生命保険とは
生命保険とは死亡やけが・病気などになったときに生活していくのに困らないよう、あるいは希望する生活ができるように備えておくための仕組みをいいます。
大勢の人が保険料を出し合うことで、万が一のときに高額な保障ができるように備えておくという助け合い・相互扶助の精神で成り立っているものです。
公益財団法人生命保険文化センターによれば、約90%の世帯が何らかの形で生命保険を契約しているとされます。生命保険は不安や心配を少なく生きていくための保障の手段の1つで、死亡などの万が一のことを考えて加入するものです。
生命保険に入るのは何のため?
生命保険に入る目的は、既に紹介したとおり将来の不安に対して備えておくためです。具体的にどのようなことに対して備えておく必要があるのか、主に考えられる3つの不安は次のとおりです。
- 死亡した場合の不安
- 病気やけがのときの不安
- 長生きの不安
死亡した場合の不安に備えるためには、葬儀費用に困らないよう、あるいは残された家族が不自由なく生活していける金額の保険金を受け取れるような保険に加入することとなります。
また病気やけがのときの入院費用や生活費、高額な治療を受けた際の医療費も支払えるか不安になることも考えられます。そのためリスクのある病気に対し、入院や手術などのための給付を受けられるようにしておくことが望ましいでしょう。
そのほか意外なところでは長生きによる不安もあります。退職後、働いていない期間にも生活費はかかります。公的な年金だけで不足しそうなことがあれば、そうした点の備えも考えておきたいポイントの1つです。
生命保険(死亡保険)の種類
次に生命保険(死亡保険)の種類を紹介します。死亡の際の保障がある生命保険として保険会社などからおすすめされることも多い終身保険・定期保険・収入保障保険・養老保険の4つについて、制度の仕組みや特徴などを解説します。
また生命保険と医療保険との違いについても説明します。
終身保険
終身保険は名称のとおり一生涯保障が続くというものです。死亡するまで保障は続きますが、保険料の払い込み自体は一定期間で終了する場合が多いでしょう。
また終身保険には、契約から一定期間以上経つと支払った保険料よりも多い解約返戻金がもらえる商品もあります。商品にもよりますが、死亡という一番大きな不安に備えながら貯蓄性もあるものといえます。
定期保険
定期保険は一定期間内の死亡保障がされている生命保険です。例えば加入から65歳まで、など被保険者の年齢で期限が区切られているものがほとんどです。
受け取る保険金が期間中変わらないもののほか、期間が経つごとに増えていくもの・減っていくものなどもあり、それぞれ逓増(ていぞう)型・逓減(ていげん)型などとよばれます。
また定期保険の中では年金型といって、保険金を毎月分散して少しずつ受け取ることができるものもあります。
収入保障保険
収入保障保険は生活保障保険ともよばれ、被保険者が死亡したときに、保険期間の満了まで年金形式で保険金を受け取るというものです。
例えばサラリーマンの夫を被保険者として収入保障保険をかけておくとします。すると夫に万が一のことがあった場合に、毎月の生活費が保障されると考えると分かりやすいかもしれません。
収入保障保険はこうした仕組みのため、万が一の事態がいつ起こるかによってもらえる額が変わります。一方で定期保険などでは保険金を一括で受け取ることがほとんどのため、受け取る総額は変わりません。
養老保険
養老保険は死亡した際の保障と老後の資金のための貯蓄を兼ね備えた保険です。保険期間は終身ではなく、満期になったら満期保険金を、その前に被保険者が死亡したときには死亡保険金を受け取ることができるというものです。
貯蓄性の高い保険であるため支払う保険料はあまり安いとはいえませんが、期間の途中に解約したときは解約返戻金を受け取れることがほとんどです。
医療保険と生命保険との違いは?
保険の加入を検討する場合に、生命保険だけでなく医療保険も選択肢の1つとなるでしょう。医療保険と生命保険はどう違うのでしょうか。
医療保険は病気やけがで手術・入院が必要となったときに、医療費や生活費が余分にかかってくるリスクに備えるものです。一方生命保険は死亡した際の保障を目的とした保険であり、家計を支える人が万が一亡くなったときのことを考えて加入するものです。
このように医療保険と生命保険ではその目的が違うため、それぞれの家庭に合った保障を想定して加入を検討することが必要です。
貯蓄があれば生命保険や医療保険は必要ない?
万が一のことがあっても、貯蓄があれば保険に加入する必要はないという考え方もあります。病気やけが、死亡などの場合を想定して貯蓄と保険のメリット・デメリットについて比較をしてみます。
貯蓄のメリット・デメリット
- 必要な場合にすぐ手元に現金が入る
- 解約しても元本割れのリスクがない
- 用途を問わず使える
- 貯めるのに一定期間がかかる
- 貯蓄している額までしか現金が用意できない
例えばけがや病気での入院の際の諸費用などに備えるには、貯蓄は良い方法といえそうです。しかし必要な保障額を貯めるのに時間がかかるという点や、高額の現金が必要となったときにどうするのかといった問題があります。
保険のメリット・デメリット
- 貯める必要がない
- 保険期間中はずっと給付が受けられる
- 高額の保障が受けられる
- 請求に手間と時間がかかる
- 給付を受ける条件がある
一方で保険は貯める必要がなく、万が一のときは高額な保険金を契約してすぐから受け取ることができます。しかし保障を受けるための条件があり、請求に手間もかかります。
そのため、リスクは高くないが起こったときには高額になるものに対しては、保険をかけておくのが良いでしょう。
このように貯蓄と保険はどちらが良いというものではなく、目的や考え方によって組み合わせて備えるという方法がおすすめです。
生命保険に入るべきタイミング
生命保険に入るべき、あるいは見直すタイミングは、人生に大きなイベントが起こったときです。具体的には次のようなときに保険への加入を検討しましょう。
- 就職したとき
- 結婚したとき
- 子供が生まれた、増えたとき
- 住宅ローンを開始したとき
- 転職したとき
- 離婚したとき
- 収入が減った、増えたとき
- 子供が独立したとき
- 親の面倒をみることになったとき
代表的なものでは結婚したときや子供が生まれたときが保険の加入タイミングといえます。特に子供が生まれると生命保険だけでなく学資保険など将来の教育費用に対する備えも必要となってくるでしょう。
また転職や収入の増減などによっても保険は見直すべきです。いざというときの保障は必要ですが、備えを厚くすることによって家計が苦しくなっては意味がありません。
収入と支出のバランスを考えて保険に加入する必要があります。
生命保険とは、万が一のときの自分や家族のために加入するもの
生命保険は必要ないという考え方もあります。しかし一方で生命保険に加入しておいて助かったという人も多くいます。最初に紹介したとおり、生命保険は大勢の人がお金を出し合って助け合う、相互補助の精神で成り立っています。
特に結婚や出産を控えているという場合には、万が一のときに残された家族が生活できるのかという心配があります。生命保険をはじめとした保険は、そうした不安に対する安心材料となります。
ライフイベントごとに保険の加入や見直しを行うことはもちろん、そのときの家計の状況、どの保障を優先させるべきかなどしっかりと話し合って最適な保険を選択してください。