物件は、果たしていくら下がるのか?
実は、私たちが紹介されたのが年末で、年が明けると価格改定があり、3,680万まで下がりました。建売では一定期間売れないとよくあることらしく、完成から2ヶ月経っていたので、あっさり下がったようです。
その週末に再度見に行ったけれど、やっぱり価格が決め手に欠けて悩んでいると、翌週、「再度価格が下がりました!」との連絡で、なんと3,480万円まで下がっていました。
夫と「これならもう少し下がるんじゃないか?」と半ばゲームのような感覚で値下げを要求したところ、仲介業者の方が頑張ってくれて、「もうこれが限界だそうで、ここからは10万円も下げられないそうです!」と売り出し価格から600万円引きの3,280万円で提示されました。
購入を決定!そこから更に…
頑張ってくれた仲介業者さんにお礼を言い、「3,080万なら今月中に契約します」と最後の価格交渉をしたところ、確認前に「おそらく無理だと思います」とのこと。
もちろん期待はしていませんが、夫婦ともに「ダメ元で値切り交渉はする」という性格です。言うのはタダなので、押せ押せで行きますが、3,280万なら諸費用込で3,400万強。
頭金を100万ほど入れれば、月々の返済はぎりぎり8万円台。我が家にも手が届きます!
数日後、仲介業者さんから電話があり、「申し訳ありません、3,180万円が限界でした。当社で頂く仲介手数料を無料にしますので、なんとか契約してもらえませんか?」とのこと。
仲介手数料(100万円強)も無料になったので頭金50万円入れることにしました。そして、購入することを伝え、契約前の最後の内覧に行きました。
契約日が迫る中での内覧
購入すると決めてからの内覧はそれまでとは違いました。
息子を床で遊ばせ、夫婦で脚立を使い、上がれるところはすべて上がり、もぐれるところはもぐり、見える範囲内でチェックしたところ、いくつか不満も出てきました。
- 点検口が少ない(屋根裏と洗面所の床下しかない)。
- 床下に点検口があるのに、床下収納がない。
- クロスが珍しい柄なので、傷んだ時用に予備が欲しい。
- 全室にLANケーブルを通したいので、配管が欲しい。
売主さんと仲介業者さんのご厚意に甘えて、すべて契約日までにサポートしてもらいました。
東京に新築一戸建て。周りの反応は?
帰省して、東京に戸建てを購入したいと夫のご両親に相談したところ、「あなたたち夫婦には無理だ。戸建てが購入できるのは計画的に貯蓄できる人じゃないといけない」と反対されました。とは言ってもすでに購入を決定して契約日まで残りわずかな私たち。
もちろん、親からの援助があるわけでもありませんし、結婚式も初孫にもお金はかけてもらわなかったので、好きにするつもりでしたが、短気な夫と短気なご両親、なんとか円満におさめたいというのが本音でした。
そこで、夫が席を外している間に、私から説明しました。
親の理解を得る
夫のご両親に戸建てにすることのメリットを話しました。嫌われ役は嫁がする方が良いだろうと思い、意を決して臨みました。
- 月々の支払は85,000円で、今の自己負担と変わらずに住めること。
- 住宅ローン減税で毎年13万円ほど控除される為、その分を固定資産税に充ててもプラスになること。
- 共働きなので、今は無給でも復帰すれば、私が経済面で支えていけること。
- 子供には上下左右を気にせずに、家の中で走り回って暮らせるような環境になること。
親の理解を得て、契約へ
夫が戻ってくるころには夫のご両親からの批判タイムも終わり、渋々納得してくれました。私の親は「お金の面でサポートできないけど、それで大丈夫なら…」と賛成してくれて、反対する人がいなくなったことで、無事に購入することができました。
契約の翌月末で夫は8年勤めた会社を退職し、転勤のない新しい仕事に就きました。
夫の手取り約20~25万でも十分生活はできますが、私が仕事に復帰して稼いだお金のうち、保育料と旅行代を除いたものを貯めて、その一部を繰り上げ返済に充てているので、住んでから2年で35年ローンは33年まで縮まりました。
家族も周りも気に入ってくれる最高のマイホームをGET
どちらの親にも自宅を披露して、良い家だと言ってくれます。駅から近い家は通勤にも便利で、息子がにぎやかに走り回っていても、ストレスを抱えることなく生活できています。
みなさんも、一生に一度の大きな買い物ですから、たくさん悩んで、素敵なマイホームの夢を実現してくださいね!