「ママ友がこわい」って知っていますか?
主婦でイラストレーターの野原広子さんの「ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望」というコミックエッセイをご存知ですか?表紙の挿絵でも、3人のママ友の輪から抜けて子供と手を繋いで一緒に歩いているママの表情が何とも意味深げですよね。
実は今、YOMIURI ONLINE内の「大手小町」にある投稿コーナーの発言小町のトピックに取り上げられたことで、多くのママ達から注目を集めているんですよ。
ママ友がこわい
夫と子供の3人で郊外に暮らすサキは、ママ友のリエとは何でも話せる関係でしたが、突然あることが理由でハブられてしまい…。ママであることは本来楽しくて幸せなはずなのに、何故か孤独で不安でしんどい状態に。
子育て中のママ達がそれぞれに抱えている問題を絶妙な切り口で描かれています。突然起こりうるママ友トラブルの現実を知ることができる貴重なコミックエッセイです。
穏やかで幸せに過ごしていたはずの幼稚園ママが、親友だと思っていたママ友の心境の変化で穏やかな毎日が崩れ去っていくという内容で、子育て中のママ達にとっては興味深いテーマになっています。
「仲良しだったママ友から急に無視されるようになってしまった…」という帯の言葉を見ただけでも、「もしかして明日は我が身かもしれない」と思ったママ達もいらっしゃるかもしれません。今現在、幼稚園や保育園に子供が通っているママはもちろん、これから幼稚園や保育園へ通わせる予定のあるママには是非読んでもらいたい本になっています。
- 単行本:144ページ
- 発売日:2015年8月28日
- 値段:1026円
「ママ友がこわい」の中からおすすめの作品をご紹介
登場人物の雰囲気もごくありふれているシチュエーションで自分と置き換えて考えやすいのも「ママ友がこわい」の特徴の一つと言えるかもしれません。
そこで、「ママ友がこわい」に収められている作品の中からおすすめの作品をあらすじとともにご紹介してみたいと思います。
1.いったいなんでこんなことに
娘を幼稚園へ送る時間が少し遅れると会ってしまう人たち。こちらがあいさつしても「あのヒト達」は無視している。子供を幼稚園に送った後に群れて立ち話しているママ達が話をしている内容が「私の悪口」だっていうことは知っている。別に無視されたっていい、私はそれでも笑ってあいさつするようにしている。
家に帰ってくる頃には朝からパワーを吸い取られていつもぐったり。無視するなんて女子中学生か!って思っちゃう。毎日会ってお茶やらランチをしていた頃が懐かしい。あんなに毎日会って話をしていたのに。いったいどうしてこうなっちゃったんだろう…。
朝からシカト・・・一日が台無しに
すがすがしい朝からシカトに遭遇するなんて「うわー」っと思ってしまいますよね。無視されていても笑って挨拶するようにしているという主人公のサキさんは凄いなと逆に尊敬してしまいます。筆者だったら声をかけることもしなくなると思います。
たまに、子供とのお散歩中に立ち話をしているママ達を見かけますが、「もしかして、皆さんも何か誰かの事を話題にしているの?」と思ってしまうと、その輪の中に知り合いがいたとしても、こちらから声を掛けようとは思えなくなってしまいますね。
2.この人がこんな人だったなんて
幼稚園の保護者会、行きたくなくて行きたくなくて仕方がなかった。だって、「この人」と顔を合わせなければいけないんだもん。たまたま空いていた「その人」の隣に座ろうとしたら「目が悪くて」と離れた席へと移動していった「その人」…嘘つけ。
保護者会では幼稚園の夏祭りの担当を決めていた。こんなにも意地悪な人間だと見抜けなかった「この人」の一声で買い出し係に決まった私。「はじめから立候補しろっつーの」と言い放った「この人」。無視とか仲間はずれとかいじわるとか、あなたがこんな小さな人間だとは思わなかったよ…。
イベントの役割で嫌がらせ・・・
幼稚園や保育園に行くようになると、幼稚園や保育園のイベントにも親が参加するということが多くなりますよね。普通なら、お仕事の都合だとかそれぞれの事情を考慮しながら、親同士が話し合ったりして担当を決めていくと思うのですが、サキさんの場合は「あのヒト」の一声で決まってしまって、何だかやるせないよなと思ってしまいました。
周りにいるママ達も反論せずにむしろ同調しちゃっているママが多い事に読んでいて唖然としてしまいました。「長い物には巻かれろ」的な考えなのでしょうか、「いじめられたくないからいじめる」といういじめの典型的な形じゃないかと思ってしまったのは筆者だけではないはずです。
3.あの頃から変わっていった関係
いつから「あのヒト」との関係が変わっていったんだろう。明らかに変わったのは秋のお遊戯会の後からで、挨拶をしても無視されるようになった。気のせいかなとも思ったけれどそうではなかった。いつの間にか挨拶しても無視されて、仲間はずれされるようになってしまった。
ある日、他のママ友にそれとなく聞いてみたら、思ってもいない返事が返ってきた。そんなつもりで言ったつもりはなかった言葉が子供を介して伝わったことで変な誤解を与えてしまったらしく…。
大人も子供もいじめの構図は同じ
子供から伝え聞いたことに腹を立てるという気持ちも分からなくはありませんが、そのお母さんも「子供から聞いたんだけど…」と事の真相を主人公に尋ねても良かったんじゃないのかなぁとも思いました。また、確かめもせずにそれを周りのお母さんに広げてしまうのも何だかなと思ってしまいますよね。
ちょっとしたズレが生じても、どちらかの表現の仕方によって周りを巻き込んで、結果的にいじめのような構図が出来てしまうのは大人の世界であっても子供の世界であっても同じなのかもしれないなと思いました。
4.家でも幼稚園でも孤独
夏祭りの最中に他のママ達はお祭りの後に打ち上げに参加すると知ったサキさん。実はサキさんには声がかかっていませんでした。娘さんに「行かないの?」と言われて「ママ、疲れているから」というのが精一杯でした。
家に戻った後、娘と二人で寝てしまい、旦那さんに起こされて目が覚めたサキさん。旦那さんから「疲れた」「ご飯まだ」と言われ、タイミング悪く旦那さんの実家から電話がかかってきたりして、いっぱいいっぱいになってしまったサキさんはついポロポロ涙が出てきて…。
2人目まだ?のプレッシャー
徹底的な仲間はずれの攻撃にあっているサキさん。サキさんが「ミイちゃんが男の子だったら違っていたのかも」とつい思ってしまうのも無理もないと思います。同じママ友でも、子供が男の子か女の子かで付き合い方も結構違ってくるような気がします。男の子を持つママ達の方が何となくもっとフランクな付き合い方かもしれませんね。
また、サキさんにはママ友の悩みの他にもお姑さんとの問題があることがこの章で明らかになるんですが、「2人目まだ?」というのは多くのママ達の悩みのタネの一つかもしれません。電話のたびに色々言われちゃうと辛くなってしまって、電話を避けたくなるって気持ちわかります。
「さびしい 孤独だ 幼稚園でも家でも 誰もわかってくれない 知ろうともしてくれない」という言葉がページの後半で綴られているのですが、この言葉は多くのママ達が抱えている気持ちが代弁されていると思います。可愛い子供と一緒で幸せなはずなのに、どこか孤独で辛いという気持ちは共感する人が多いのではないでしょうか。
5.「あの人」にも実は悩みがあった
サキさんを無視し続ける「あのヒト」も、実は心の闇を抱えていました。「あのヒト」ことリエさんは最近2人目を妊娠が分かりました。ホッとするリエさんでしたが、彼女もまた様々な悩みを背負っていたママの一人だったのでした。
2人目がなかなかできずに悩んでいたリエさん。周りの友人から2人目が出来たという報告を受けるたびに焦っていました。旦那さんに相談しても受け止めてもらえない寂しさもありました。その頃、丁度仲良くなったサキさんをあるところに誘いますが、サキさんの返事にリエさんの内心は…。
勝手な行動からいじめに・・・
かなり複雑な気持ちになりながら読みました。リエさん自身、周りに2人目ができていくことで自分が取り残されたような感じになったり、旦那さんに話しても受け止めてもらえなかったり…。悲しさ、親しくなったばかりのサキさんにまで先を越されてしまうのではないかという不安など相当な悩みや焦りをずっと前から抱えていたんですね。
とはいえ、サキさんに当たってしまうのはやはりちょっと違うような気がするのは私だけでしょうか。心に余裕が無いと何かにぶつけてしまいたくなる気持ちも分かりますが、自分の振る舞いの間違いに気づくタイミングが、2人目が出来て心に余裕が出来たからというのが何とも言えず勝手だなと思ってしまいました。
「ママ友がこわい」を読んだ人の声
「ママ友がこわい」に出てくるエピソードが、実際どこにでもあるような話なだけに、読んでいるだけで妙にゾクゾクとして、「もしかしたら、私の身にも起こりうることかも」と思ったのは筆者だけではないはずです。
そこで、「ママ友がこわい」を実際に読んだ方々の声をご紹介したいと思います。皆さん本を読んでどのような感想を持たれたのでしょうか。
1.本当にこわかった
女性だけの世界が怖いというのは話にはよく聞きますが、学校や職場だけにとどまらず、今やママ友の世界でもそうなんだということに驚きです。
出来れば関わりたくないというのが本音ですが、保育園などに通わせているとなかなかそうもいかないというのが実情なのでしょうね。
筆者はどちらかというとこれまで、女性だけでつるむということが無いまま過ごしてきたので、子供が保育園に通うようになったらこういう経験をするのかと思うと、ちょっと色々と警戒してしまいます。仕事をしていると通わせない訳にも行きませんし難しいですね。
2.ママカーストの閉塞感が伝わってくる
ママカーストというのは、ドラマや漫画などの中の話だと思っていましたが、現実問題として存在していて、今も悩んでいる人は少なからずいらっしゃる訳ですよね。
これまで深い付き合いをしているママ友があまりいないというのもあるのですが、ママ友との関係って最初からあまり持たない方が、逆にあれこれ悩まなくて良いのかな等と考えてしまったりもしてしまいますね。
3.こんな風にはなりたくない
こんな風にはなりたくないし、できれば巻き込まれたくないなというのは、このエッセイを読んだ多くのママ達が思ったことではないでしょうか。
何がきっかけになるのかも結局は相手次第なところもあって、こちらが気にしていないことを実は相手はものすごく気にしていて、それがきっかけと言われてしまうとどうしようも無いですよね。
どっちつかずの当たり障りのない付き合い方をすることが、一番悩まなくて楽に過ごすことができるのかな等、色々考えるきっかけになりますよね。
あなたも是非「ママ友がこわい」を読んでみませんか?
どのエピソードも「もしかしたら、明日、自分が同じようなシチュエーションに立たされてしまうかも!」と思えるぐらいリアルすぎて、つい話に見入ってしまう「ママ友がこわい」。しかし、この本を読んでいて分かったのは、どのママ達も不妊や嫁姑問題、旦那さんの理解の薄さなど色々な悩みを抱えて日々過ごしているということでした。
周りからしてみたら些細な悩みかもしれないですが、本人にとっては大問題である悩みも多いですよね。ましてや、周りも似たような悩みを抱えていて、周りと自分を比べることで悩みの辛さを他に転嫁せざるを得ないというのは、何だかとっても切ないなと感じてしまいます。
この本はママ達だけじゃなくて、お姑さん世代やパパ達にも読んでもらうことで、ママ達が日頃どんな悩みを抱えながら過ごしているのかを知ってもらうことができるきっかけになるのではないかと思います。